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メディアグランプリ

お金にならない着物が気付かせてくれた3つのコト。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:増田 絵美子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「着物、着慣れてるよね? 着せやすいよ~。」
 
成人式の前撮り撮影時、着物に袖を通す瞬間、着付師の方が何気なく言った一言。
 
今でも鮮明に覚えているぐらい嬉しかった言葉。着物に慣れ親しんでいる環境を作ってくれた祖母や母に感謝をした瞬間でもありました。
 
私は祖母の実家で母と3人で暮らしていました。
 
祖母は趣味で着物を縫い、母は着付けができたので、お正月には着物を、夏祭りには浴衣を着て過ごしました。子供ながらに四季や日本の文化を楽しむことに、なんとなく良いなという印象がありました。
 
これからも人生の節目の大事な時や季節の行事には着物を着て過ごすのだろうと思っていたのに、祖母と母は私が30歳になる6年間で、立て続けに亡くなりました。桐箪笥の中を開けてみると約30着程の着物が残されていました。
 
はじめは売ってしまおうとも考えましたが、ほとんどお金にならないことを知り、かといって捨てるのも気が引ける。ならば着付けを習い私が着られるようになれば良いのではと半年ほど着付け教室に通い自分で着られるように。着付けを忘れないために、週末は積極的に着るようになると、嬉しい3つの気付きがありました。
 
1つ目は、着物は最強のコミュニケーションツール。
 
着物を着ると100%の確率で、街で話しかけられるようになりました。もちろん、話しかけてくださるのはシニア世代の方々ですが、見ず知らずの方に話しかけられるのは、意外と嬉しいものです。
 
すれ違い様に「きれいな着物ね。」
階段を登っていると「あれ、帯が下がってきちゃってるわよ。」
電車を待っていると「今日は、このお召し物でどこに行くの?」
 
何気ない会話の中に私は人の温かさを感じるのです。
普段、知らない人に話しかけるタイミングって、道を聞くか落し物を拾った時くらいじゃないですか。
 
それが、着物を着ているとこんなにも話かけられるものと。暇な時間はSNSと睨めっこをしている自分にとって、その場の出会いを大切にし、視野を広げてまわりを見ることって大事だなと感じました。
 
今では「あれ? 着物は最強のコミュニケーションツールじゃないか?」なんて思うほどです。
 
2つ目は、お洒落を楽しむなら着物。
 
これまで、私はさまざまなファッションを楽しんできました。
 
全身真っ黒のヴィジュアル系。気分はシンガーソングライター古着系。
トゲトゲ スタッズベルトを腰に巻いちゃうパンクROCK系。シュッと銀座を歩くようなトラディショナルファッションまで。好きな人と聞く音楽で、随分と服装が変わる性質みたいです(笑)
 
普段から着物を着るようになると、着物って組み合わせるパーツが多く実は奥が深い。これまでの、どのファッションよりもコーディネートを考えることの楽しみに気が付きました。
 
例えば、足袋や半襟(洋服でいう襟元)は白だけではなく、今は花柄やチェック柄と様々なデザインがあります。なので、コーディネートを考える時は、ざっくり言うと、着物の柄×半襟の柄×帯の柄×足袋の柄を考えます。
 
これが洋服で考えると、アウターの柄×カットソーの柄×スカートの柄×靴下の柄。洋服で柄が連続すると「ん??? 即大阪のおばちゃんの出来上がり!」なんて想像してしまいますが、着物だとそうはならず、大正ロマンなお洒落コーディネートが完成するのです。着物はお洒落の可能性が無限!
 
着付けの時間を短くするという理由もあるのでが、長襦袢をブラースやタートルネックに替え、ベレー帽をかぶり、和と洋の融合コーディネートを楽しんでいます。
 
3つ目は、着物が紡ぐ家族の形。
 
着物を通して、祖母や母の人生をなぞり共に過ごしていることを感じられるようになりました。どうしたって、ふたりはもういません。けれど、私の人生は、止まらずにすすむ。ふたりが亡くなってからは、娘が産まれ家族も増えました。
昔のアルバムから、お宮参りや七五三の時の写真を見ると「この着物を着ていたのか!」なんて照らし合わせて、同じ時に同じ着物を着るようになりました。実際に当日を迎えカメラの前にいる自分を見ると、祖母や母と一緒にいる気持ちに。ノスタルジックな気分に浸っているのではなく、形として共に過ごせる繋がりを感じる唯一の方法が着物だったのだなと気が付きました。
 
残された着物を桐箪笥いっぱいに見た時、一人っ子の私は遺品整理をいかに効良く稼働させるかを考え、ふたりがいない悲しさよりも、どうしようと面倒に思っていた着物。思い出を忘れ、お金に換えようと考えた着物。自分自身で着ることによって、3つのことに気づくことができました。
 
今では、着物を着るということを軸にお芝居や歌舞伎などにも足を運ぶようになり、ふと気が付くと「これ! 祖母がやっていたことだ」なんて。新たに発見をする日々です。
 
祖母から母、母から私。私から娘に。
 
紡いでいければいいなと思いながら、3歳の娘の前で着物を着て登場しても、まったく響かず……興味もなし。
 
今はまだプリンセスのようなフワフワなドレスに憧れを抱く彼女。
 
よし! 次のコーディネートは、名付けて「レースフリフリ、ファンシーKIMONO」のコーディネートでもしようかな。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 

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2021-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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