故郷の良さがわかるのは40歳を過ぎてから
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:K W(ライティング・ゼミ日曜コース)
こんなにいいとは思っていなかった。
奈良に生まれ、大学を卒業するまでずっと住んでいたが、友人と遊びに行く時は電車や車で近県の大阪、京都、神戸にばかり行っていた。
奈良はいわゆるベッドタウンで、朝は満員電車に揺られながら通勤し、大阪で仕事をして、仕事が終わったら夜にまた奈良に戻るという、東京に対しての千葉や埼玉のような存在だと思っていた。
中学校の遠足は「奈良めぐり」と言う名前になっていて、毎回、奈良のさまざまな寺院を見て回るというものだった。
仏像もいっぱい見させられたが、自分には全く興味を持てなかった。
もっと都会やったらええのに。
大阪の梅田、心斎橋や京都の河原町のように奈良もなってくれたらええのに。
遊ぶには県外に行かないと楽しめない。
と、いつも思っていた。
大学を卒業して、東京で働くようになると、さらにその思いは強くなった。
東京にはなんでもある。
食事するところや、映画館はいっぱいあるし、百貨店も、遊びに行く街も渋谷、新宿、池袋、銀座、六本木、その他にも奈良より大きな街がいくつもある。大きな本屋もある。
東京と比べるとさらに奈良の魅力が半減していった。
帰省は年に1回くらいのペースでしていた。
奈良は懐かしく好きな場所であることは間違いなかったが遊びに行くときはやはり、京都に行っていた。
美味しい店も、本屋もいっぱいあるし、服も色々なところで買えるし、お寺、美術館、喫茶店もいっぱいある。鴨川もいい。
40歳くらいまではそう思っていた。
会社の同僚や得意先と会話をしている時に出身地の話になり、奈良だと答えると、「大好きなところです」と言われることがある。
自分ではあまりピンと来ず、話だけ合わせていた。
建築設計事務所の人だと寺院建築に興味がある人も多いし、明日香村が好きだという人もいた。
また、修学旅行以外行っていないという人もいた。
ところが、40歳を過ぎた頃から徐々に考えが変わってきた。
まず、奈良が好きだという人に対して、出身者として熱く語れるもの自分は持ち合わせていないなと感じて、それがなんとなく寂しい気がしてきた。
自分の地元はもっと熱く語れないと。
次に東京には重文、国宝の仏像が圧倒的に少ないことに改めて気づいた。
また、江戸時代以降の建てられた寺が多いなと感じた。
奈良に生まれ育って、太平洋戦争で空襲の被害を受けず残っている飛鳥時代、奈良時代から存在している寺院に慣れている身としては何か不思議な感じがした。
次の帰省には改めて奈良めぐりをしてみよう、と思いつき、車で久しぶりにまず有名どころを回ることにした。
幸いにも行くべきところはいっぱいある。
まず、東大寺と奈良国立博物館から始めた。
奈良公園の近くには外国人も含めてたくさんの人が観光に来ていた。
改めて東大寺南大門をみて、金剛力士像を網越しに眺めてみた。
その後、何十年かぶりに大仏殿に入った。
興福寺に行って阿修羅像を久しぶりに見た。
少年のような顔で顔が3つ、腕が6本ある有名なやつだ。
これらを見ているうちに、これをいつでも見ることができる環境ってすごいのではないかと思い始めた。学生時代には興味を持てなかったものが全く印象が違い、新鮮に感じられる。
これは、修学旅行だけにしておくのはもったいない。これを何度も見に行ける環境って最高ではないかと思ってきた。
もちろん、他にも、吉野の金峯山寺、室生寺、長谷寺、薬師寺、唐招提寺、などたくさん見所はある。
国宝、重文の目白押しだ。運慶も見られる。もちろん、寺や仏像だけが奈良の魅力ではない。
桜も、奈良漬も、葛切り、天理ラーメンその他にもいっぱいある。
なんだ、奈良っていいじゃないか。
こんな歴史の教科書で出てくるようなところに行ける場所は他にないぞ。改めて思った。
それからは帰省するたびにせっせと奈良めぐりをしている。たまに京都も行くけれど。
その頃から、自分の出身地以外の土地に対してもリスペクトの気持ちを持てるようになってきた。
それぞれの土地に生まれその場所を誇りにしている人々がいて、おそらくいっぱいいいところもあるのだろう。
関西に旅行に来られたときには、ぜひ奈良に行くことをお勧めする。
修学旅行以来行っていないとか言ってないで、ぜひ来てほしい。京都、大阪だけではもったいない。
特に40歳を過ぎた人は良さがわかってもらえると思う。
あなたの出身地も素晴らしいと思うが、それに負けない魅力があることを約束する。
皆さんも改めて故郷を観光してはいかがだろうか。たまに、自分の故郷を何もないところだと説明している人がいると何か悲しくなってしまう。絶対にそんなことは無いと思う。自分が魅力にまだ気づいていないだけだ。
改めて巡ってみると、若い頃には気づけなかった魅力がいろいろと見つかると思う。
そして、この土地に生まれてよかったと改めて感じられと思う。
自分の故郷に誇りが持てることは素晴らしい。
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168
■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」
〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325
■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984