働く意味が分からなくなった社会人3年目の私が、大事なことに気づくまで
*この記事は、「リーディング&ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:佐倉咲良(リーディング・ライティング講座)
「私が働く意味って、一体何なんだろう」
おそらく年代問わず、全国共通、いや万国共通で人々が悩むこのテーマに、私もぶち当たっていた。
社会人になって3年が経過した私は、仕事を一通り覚え、また仕事の楽しさも少しずつ感じていた。社内外の人から「ありがとう」と言ってもらえる嬉しさ。昨日出来なかったことが出来るようになる成長。私が学生の頃には「社会人はつまらないよ~」なんて言ってきた大人たちの方が大多数であったが、「社会人はそこまで悪いものではないな」なんて感じることが出来る、そんな段階であった。
ただ一つを除いては。
上司と、仕事の方向性が合わないのだ。
方向性が合わないのは薄々感じていた。私がAと言えば上司はBという。上司がCと言えば私はDと言う。そんな状態だった。おそらく上司は40代後半に見合った「古いおじさんの価値観」の持ち主で、私はと言うと20代後半に見合った「最近の若者の価値観」を持っていた。どちらが正解というわけではない。よくある価値観の衝突。上司と部下だけではない、例えば夫婦や友達間でもよくある価値観の衝突。そんな衝突を、私も経験していた。
ついに職場で泣いてしまった日、「私が働いている意味って、なんだっけ?」と自問自答した。私を含む大多数の人にとって働くとは「食っていくための手段」であることは間違いない。しかし同時に、また私を含む大多数の人にとって働くとは「食っていくための手段」以上のものでもある。それは仕事のやりがいだったり、成長だったり、仲間だったり。泣いたあの日、私はその「以上」のものを完全に見失っていた。「理不尽に耐えてお給料をもらうこと?」「上から降ってくる仕事をただ単にこなすこと?」私は完全に迷子になっていた。
「正解」が欲しかったのだ。私は「自分が働く意味とは何か」について、誰かに「あなたの働く意味はこれだよ、だから辛いことがあってもこれに向かって頑張れ!」と言ってほしかった。目標のない努力ほど辛いものは無いからだ。森で迷った時の北極星のように、街で迷った時のグーグルマップのように、私は誰かに「自分の働く意味とは」という問い対して、「正解」を教えてほしかった。
「正解」を探すために、藁にもすがる思いで、「なぜ僕らは働くのか」(池上彰監修)を手に取った。テレビでよく見る池上さんなら、読者満足度97.5%のこの本なら、私の問いに答えてくれる。そう思ったのだ。
結論から言おう。この本は「働く意味」について、何一つ断定はしていなかった。私が求める「正解」も、書いてはいなかった。しかし、この本は「働く意味」について、私が「正解」を出すためにヒントをいっぱいくれる。「副業」「ダイバーシティ」「AI」など、これらのホットな言葉を使って、現代社会を分かりやすく紐解きながら、優しく語りかけてくれる。「あなたの人生の主役はあなたです。人任せにしない生き方をして、あなたがどうしたいかを大事にして、自分の人生を納得できるものにしましょう」(P195)と。
結局、私は思考を放棄していたのだ。「働く意味」に、年代共通の、全国共通の、万国共通の「正解」なんてない。自分の人生経験や価値観、育った環境などを通して、自分で見つけるべきものなのだ。この本は大人たちが言うような「安定した仕事」「普通の生き方」が絶対正しいと肯定をしていない。好きなことを仕事にした人、得意なことを仕事にした人、勤務体系で仕事を選んだ人。この本には様々な職業についた人々の体験談を交えて、これから社会がどのような方向に進んでいくかを優しく解説しながら、「自分オリジナルの『働く意味』を見つけなさい。人生に正解はないんだから」と言っているようだった。
読み進めながら、私は涙が止まらなくなった。常にティッシュ箱を横に置いておかないと顔がぐしゃぐしゃになり、本に涙が落ちてしまう。無意識に蛍光ペンを取り、要所要所にマーカーを引いてしまう、そんな本だった。私は本を読むのが大好きで、人生に迷ったときはいつも本を読むことにしているが、こんなに優しく「働く意味」のヒントをくれる本に今まで出合ったことがない。この本はキリスト教にとっての聖書、イスラム教徒にとってのコーラン、そして日本国民にとっての君が代くらい、私にとって大切なものとなった。このラメが入ったキラキラした表紙を見ただけで「明日も仕事を頑張ろう」と元気づけてくれる、そんな本である。
この本は小学生から高校生くらいまでの学生に向けて書かれたものであるが、私はむしろ社会人に手に取ってほしいと思っている。社会人になって自分の時間が存分に取れなくなり、「働く意味」を見失っていないだろうか。その仕事は本当にあなたの人生を豊かに、幸せにしてくれるものなのだろうか。人生に疲れたそこのあなた。この本を手に取って、自分なりの「働く意味」を見つけ、少し心の栄養補給をしてみるのも、悪くないのかもしれない。
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