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魔法使いに習ったメイク


*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:辺留楠道(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
「眉毛は流行りの太眉でなくていいのですか?」
 
メイクといえば大人の女性ならほとんどの人は経験があるだろう。やり方を覚えるのは、メイク売り場のお姉さんのレクチャーや雑誌、最近なら動画が多いかもしれない。私もメイクをわざわざ習いに行くなんて考えてもみなかった。でも、今はこのメイクレッスンで人生が変わったと思っている。
 
友達に半ば強引に誘われて参加したメイク教室も今日で6回目。
最終日となる。その日、私はずっと聞けなかった質問を先生にぶつけた。
そう、男性の皆さんは気が付かないかもしれないが、ここ数年は太眉ブームである。
アムラーブームの90年代前半からは細眉が続き、その前のバブル景気の頃は太眉ブームが続いていた。流行りは繰り返すものだ。
私のモヤモヤをぶつけた質問に、先生は
「若い人はいいんですけど、似合うかどうかが大事です」
と、あっさりと返された。はい、もうアラフォーです……、すみません。
似合わないことはスパッと切る厳しさのある、この私のメイクの先生はもう還暦を過ぎているとは思えない美しさと品がある。かといって、高嶺の花というような美しさではなく、気さくな大阪のおばちゃんで、明るく笑顔が絶えない。メイクのプロとして現役を終え、今は先生として大阪を中心にレッスンをされている。メイクのために、顔診断やカラー診断もしてくれる上に、友達が言うには先生がメイクをしてくれるときには邪気も祓ってくれているらしい。ここまで言うとなにやら怪しい感じがしてくるが、レッスンを卒業した今は、その偉大さを感じている。
 
友達と初めて訪れたレッスン場は、大阪中之島の川沿い、雑居ビルのワンフロア。その時は気が付かなかったが、大阪の一等地だった。エレベーターを降りると、年配の女性二人が迎えてくれた。どちらが先生かわからないなまま、レッスンが始まった。生徒は、私と友達と、友達の知人とお母さんの4人だ。
初めてのレッスンでは、まずカラー診断をしてくれる。
カラー診断は、春・夏・秋・冬の四季のタイプに分けられる。
春・秋の人はイエロー系。夏・冬の人はブルー系。
鮮やかな色やくすんだ色など、多彩な布を顔の下に当て、私は夏タイプだと診断された。
このタイプによって、メイクで使用するカラーが決まってくる。
2回目のレッスンでは、顔診断をしてくれる。
目は中心に寄り気味、鼻は、口は、と各パーツのバランスを見て、メイクの仕方を変えるのである。
その後は、レッスンごとに、ベースメイク、アイメイク、チークなどを習う。
この先生のレッスンが変わっているのは、顔診断だけでなく、診断されたカラーによって似合う髪型や服装、さらにはカラーによって性格も分けられると教えてくれることだ。
 
さて、冒頭の眉毛問題について。
私は、生まれ持った自分のキリリとした眉毛が好きで、切ることもほぼなく、メイクでも少し書き足す程度でこの歳までやってきた。それが一番似合うだろうと思っていたし、何より手入れが楽なのである。ところが、この先生の手にかかれば「もっと細い眉が似合うわね」と、ザクザクとあっさり眉毛を切られてしまった。「これが似合うのか」と半信半疑で、教えられたメイク方法で出勤していた。そんなある日「最近、綺麗になられましたね」会社のエレベーターで突然声を掛けてきたのは、ほとんど話をしたことがない、違う部署の女性。「そうですか?ありがとうございます」あまりに突然の会話に、謙遜する余裕もなく答えた。同じように他の女性たちからも声を掛けられるようになった。流石に「これはいい感じになってきているのでは?」と、半信半疑だった気持ちから少し自信が沸いてきた。
「その後、どう?」レッスン場所へ着くと、挨拶もそこそこに先生は聞いてきた。
女性に声を掛けられるようになったことを伝えると、先生は驚きながら喜んだ。
毎回「ほんと綺麗になってきた」と先生に言われるのが嬉しくて、メイクの練習を続けた。
メイクは誰でもできる簡単なものだと思っていたが、実は頭を使うものだとわかってきた。教えられたメイク方法を覚えるだけでも大変だ。例えばアイシャドウはカラーが多く、カラーによって使い方が違い、同じカラーでも使い方が幾通りもある。創造性と感性も必要だ。
アート的なことは苦手な私が、先生に教えられた方法を繰り返していくうちに、なんとか身に付いてきた。服装や髪型も、自分に似合うものを教えてもらい、随分と印象が変わった。
最初は違和感があったメイクも、これが自分のメイクだと感じるようになった頃、女性だけでなく男性からも声を掛けられるようになった。モテ過ぎて困ったこともあった。そう女子会で話すとツッコまれてしまうが、メイクレッスンのせいだと伝えると「私も行く!」と必ず言われる。人は見た目だけではないが、自分に似合うものをカタチにしていくことで、変わってくることがある。そう実感した。
 
このメイクレッスンで、私の人生は変わった。
私にとって、先生はシンデレラの魔法使いだった。
ただし、0時で魔法が解けないように、努力は続けなければいけない。
 
 
 
 
***
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2021-01-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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