習い事はグループレッスンが良い？ それとも個人レッスン？
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記事：能勢 拓人（ライティング・ゼミ平日コース）
習い事を始めるなら絶対に個人レッスンが良いと思い込んでいた。
僕が社会人になって、なんとなく始めたのはフランス語。発音が難しいと聞いていたし、英語ですら人前で発音するのは憚られる。
それなら、金額の折り合いさえつけば、自分のペースに合わせて授業をしてくれる個人レッスンの方が絶対に良い！ と、疑いの余地はなかった。
だから、ずっと個人でレッスンを選んでいた。それでなんの不満もなかった。
唯一グループレッスンを受けたのはフランスに留学した時のこと。フランスでの生活費も踏まえると金額の折り合いがつかず、仕方なくグループでの授業を受けていた。
仲間も出来たし、楽しかったことは確かだ。けれど、それまで個人レッスンしか経験したことがなかっただけに、簡単すぎてもだれるし、少しでも難しいと感じると頭に入ってこない。「何のために授業を受けているのだろう？」なんて、無駄な時間を過ごすこともあった。
帰国してからしばらく経ったころ、またフランス語を再開しようと教室を探していた。
韓国語が流暢に話せる同僚に
「個人レッスンの方がやっぱり良いですよねー。どこか良い教室ないかな」
と、聞いてみた。すると、個人レッスンの教室を探している僕の話を聞いて、同僚は疑問を投げかけた。
「なぜ個人レッスン一択なの？」
それまで金銭的な折り合いがつくのであれば個人が良いという議論に水を差されたことがないからこの疑問は斬新だった。
「単語や文法を強化したいのなら、グループレッスンでもいいんじゃない？」
同僚が言う。
「確かに、個人レッスンは自分のペースに合わせてくれるし、先生との会話も増えるから、会話練習としては良いかもしれない。でも、グループレッスンが劣るのかと言えばそうでもないんじゃないかな？ たとえば、単語や文法なんかは他の人が自分の知らない単語を当たり前かのように話していると少し焦る。文法も先生から指摘されるよりも同じレベルの教室に通っている仲間から指摘をされる方がよっぽど悔しい。
会話練習だって、日本でずっとフランス語を教えている先生と話すと、間違った文法や発音でも何となく通じてしまう。でも、他の生徒はそういうわけにはいかない。自分が習ったことと違う文法や発音で話していたら気になるでしょう？ フランス人に通じるならいいやと思うかもしれないけど、実際、そこで悔しい思いをした方が、語学力としては上がるかもしれないよね。しかも金額が安いなら、それに越したこともないし……」
目から鱗とはこのことだった。確かにこの同僚の言う通りなのかもしれない。
語学学習の場合レベル分けをされるが、同じレベルの生徒同士でも知っている単語も、頭に入っている文法も違う。だからこそ、相手が分かって、自分が分からないと焦る。その場では何とか取り繕って時間を過ごすけど、家に帰ると分からないところをやはり調べてしまうものだ。
ただ、それに気づいていなかったから、教室にいる時間がいかに有意義だったかどうかで判断をしてしまっていた。
でも、教室にいる時間はあくまで学ぶきっかけを作るだけで、それ以外の時間でいかに勉強するかで、上達度も変わってくる。
それを聞いて、初めて日本でグループレッスンを受けてみた。
同じクラスには日本でずっとフランス語を学んでいる人が多くいて、現地経験を積んでいる僕の方が一見たくさん話せるように見える。
でも、単語量や文法は他の生徒の方が上回っていたことは明らかだった。悔しい思いをたくさんした。
今、留学希望の学生を支える仕事をしている。やはり海外経験があるだけに、学生からこの話をよくされる。
「個人レッスンが良いけど、高くて……」
その時に僕は答えてあげられるようになった。
「本当にグループレッスンにはメリットがないのかな？ きっと他の人と学ぶメリットも大きいと思うよ、一度受けてみて、どうしても合わなかったらやめればいいんだから。留学する前にできるだけ貯金もしたいだろうし、グループレッスンから挑戦してみれば？ 友達もできるかもしれないよ？」
友達云々は余計かもしれないが、まだ若い彼らにはあわよくば……の一言に背中を押されているに違いない。
理由なんてなんだっていい。一歩踏み出してくれさすれば。
これは語学学習に限ったことではないと思う。同じことを学びに来た仲間と共に切磋琢磨できるのはどんな習い事でも同じだろう。
これから新たに学びたいと思っている人がいるなら、個人レッスン、グループレッスンそれぞれのメリット・デメリットをしっかり把握し、ぜひ自分に合ったレッスンを受けて欲しい。
＊＊＊
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