メディアグランプリ

マンネリを打ち破ったサップ体験 


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記事:亀村佳都 (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「マンネリ打破!」と、手帳に書いた。
 
家と職場の往復で、変わりばえしない毎日が続いていたのをつまらなく感じたからだ。友人とたまに会う時も、互いの家でランチをしながらおしゃべりすることが多く、どこか物足りなさを感じていた。
 
ある秋の日、いつものように、家で友人ととりとめのない話をしていたら、友人が「サップ、ちょっと興味あるねんなー」と言った。
Stand Up Paddleの頭文字をとって「SUP(サップ)」と呼ばれるマリンスポーツは、ハワイ生まれで、サーフボードのようなボードの上に立ち、パドルを漕いで水上を進む。
彼女の言葉を聞いて、二年前にサップのことを雑誌で知って興味を覚えた記憶がよみがえってきた。暖かい季節になったら、サップをしよう、ということになった。
 
夏が来るまでの間に、私たちはとても楽しそうなサップツアーを見つけた。琵琶湖の北で、湖に浮かぶ鳥居まで行って、鳥居の下をくぐる二時間のツアーだ。ツアーを紹介する写真を見ると、湖に浮かぶ鳥居の風景は、日本三景の一つに数えられる厳島神社に負けず劣らず魅力的だった。他の友人も誘って、総勢五名で申し込んだ。
 
当日の集合場所は、白髭ビーチ。ビーチのそばにはキャンプ場もあり、サップの他にカヤックもできる整備された場所だった。夏の空に、青く透き通った湖の風景は、どこかに山さえ見えれば、さながらハワイのワイキキビーチのようだった。
 
私たちが参加したツアーには、二十名くらいの参加者がいた。日焼けした、爽やかなインストラクターが挨拶をして「サップが初めての人はいますか」と尋ねた。一人を除いて全員手を挙げた。ほぼみんな初心者だと知って、場の雰囲気が和らいだ。私たちは、基本的な動作を教わって、水上に出た。
 
初めは、恐る恐るボードに座ってバランスを取っていたが、ボードの上で立ち漕ぎができるようになると、周りを見る余裕が出てきた。どこまでも続く水平線の中で、琵琶湖の広さを身体で感じた。太陽の光でキラキラ輝く水面を見るのはちっとも飽きなかった。
 
鳥居まで辿り着くと、カメラマン役のスタッフがグループごとに写真を撮ってくれた。すっかり漕ぐのにも慣れたと思っていたら、甘かった。シャッターが押された瞬間、私は、バランスを崩して水の中に落ちてしまった。写真には空のボードと、気づいて笑う四人の写真が記念に収まっていた。帰り道、レッカー車のように、インストラクターが漕ぐボードと縄でつながれた、友人のボードが私の横を追い越していった。私の後方で、彼女はボードから落ちた後、自力で這い上がれず、水の中でもがくうちにインストラクターに救出されたらしい。
 
落ちたり、ボードにうまく乗れなかったりしたけれども、それらは全て笑いに変わり、私たちは、水上の旅を楽しんだ。単調な暮らしに対する不満も、日頃の運動不足もすっかり解消されていた。
ツアーを終えた帰りの車の中で、「また、新しいことやってみよう」と一人が提案すると、「パークゴルフ」「洞窟探検」「グランピング」「流しそうめん」など、色々な候補が挙がった。
 
サップ体験を終えて、私は、やりたいことを先延ばしにするのはもったいない、と感じた。「時間がない」「お金がない」「いつかやろう」と言いながら、実践せずにいたことがこれまでもたくさんあったように思う。刺激のない、マンネリ化した日々を自分で作っていたことに気づいた。
 
また、新しいことをやってみる前から、「続くかどうか」や「うまくいくかどうか」について気にする必要はなく、そのような不安は、やる気にブレーキをかけるだけのようだ。むしろ、ランチバイキングのように、「おいしそう!」「これ、なんだろう?」と思うままに、少しずつお皿に乗せて味わってみるような気軽さで十分なのかもしれない。食べてみて、おいしければお代わりをすればよく、そうでなければ、好みに合わなかったまでのこと。新しい経験をする時も、好き嫌いや上手い下手に捉われず、一度かじってみたらいいのだ。
 
たった二時間のサップツアーとはいえ、私は、知らなかった世界に足を踏み入れることができた。琵琶湖の美しさを知り、水の上に立つ心地よさを知った。友人との共通体験は、日頃のおしゃべりとは違う楽しさがあった。何より、やりたかったことができて、達成感を得られた。
 
新しいことに目を向け、もっと気軽に、やりたいことを試してみよう。そうすれば、同じことの繰り返しのように感じていた日々を自分で変えていけるから。
 
 
 
 
***

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2021-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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