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覚王山で会える名バリスタ 浜地みほさん


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:児島桜(ライティング・ゼミ平日コース)
 
初めて会ったのは2年くらい前。
 
娘を幼稚園に送迎したあと、貴重なおひとり様の時間を過ごすために
たまの贅沢に、とモーニングに覚王山にあるお店を選んだのがきっかけだった。
(名古屋では昼間の11時までにコーヒーを注文すると
トーストなどが付いてくるお得なモーニングサービスがある)
 
そのお店は、
ブッダの骨が納められているという日泰寺の参道近くでありながら
そっと裏道に入ると存在する、見つけた感がうれしいお店で、
note coffee house というスペシャリティコーヒーの専門店だ。
半地下になっていて、木の素材が印象的な、居心地のいい雰囲気である。
 
お店に入ると
「おはようございま~す」
「今日はお仕事お休みですか」
「それとも、これからおでかけですか」
元気な彼女がいろいろと話しかけてくれた。
初めて会った感じがしないな、と思った。
人懐っこくて健康的な雰囲気の彼女。
それが、みほさんの第一印象だった。
 
先に注文をして席に付くと、
手際よく作って運んできてくれた。
 
泡のつやつやしたラテ。
熱すぎず飲みやすい温度、
鮮やかなイエローのカップとソーサー。
こんなに贅沢な時間を過ごして良いのだろうか。
主婦として少しの罪悪感をもちつつも、
胃が温まると同時に、体と気持ちがほぐれたのを感じた。
 
それまで
コーヒーを飲んだ後は、いつも胃や頭が痛くなっていた。
でも、とにかく香りが好きで好きで、たまらなかった。
カフェに行ったら、注文せずにはいられないくらい香りが好きだった。
 
基本から味わい方や香りの勉強をしてみたかったけど、
それにはきっと、たくさん飲まないといけないだろうから
体調を気にして二の足を踏んでいたところだった。
 
でも、
このお店では大丈夫だった。
というか、
むしろ美味しくて元気になるし、また飲みたくなる魔法のコーヒーだった。
 
そして
たくさん話しかけてくれる彼女の名前は、
浜地みほさん。
同年代くらいに見えるバリスタで、
その頃は、だいたい一人できりもりしていた。
 
モーニングタイムに行くと会えるので、
話しやすさも相まって何度か通うようになった。
 
いつもお互いの共通点から話が広がる。
 
まずは、子育ての話。
 
あとは、同じ東北出身である話。
これがとてつもなくうれしかった。
なぜかというと、だいたい東京から西方面では、
なかなか出合えないのが東北出身者あるある、だからだ。
皆、わざわざ隠しているのではないか?
それくらいの体感で、出会える確立が低いように思う。
 
そして、震災の話。
名古屋は10年前の当時、物流の影響を受けたりはしたが
やや他の地域での出来事という感覚も無きにしも非ずで、
1年経ち、2年経つうちに、
コンビニの募金箱が別の催し物に代わっていたり、
被災地を特集する番組が減ったりしていた。
 
私自身の見解が間違っていたのだが、
時間がこの地の人々の気持ちを癒し解決していたように見えた。
 
これまで、
私の出身地が塩竃なので、説明するときに軽く説明するくらいで
それ以上のことは、誰とも話題にできていなかった。
現地では津波被害もあったし、
何を配慮したらいいのか、わからないくらい状況が複雑すぎた。
 
みほさんだったら、話してみても大丈夫だろうか。
勇気をだしてみた。
彼女は少し考えて、
「あのときのことを表せる言葉が、まだみつかっていないんだよね。」
普段の彼女からは想像がつかない真剣な顔だった。
その瞬間、私が笑顔で聞いてしまったことが恥ずかしく思えた。
 
でも、それを聞いて、
そうか。
私自身も、この地域に対する思いも、
みほさんの言葉が言い当てているように思えて府に落ちた。
以後、私たちの間で震災の話はしていない。
この時の会話は、今後も忘れないだろう。
お店に数回通っただけの私に、
率直に話してくれたのがとても重く温かく感じられた。
 
つねづね、
お客さんたちの中に、みほさんのファンが多いと感じていたが
こういう正直さ、会話一つ一つも受け止める真剣さが伝わってのことだろう。
 
他にも、
過去にオーストラリアでバリスタをして働いていた事、
現在、看護師の仕事も掛け持ちしている事。など、
話題が豊富というか、実に多面的要素に溢れている女性なのだ。
例えば、
外国人のお客さんに英語での接客をジョーク交じりでこなしたかと思えば
BGMに合わせて軽くステップを踏んでるときもある。
 
また、
満席の状況をせわしなく、まわしていたかと思えば、帰り際に、
「今日はお疲れの様子だったね」と、
ねぎらいの言葉をかける余裕がある。
 
まさに、
サービス業の女神である。
ユーチューバーの鴨頭喜人さんがその場にいたら、
いいね!と叫んでハッピーマイレージを渡しているだろう。
 
さて、彼女が務めるお店は
コロナウィルスが本格的に流行した第1派の頃、
まだ外食業界全体が混乱していた頃から
アルコール液を使った感染対策をいち早く取り入れたり、
インスタグラムで無理のない来店を呼びかけたりして
お客さんとちょうどいい距離感で営業されてきた。
周りの飲食店からみたら、コロナ渦の営業スタイルの道筋になったはずだ。
まるで暗闇を照らす、ナイチンゲールのごとく希望の光を放っていた。
そんな姿勢にファンの皆も励まされたと思う。
あれは、お店全体で話し合われた結果だったとは思うが、
第一波のさなかの営業はかなりの勇気を伴っていたと思う。
 
本当に、お店がみほさんとともに生き残ってくれてファンの一人として感謝している。
 
この先もずっと、
みほさんのキレッキレで愛情たっぷりのコーヒーと真心が
覚王山の街中の人を照らし勇気づけてくれることだろう。
また、ふらっと飲みに行こう。
 
 
 
 
***

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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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