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笑いヨガと本当の自信


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:かとうみゆき(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
皆さんは笑いヨガをご存じだろうか?
笑いヨガとは笑うことで呼吸の運動や顔の表情筋やおなかの筋肉を使い、スポーツの側面も併せ持ちながら精神面や心の持ち方に大きく作用するヨガの方法である。
もともとインドの医師のご夫妻が、病院の患者さんのメンタルの健康を守るために始められたものだが、笑いで免疫力のUPなど様々な効果があることが分かり世界に広められたものだ。
 
笑いヨガに参加するのに特別な資格はいらない。あえて言うなら“笑いたい”“笑ってみよう”という前向きな姿勢だけあればだれでも参加できる。
そして一度経験すれば、家や車の中などどこでも気軽に“ひとり笑い”でエクササイズ出来てしまう。
朝の忙しい時間の中で1分、5分やるだけでも良い。
それだけで「気分よく一日を始められる」気がする。そんなささやかな一歩が自分にとって小さい自信となる。
 
そもそも笑いヨガを始めたきっかけは4年前だった。
 
家で製図の請負をしている私は、その頃忙しい時と暇な時の波のある状況だった。それで仕事の合間に何か違う仕事を新しくやってみたいと思い、色々求人を見ていた。
そこで週2回3時間程の短い時間で出来る保育アルバイトを見つけ、やらせて頂く事となった。
 
その保育園は古い一般家屋を利用した小規模の家庭保育で園長先生が一人でやっていた。
0歳~3歳の子どもたちとの触れ合いは、心から癒されるものがあった。私は自分の子どもも2人育てている経験はあったが、子育て以外で久しぶりに接し素直に慕ってくれる小さな子どもたちが何より新鮮でかわいかった。
 
しかしその一方私は園長先生に叱られてばかりだった。他のアルバイトの先生は叱られる事はなかった。
公園で遊んでいる子どもたちの動きに目が行き届いていない、公園から帰ってお昼ごはんを食べさせ昼寝までの怒涛のような忙しさに素早く対応できない、けんかの仲裁が下手、十数人の子どもたちの持ち物がなかなか覚えられない等々。
私は子どもたちと一緒に遊んで楽しむこと以外は、本当に何もかも上手くできないポンコツだった。
 
自分は視野が狭いし、いろんな事に対し同時に目を配る事がとても苦手。私の行き届かない保育でもし子供たちを怪我させてしまったら……と思うと心配になり段々夜も眠れなくなった。
 
ある日、公園から帰り道、園長先生がベビーカーを引いて一番前につき、その後ろを2歳から3歳の子どもたちが歩き、私が最後尾について川沿いを歩いている時の事だった。
2歳になりたての女の子が、歩きながら足がカクッとなりふわりとよろけた。川沿いのくぼみすれすれの所での一瞬の出来事だった。もしあと数センチ右側に寄っていたら、くぼみから足が滑り落ち、助ける余裕もなく瞬く間に川に落ちてしまったかもしれない。
命を守る責任の重さに押しつぶされそうになった出来事だった。
その時にはっきり「私には無理、もう辞めよう」と思った。
 
そして3か月勤めて辞める事となった。辞める時も園長先生に
「あなたの子育てはひとりよがり……実は面接の時私が何とかしなければこの人は大変な事になる、と思って採用したんだ。それをまあ簡単に辞めるなんて……」と文句を言われた。
辞めることでもう園長先生に怒られなくて済むのだと思ったら、正直すっきりした。
しかし同時に、一つの事を続けられなかった事や自分は人としてダメと思われていたのかと感じて大きく自信を失った。
ぼろ雑巾のような気持ちで園を後にした私は、園をやめたその足で、前から興味のあった笑いヨガの教室に午後から飛び込みで参加した。こんな自分を何とかしなくてはという思いだけで、吸い寄せられるように飛び込んだ。
初めて笑いヨガに参加して、最初は先生や皆さんの真似をして無理に笑ってパホーマンスをした。そして教室が終わった時にリーダ―の方に今日参加した自分の心境を少し涙が出てしまったがお話しした。その時、リーダーの方はゆっくり話を聞いてくれながら「そこで何を得られたかに気持ちを向けると良いですよね」と言ってくださった。
 
笑いヨガ教室を月1回通いながら、少しづつ気持ちも落ち着いて変化していった。そして日常でも笑いの効果が出始めた。家族に対してイライラした時、怒れた時があっても、その感情の滞在時間が以前よりとても短くなった。そして「あれ私ったら何でこんな些細なことで怒れたんだろう、もういいか」となるようになった。
笑うという事は失うものはなく、自家発電のように良いエネルギーが貯まっていく。気持ちも負の感情から、前向きな感情に変換されていく。
 
保育園の事も今思えば、もともと自信がない私が、園長先生に叱られ続けることによって、自分の心がスカスカであることに(後からだが)気づかせてもらえた。それがあの時に自覚できていたら、もっとなぜ叱られるかをわかろうと努力したかもしれない。
叱られないようもっと自分なりに前向きに工夫できたかもしれない。子どもの安全を守る責任から逃げるようにして辞めてしまった私だった。あの時、事故はなかったが今後の為に先生に報告しなければいけなかった。
 
現在、コロナ禍の真っ只中、月1の笑いヨガ教室は休みになっている。
その代わり朝8:30から15分間LINEビデオ通話で笑いヨガグループの活動があり毎日参加している。
 
毎朝それに参加して気づいたことがある。
前より心が安定してきたように思う。
笑いヨガの最後はいつも深呼吸で締めくくるのだが、頭のてっぺんから宇宙のエネルギーを集めるイメージで息を吸い、足の裏から土へ返すような感覚で息を吐く……というのをやっている。
最近少しだけ宇宙を感じられるようになった気がするのだ。
 
私たちの宇宙の中で、近くても何千万光年の星は、一日一日の積み重ねを気が遠くなるほど積み上げて私たちに輝きを届けてくれている。そう考えると本当の自信というのは、人に叱られないようにする事や褒められる事で得られるものではないなと思った。自信というのは、昨日から今日、今日から明日を小さな努力で少しずつ積み上げていく事で育っていくものなのではないかなと思う。
笑えない気分で笑いヨガを続けることも、書けないと嘆きながら “ライティングゼミ”の課題に取り組むことも、少しずつの積み重ねだ。
 
笑いで自分を元気づけ人を照らしていける事、書くことで話し言葉でない少し深いところで人とつながりたい……ささやかな夢だけれど明日の自分にバトンを渡していくようにこれからも続けていこう。私にも星のように小さな光が輝く時がいつか来ますように!
 
 
 
 
***
 
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2020-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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