メディアグランプリ

完璧主義の読書術


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記事:大場 春香(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
わたしは完璧主義である。
 
0から100まで何事も完璧に、自分の思い通りにしないと気が済まない。
 
例えば、学生時代。テスト勉強をする時は、気分の上がる文房具を新しく揃え、色とりどりのペンを使ってノートにまとめる。少しでも納得がいかないと、新しいノートを用意して最初からやり直し。いつの間にか、勉強するという目的はどこかに行ってしまっていて、その手段だけが繰り返される。英単語帳も、暗記ペンが裏移りしては思い通りにならなくて、お小遣いで同じものを買い直し、暗記ペンを引くことに命をかけていた。
 
今だって、仕事では自分に関係のあることは何だって知っておきたいし、習得したい。必要ならば資格もとっておきたい。マニュアルだって完璧に作るし、資料整理だってインデックスを綺麗に揃えて貼って作りたい。資料が不要になって間が抜けようものなら、最初から作り直したい衝動に駆られる。上司から「肩の力を抜いて、60点くらいでいいんだよ」と言われたことがあるが、「60点」の程度が分からないのだ。
 
読書についてもそうだ。わたしは本を読むのが好きなのだが、長年「本は最初から最後まで全て読み、理解するべき。そうしないと先に読み進んではいけない」という呪縛に囚われていた。
 
なので、目次だけ読んで、自分の興味のないところは読み飛ばす、だとか、1つの章のうち最初の何行かしか読まない、だとか、巷で有名な速読法や読書術なんてものは、わたしには到底信じられない話だった。
 
どうしてそう思うようになったのかは覚えていない。でも、全てを読んでいないのに「読了」ということに違和感を抱いていたのだ。だから、それをすることは、無意識に自分のプライドが許さなかったのかもしれない。
 
元々本屋をまわるのが大好きなので、表紙や帯にパッと惹かれて買った本は数多い。また、SNSでインフルエンサーや憧れの人がオススメした本は、片っ端からAmazonのお気に入りリストに入れて、クレカの締め日が過ぎるとまとめて買ったりしていた。
 
読みたい気持ちも、知りたい欲も最初はいっぱいで意気込むのだが、読み始めて少しでもつっかえてしまうと、本との距離をものすごく感じてしまう。「とりあえず」読み進めることができなくて、すでに積まれている本の上にまた、自分への嫌悪感と一緒に積んでいくのだ。
 
ーーーまた最後まで読めなかった、と。
 
本を読んでいて、自分の中でつっかえる瞬間、それはラーメンがするすると喉を通らない感じに似ている。たとえうまく飲み込めても、喉に違和感が残る、そんな感じ。
 
考えてみると、わたしは「インフルエンサーおすすめの本」だとか「話題の本」を買うことが多かった。そこに「自分の意志」はなかったのだ。理由は簡単で、みんなが読んでいたから。みんなが面白いといっていたから。沢山のひとが並んでいるラーメン屋の行列に並んで、みんなが美味しいと言うラーメンを食べていただけだったのだ。
 
そんな中、読書への考え方が変わる出来事が起こる。
 
わたしはPMDD(月経前気分不快障害)の症状が酷かったり、HSP(Highly Sensitive Person)の気質があるために、自身のメンタルコントロールが非常に困難だった時がある。本当に酷いときは、仕事中にボロボロ涙が出てしまうほど。もともと周りの目や言葉を気にしすぎる性格もあったので、どうにか楽に生きられないものかな、と思って本を探したのがきっかけだった。
 
そこで出会った3冊は、生涯心にとめておきたい言葉、自分のかけて欲しい言葉で溢れていた。忘れないように、付箋を沢山貼ったその本たちは、今でも机の見える位置に飾ってある。
 
こうして「今、わたしが求めていることが書かれている本」を読むようにしたら、読書のなんたる面白いことか!!! 目的を明確化するだけで、まるで答え合わせをするかのように本の内容がスルスルと入ってくる。あれほど感じていた本との距離が、どんどん縮まる。たった二駅の電車内だって、続きを読んでいたい。昼休みだってスマホを触るより、本の結末が気になる。
 
そうだ、わたしがいま食べたかったのは行列の出来る流行りのラーメンじゃなくて、大好物のハンバーグだったのだ。肉汁たっぷり、デミグラスソースたっぷり、中にはとろ〜りチーズがたっぷりの、ふっくらとしたハンバーグ。
 
わたしにとって必要な読書は、いま欲しているもので自分のお腹を満たすことだったのだ。
 
未だに、つまみ読みの読書法には「せっかくの本がもったいない……」と思ってしまうが、本の読み方は人それぞれ。わたしにとっての完璧を貫けばいい。
 
流行やおすすめに囚われず、「今」食べたいものを食べるように、「今」読みたい本を読むことが完璧主義であるわたしの読書法なのである。
 
 
 
 
***
 
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2021-01-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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