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夢の二拠点生活~人生、ダウンシフトしてみたら?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:内藤 恵子(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
発表します。
私の一番してみたいこと。
それは「二拠点生活」です。
 
2019年6月より、千葉県匝瑳市で米作りを始めました。
あ、読めますか?
「千葉県そうさ市」ですよ。
大丈夫です。私も読めませんでした。
そもそも、千葉にあんなに田圃があることも、全く知りませんでした。
 
35を過ぎてから、自分の生き方にふとした疑問を持ちました。
「このままでいいのだろうか」
 
気付けば大量消費社会の歯車となり、環境破壊に加担する側になっていました。
でも、毎日の生活で手一杯。
朝はギリギリまで布団に居て、起きて20分で車に乗り込み、隣のコンビニで買ったコーヒー片手に車内で朝食、ラジオからのニュース情報を流し込みます。
 
仕事を終えるともうクタクタで、20時過ぎに車で寄れる大型スーパーでプラスチックに包まれた食材を、無感動にバスケットに投げ込みます。
 
1週間を終える日曜の午後は、大抵は疲れ過ぎて布団で寝て過ごします。
身体を壊せるのは休日だから、身体がそれに慣れていくのです。
だから長期休暇に入ると、よく体調を壊しました。
 
本当はもっと、環境保全の社会活動とか、友人や家族とのかけがえのない時間とか。
そういうことに価値を置きたいと、いつもどこかで思っていました。
趣味のピアノとか、早朝に朝日を見ながらランニングとか。
 
とりあえず妄想はするものの、それができないのは、自分にエネルギーがないからだと、ため息をつき、こなしきれない毎日のTODOリストを罪悪感と共に積み重ねていたのです。
 
「このままでいいのかな」
でも、立ち止まったら、今日という日を乗り越えられない。
だから、矛盾を身体に課しつつも、考えることを遮断しました。
そうして麻痺した身体を刺激する、小さな贅沢を愉しみました。
ワンクリックでAmazonを今日もポチッと一つ買う。
 
そんな都会の生活と、追われるような生き方に、正直、疲れていたのです。
 
そういう人、私以外にもいませんか?
 
そんなときに、出会ったのが、ダウンシフトしていく生き方でした。
 
高坂勝著「減速して自由に生きる〜ダウンシフターズ」(2014筑摩書房)
 
この本に出会って、この消費社会から降りていく生き方も選べることを知りました。
自分の描いている豊かさはリデザインしても良いのです。
今の自分に必要なのは、大きなシステムから降りても大丈夫と思える、別の生き方、コミュニティを緩やかに広げていくことだと気付きました。
 
そして始めたんです。
新しいコミュニティとの出会いと、新しい居場所である田圃での米作りを。
1ヶ月に1度、千葉の匝瑳に行くのです。
 
東京生まれ東京育ちで、田植え経験はゼロ。
初めて入った田圃の中で、自分がカエルやオタマジャクシや微生物たちと共存している、ぬるぬるした感じも、慣れると心地が良いものです。
温かい泥に触れている時間はあっという間に過ぎていきます。不思議な時間でした。
 
初夏には、田圃の草刈りをします。
腰が痛くなるほど、鎌を握って刈り続けます。
真っ直ぐな日差しを浴びて、田圃の中の稲たちは、水草や藻に混じって一斉に成長するのです。泥まみれになりながら、草を無心に刈っている時間は、確かな自分の時間でした。
 
秋には稲刈り。
竹を山から切り出して、オダ作りからスタートします。
人がぶら下がっても頑丈なオダに、刈った稲束をかけていきます。
稲束は水分量が少なくなるまで、こうして干して待つのです。
 
そして、気付けば立冬過ぎて、青空。
匝瑳のお米、収穫です。
採れたお米は少ないけれど、ずしりと感じた重みはちょっとした感動でした。
 
米作りという、流れの違う時間の中に身を置いてみて、思いました。
 
仕事第一主義のデキル奴がカッコいいと、目の前に全力で走り続けてきた生き方は、自分に優しくない生き方でした。
そんな自分をちょっとは緩めた方がいい。
仕事の評価でしか得られない承認欲求から、解放された方がいい。
 
もちろん、最善策は仕事を辞めることだと思います。
端的に、今の生き方を変える究極です。
 
思い切って、田舎暮らしに人生、ダウンシフトしてみたら?
 
でも実は、都会の生活も好きなのです。
そして、仕事の忙しさも本当は好きなのです。
毎朝隣のコンビニで買う決まったコーヒーの、あの味も。
 
今、ある物全て、手放せる人は、そう多くはないでしょう。
 
だから、私は妄想するのです。――千葉と東京の「二拠点生活」を。
40を過ぎたなら、私は千葉の郊外に、小さな古民家を借りるのです。
土日だけの田舎暮らし、エコライフ。
週末になると、私は米を作り、野菜を育て、鶏を飼って、採れ立ての卵を頂くのです。
そうして沢山のエネルギーをチャージして、日曜の夜か、月曜の早朝、仕事モードに切り替えて、都会の生活に発つのです。
 
でも半分、分かっています。
私のうちには猫がいます。かわいい3匹の飼い猫が。
猫は家に住む物ですから。
二拠点に生活に、彼らの許可はもらえないでしょう。
 
ただ、私は、あの田圃の泥の温かさに足を入れていたいのです。
オタマジャクシがカエルに育つ半年間、空気の変化を肌で感じていたいのです。
 
だから、きっと私は今春も、性懲りもなく田植えに行きます。
 
 
 
 
***

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2021-01-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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