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断捨離は旅先から近所のカフェへ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:三浦加織(ライティングゼミ日曜コース)
 
 
私は洋服が大好きだ。
毎月の収入の3分の1を洋服代に使ってきた。
毎日色んなスタイルや違ったコーディネートを試し、自分の変化を楽しみたいからだ。
 
ただ、「フランス人は10着しか服を持たない」という本がベストセラーになったこともあり、私が洋服持ちなのを知っている人たちは、冷やかし気味に言う。
「洋服で部屋がいっぱいだと掃除が大変じゃない?」とか、「真のオシャレとは、少ない服でどうコーディネートするかじゃない?」と言われることもあった。
しかも断捨離ブームが始まってから、モノを増やすことはまるでダサいことのような風潮になり、買わない持たない暮らしが礼賛されているようにも思える。
 
そんな私でも、週に1度は断捨離をしているのだ。
来週の週間天気予報を見ながら、気候に合った服をクローゼットから引っ張り出し、鏡の前で合わせては候補を決め、アイロンを掛ける。
そうやって次に処分する洋服を選び、靴、下着や小物なども段ボール(断捨離ボックスと呼んでいる)にまとめていく。
これが私の日曜夜の日課だ。
 
それを今までどこで断捨離して来たのかというと、それは旅先でだった。
 
処分する服を日数分持って行き、旅先で着ては捨てるというのが、私の合理的な断捨離方法だった。
このやり方だと、ホテルの部屋で洗濯をする必要もなく、帰る際にバッグが軽くなり、帰宅後の洗濯物も少なくなる。空いたバッグにはお土産を余裕で入れられる。
それに特に海外では、日本ではもう年齢的に着られなくなった服も気兼ねなく着られるし、汚すのも気にせず活動的になれるので、精神的にもすごくラクだった。
むしろ、旅先での思い出と共に、着古した服を最後に輝かせられるので、思い残すことなく処分が出来ていた。
 
ところがこのコロナ禍で、海外はもちろん国内にもあまり旅行が出来なくなってしまった。
断捨離する場所がなくなってしまったのだ。
私の断捨離ボックスは、部屋の中でうず高く積み上がる一方だった。
もはや断捨離するために旅に持って行く服を考え、処分をする大義名分が無くなってしまったようにも思えた。
 
しかし服は増える一方である。ここは、服を買う量を減らすか、他に処分する方法を考えなければならない。
だが、「服を買う量を減らす」は、やっぱり、ない。
様々な服を試し、その時の気分でコーディネートするのは、私の長年の趣味だからだ。
それに、自粛期間で旅に出られなくなった上に、さらに新しい服を買えないストレスもプラスされるのは精神衛生上良くない、と思ったのだ。
「そんなの、服を買うための言い訳じゃないか」と言えばそうかもしれない。
ただ私は、毎日色んな服を着る楽しみを持ち、機嫌よく生きて行きたいだけなのだ。
 
では「他に処分する方法」を考えてみた。
1つ目。フリマアプリで売ることはどうなのだろう。
大切に着て来た服の次の活路にもなり、やれば小銭稼ぎになるのはわかる。
でも購入者とのやり取りや配送が、ものぐさな私には手間でストレスになる。
2つ目。近所の古着屋に持って行く、というテもある。
でも、大切に着ていた高価な服を二束三文で買い取られた、という苦い経験から、イマイチ積極的にはやりたくない。
3つ目。自分で処分する。
1つ目2つ目がないとなると、やっぱり自分が納得するタイミングで処分をするしかない。
思いめぐらした結果、やはり最後は自分の手で終わらせよう、という結論に至った。
 
ただ、最後は自分の手で終わらせようと思っても、今はなかなか遠出できない状況下で、どう「疑似的な旅先」を作るのかが鍵だ。
そこで「旅先」という言葉を、自分なりの別の言葉に置き換えてみることにした。
それは「非日常の、知らない人がいる、楽しい場所」だ。
そんなところが、旅先以外にもあるのだろうか……。
 
ある時食料品を買いに近所を歩いていたら、カフェで楽しそうにカップルがおしゃべりをしているのが目に入って来た。
そうか。彼らにとってはデートをすること自体が楽しいことなのだ。別に旅行に行かなくても、楽しくすることは出来るのだ。
私は自ら楽しい場所を見つけようとしていなかったことに気づいた。
見渡してみると、近くの街や近所のカフェだって、私にとっては知らない人がいる楽しい場所、非日常だったのだ。
いつも見ている景色が違って見え、私の思う「旅先」が身近にあることに、気づいたのだった。
 
会社から自宅勤務が命じられてからというもの、私は家から一歩も出ない日も多く、オシャレをしたい気持ちも以前より失せ、ますます外に出る気も無くなってしまっていた。
街や近所のカフェでもいい、わざわざ出かけて人目に触れる機会を作ることが、今の私には欠けていた。
だから、手放す服に最後のスポットライトを当てるためでもいい、感染対策はしつつも外に出よう、そして断捨離をしてスッキリさせよう、とやっと思えたのだった。
 
実際にこの1週間、毎日断捨離ボックスから服を引っ張り出してはコーディネートを考え、アイロンを掛け、近所のカフェで仕事をしてみた。
誰と話すわけでもなく、誰が見ているわけでもない。
それでも、オシャレをするきっかけができ、断捨離をする大義名分も得ることができたと思う。
そんな自分なりの新しい生活様式を見つけられたことも、私は嬉しかった。
 
なにも旅に出ることだけが断捨離をするきっかけではなかった。
自分の中での旅先=非日常を作ることなのだ。
感染者数も増えてきており、これからしばらくは旅には行けないだろう。
それでも、そんな状況に適応しつつ、自分らしさを失わない工夫をしながら、機嫌よく生きて行きたい。
 
今は日曜日の夜。週に一度の断捨離ボックスを見直す時間だ。
さて、クローゼットや断捨離ボックスの中から、来週カフェでのリモートワークに着て行く服を選ぼうと思う。
そしてお世話になった服たちに、最後に輝いてもらうのだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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