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ブレインロックを外すと幸せになれる


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:すみれ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ねえ、お母さん。進路のことだけど、私、物理が好きだから理学部の物理学科に進みたいって思っているの」
 
「えー? 」
 
およそ10年前のある日、私は高校2年生でそろそろ進路の選択をする時期に来ていた。 普段、親とは喋ることはほぼない。なぜなら親と話すのはとても面倒くさいことだからだ。いちいち反論されるし、反論だけならいいのだが古い考え方を押し付けてくる。嫌な気分になって頭痛がする。でも、進路の話はしなくてはいけない。しょうがなく、夕食の準備をする母に思い切って話しかけてみた。
 
学校帰り、両親にどう話しかければうまくいくか、一生懸命頭の中でシミュレーションして一番良さそうな方法で話しかけたのに。
 
母親は私が言ったことがどういうことなのか理解できないみたいに言った。数日後、母はこう言った。
 
「理学部なんてどこに就職できるかわからないような学部に行くんじゃなくて、看護学校とか、医療系の学部に行って手に職をつけなさい」
 
そう言って母は看護学校のパンフレットを私に差し出した。私はとても不快に思ってそれを受け取らずに、いつも通りふて寝することにした。うつ伏せで枕を抱きしめて、お気に入りのタオルケットに包まれている時間が私にとっての唯一の安心できる時間だった。
 
「手に職。古すぎ。気持ち悪いこと言うなあ」
そう思って私はいつも通りだらだらぐだぐだした。
 
そして父親からはこんな風に言われた。
 
「理学部じゃなくて工学部はどうだ? 就職先には困らないし、つぶしも効くぞ」
 
仕事ばっかりで、ほとんど私とは話したりしない父がこんなふうに言った。
父は朝早く家を出て、夜遅くに帰ってくる。仕事が忙しいのだろう。私が小さかったころは、土日以外に会うことはなかった記憶がある。
父みたいに、仕事ばっかりの人なんて絶対になりたくない。大きい企業に入って、よくわからないものに巻き込まれて仕事を進めるなんて絶対嫌だ。そう思った。
 
よく考えてみると母は看護師の資格を持っていて父親は工学部を出ていた。 私にも同じ進路を押し付けようとしていたのだ。
そんなのまっぴらごめんだ。
 
私は普段親に大きく反抗したことが無かったのに、 進路に関して私が一向に意見を曲げないことに父と母は困惑したようだった。 私は親に反抗するのが面倒くさくて、大抵のことは従っていた。それは素直なのではなくて、単に面倒なだけだ。
 
何日かして、父と母は話し合ったらしく諦めたように私にこういう風に言った。
 
「好きにしなさい。あなたの人生だから」
 
そんなこと言われなくたって私は好きにする。 およそ10年後、私は無事に就職できているし、親元から離れてちゃんとした社会人として生きることができている。理学部だから就職できないというのが、ブレインロックだ。私の理学部の周りの友人たちも何の問題もなく就職できている。
 
この文章をご覧の方はブレインロックという言葉をご存じだろうか?
 
ブレインロックとは、行動を起こす前から自分の能力や可能性に制限をかけてしまい、「きっと駄目なはずだ、無理だ、わたしにはできない」と自分の行動や考え方を制限してしまうこと。
 
女性によくあるのは、手に職を付けられるような進路を選択しなければいけない、とか、どうせ専業主婦になるのだから、そんなに活躍したって意味がないとか。
そして男の人だったら、もっと活躍しなきゃいけない、とか、弱音を吐いてはいけないとかいうことだ。文章を書いているだけで気持ち悪くなってくる。
 
父と母は私に対してブレインロックをかけてきたのだ。やったこともないのに、それは危ないからやめたほうがいいと。
 
私は数年間の大学生活を実家で過ごした。 親との会話は、毎日ひしひしと私にブレインロックをかけようとしてくるのを感じた。
 
私は親の前で良い子でいなくてはいけない、 親子はいつまでも仲良くしなくてはいけないというブレインロックは外して、もう親を見捨てて生きることにした。世の中にはいつまでも仲の良い親子もいるらしいけれども、全ての親子がそういうふうになれるとは限らない。
 
親のいる実家のそばで就職しなくてはいけないというブレインロックを外して、私はできるだけ遠くの就職先を選ぶことにした。
 
大きい企業でないと安定していないから危ない、という親からかけられたブレインロックは外して、とあるBtoBのメーカーに就職した。大きい企業だから安定していないなんて間違っている。中小企業だから不安定だというのも正しくない。安定しているかどうかは、企業の大小ではなくその企業による。
 
結果としてこれは大正解だった。私は親の呪縛から逃れて、やっと自分らしくのびのびと生きることができている。 実家に暮らしていた頃は、しょっちゅう蕁麻疹がでたり、胃腸の調子が悪くなったり、頭痛がしたりしていたが、今はまったくそんなこともない。
 
これからもどんどんブレインロックを外してのびのびと生きていきたい。
 
 
 
 
***

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2021-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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