長年扶養に入っていた主婦が社会的な信用を得る方法〜確定申告は信用証明〜
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記事:宮川純子(ライティング・ゼミ日曜コース)
「社会的な信用って、『納税してるか』と『借金を返済してるか』で判断されるものらしいですよ。」
毎月通っている美容院でこう言われた時、私は腹を括った。
髪をさっぱり切り揃えたその足で税務署へと自転車を走らせ、開業届を出したのだ。そして現在、来月に迫る確定申告に向けて、準備進めている所である。
私は昨年、自宅でマシンピラティスのパーソナルトレーニングとバッチフラワーレメディというイギリスの代替療法を用いたカウンセリングを提供するサロンをオープンした。
これまではサラリーマンの夫の扶養家族として、扶養控除の枠を超えないように計算しながらアルバイトで生活費の足しを稼ぐ日々を送っていた。コロナの影響でアルバイトという立場の弱さを痛感した時、どうせ保障がないのならば自分で商売をやろうと思ったのがきっかけでサロンを始めたという経緯がある。
実は以前からサロンをやりたいという思いは抱えていた。開業にかかる費用は数年前に遡って申告出来ると聞いていたので、貯めたお金でピラティスのマシンなどを購入し、その領収書をせっせと集めると言うことはしてきていた。
ただ、事業を何年も続ける自信がまだなかったのと、今年は所得が少なくて確定申告する義務がない事から、公式に開業を宣言するのも、確定申告をするのも、踏ん切りがつかないでいた。
そんな折、私は1冊の本に出会った。
「お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください」という、私の心の声がそのままタイトルになったような本だ。フリーの漫画家が税理士さんに手取り足取り教えてもらう様子がマンガ形式で描かれている。マンガで楽しく確定申告を学べるというとても分かり易い内容だ。
この本を読んで、今年はやはり申告は必須ではないという事を確認出来て安心した。国税職員が突然現れて徴収に来るなんて事を怯える必要はとりあえずない。そして確定申告は決して難しくないと知れたのも本当にありがたかった。
ただそれ以上に驚愕の事実を私は知ってしまった。それは今の私には社会的な信用が一切ないという現実だった。
本の中に、「税金を支払うと言うことは売上があるという証明。確定申告をする事で信用を証明できる。」という税理士先生のセリフがある。恥ずかしながら、私はこれを読んで初めて「社会における信用」という視点を持った。
考えれば分かる事なのだが、私単体ではクレジットカードを作ることや何かの事業を起こすために借金をする事は不可能に近い。私に部屋を貸す不動産屋さんを見つけるのも難しいだろう。夫がいなければ私は信用ゼロなのである。社会的に見れば、私は夫ありきで一人前なのだ。
夫の扶養に収まって優遇される一方で、私は社会的な信用を得る機会を長年に渡って手放して来た事になる。日本のカネのルール上ではそうなる。
この本を読み終えた時、私の中に社会的な信用を積み重ねていきたいという欲が芽生えた。そして「扶養範囲に収める」事でたくさん稼げる可能性を自ら閉じていたことにも気付かされた。
とてももったいない事をしていたのだなあと思った。
それから数日後、私は行きつけの美容院にいた。長年髪を切ってもらっている美容師さんに本を読んで気付いた事を話していた。彼女は数年前に独立して美容院を経営しているので個人事業主の先輩でもある。彼女に話を聴いてもらいながら頭の中を整理していったのだが、その時に言われたのが冒頭にもある言葉だった。
「社会的な信用って、『納税してるか』と『借金を返済してるか』で判断されるものらしいですよ」
経営者さんの中には、銀行からいつでもお金を借りれるように、必要なくとも敢えて借金を続けている人達もいるらしいと教えてもらった。借金をきちんと返済しているという事実が信用を生むと言うのが世の中のルールだからなのだとか。私は無借金経営が素晴らしいと思い込んでいたので、この「世間の常識」にも驚かされた。
借金をする甲斐性は今の私にはない。ただ、税金を納めることで社会的な信用を得られると知れたおかげでとても前向きな気持ちになる事が出来た。サロンを長年に渡って継続する決意をし、そのまま税務署に駆け込んだという訳である。
納税するぞ! と意気込んで、もう一度確定申告の勉強をしてみたら、個人事業主をサポートしようとする国の配慮がとても多い事に気付かされた。きちんとした手続きを踏んで、然るべき申告をしていれば、税金を取られすぎることはまずないのだ。稼いだ額に応じてちゃんと収入を得られるようになっている。
世の中的には確定申告というのはネガティブなイメージが多い。でも社会的な信用を積み重ねていると捉えたら、とてもコスパが良いように私は思えた。そして何より多大なる社会貢献である。
まずは夫の扶養を抜けて納税するのが私の当面の目標だ。
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