メディアグランプリ

“今”に戻るための魔法のコトバ

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:阿部祐子(リーディング・ライティング講座)
 
 
コロナ前の生活は、思えばよく出来たな~と思うほどひどいものだった。
1日の睡眠が2~3時間が何日も続き、その合間に48時間勤務の後で気絶するように爆睡。
週1回着替えを家に取りに帰る、息抜きをする時間を作るための残業や徹夜。
気づいたら寝落ちて、ハッとしてPC画面を見たら出来ているはずの仕事が終わっていない。
(夢の中で仕事していて、起きて愕然とする)
 
2ヵ月に1回はこんな感じの生活を10年近くしていた。
何に追われているのかも分からなくなっていたし、心と体は悪い意味で麻痺していた。
周囲の反応すら負担に感じてどんどん心を閉ざし、1人行動が増えていった。
ネガティブ選手権があったら、選考に通っていたと思う。
 
そんな私が、私を助けるためにふっとよぎる「コトバ」がいくつかある。
今回はその中から1つの作品をご紹介!
 
何の映画だったかドラマだったか出合ったキッカケはハッキリと思い出せないが、作品の内容、出演者など
目につくものを五月雨に辿っているうちに出会った作品。
 
作品を見ようと思った決め手は声優陣。本当に何気ない単純な好奇心だった。
まさかアニメ映画を見終わった後に、あまりにも刺さり過ぎて、アニメ映画だけでは足りず原作を購入し
映画のDVDまで購入するとは思わなかった。
更に、それ以降ずっと自分の心の中で幾度となく思い出す“コトバ”と出会うなんて……
 
それは「鉄コン筋クリート(作者:松本大洋)」
ある街に住む2人の少年が街の変容、人々との関係や2人の関係性から心の成長を描いている作品。
 
主人公の少年達の名前は 「シロ」 と 「クロ」
名前から分かるように、誰もが持つ内面を偏った形でそれぞれに投影している。
シロは一見すると劣っているような言動で頼りなく見えても、感覚で大事なものが分かっている少年。
対してクロは生きていくために、暴力というチカラを身に着け心を閉ざしている少年。
対照的な2人の少年は親もなく、家もなく、学校にも行っていない環境の中、頼れるのはお互いだけ。
街を自由に飛び回り、警察、暴力団員、悪ガキ達には名が知れるほど悪さをして生活していた。
とはいえ、2人はそれなりに楽しく暮らしていたが、そんな日常を変える出来事が少しずつ起こる。
2人を取り巻く環境がどんどん変化していく中で、ある日大きな事件が起き、これをキッカケにクロの心も
大きく変わっていく。クロはシロを想い、シロもクロを想い、それぞれが相手を想っているのにすれ違い
クロの心が少しずつ壊れていく……
 
全3巻のこの作品が、読んでから数年経った今でも強烈に残ることになったのはこのコトバ。
 
「ソコカラナニガミエル?」
 
かなりドキッとした。
私は今、何を見ているんだろう。何が見えているんだろう。どこから何を見ているんだろう。
 
最初は客観的に2人を見ていたはずなのに、いつの間にかシロ目線になり、シロの気持ちでクロを見つめ
変わりゆくクロに心を痛めていた。自分は 「シロ側」 なんだと思っていた。
そして読み終わった後に気づいたのは、クロは私でもあること。
私はシロ側ではなくクロ側だったと気づいた瞬間、またコトバが刺さった。
見ているようで見えていない、むしろ見ないようにしているのではないか。
本当に大事なものは何か、自分にとって大事なものは何か、さらに問いが生まれた。
 
作品に出合ってからは、有難いことに走り出すと止まれず、心がカサついていることにも気づけないくらい
見えなくなってくると聴こえてくる。
 
「ソコカラナニガミエル?」
 
このコトバが聴こえるといつもハッとする。自分が見えていますか? 何を見てどこに向かっているの?
と突き付けられる。 「深呼吸しよう」 「一度、立ち止まってちゃんと現状を見よう」 と思えるようになった。少しずつでも自分を大事にしようと思えるようになった。
こうして私は自分を守るための魔法のコトバを手に入れた。
 
ちなみに、この作品にはもう1つ私を “今” に戻すためによぎる魔法のコトバがある。
 
「安心、安心」
 
このコトバが聴こえる時は妄想ゾーンにいるから帰っておいで~と自分を呼び戻す合図。
心配性ですぐ不安になり、答えが出ないことをグルグルと考えては、深みにハマっていく妄想族の私が
「それはまだ起きてないよ」 「相手が言ったことじゃなくてアナタ(私)が勝手に想像しているだけだよ」
「いったん考えるのは止めよう」 と “今” に戻ってくるため発動する。
 
正直こんな淡々と語る作品じゃないんだ! と実は言いたい。言いたいがグッとこらえている。
深刻な心神喪失にもならず、倒れることもなく激務をこなし続けられたのは間違いなくこの2つのコトバが
発動してくれたから。私はこの作品に出合えてよかった!!! と心底思っている。
 
でも私の主観を聞かずに作品を読んで欲しい気持ちがあるから、これ以上はもう言わない!
 
設定は少し非現実的で暴力的な部分があるので苦手な人や、よくある設定と思う人もいると思う。
絵が苦手な人もいるかもしれない。それでも1度は読んで頂きたい。
支える側だったはずのクロが、実はずっとシロに支えられていたことに気づいたように、私にも気づきを与え
支えてくれたように、あなたにとって何か気づきがあれば幸いです。
 
ちなみに、初めて作品を読んだ時、心がカサついてコトバがよぎった時、振り返り記事を書いている今も
魔法のコトバの問いに対して私は答えが見つかっていない……
 
アナタは 「ソコカラナニガミエル?」
 
 
 
 
***
 
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2020-11-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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