「働くって何だろう?」ってずっと考えてた話
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:佐藤真紀子(ライティング・ゼミ特講)
就活生になっても、働くイメージが全く持てなかった。
だいたい働くって何? そんな感じで。よく分からないから、とりあえず有名な会社がいい。東証一部で、事務職で。そう決めたら、持ち前の親しみやすさを発揮した。セミナーで人事の人と直ぐに仲良くなり、無事に理想通りの企業に事務として入社した。
夢の社会人生活! と意気込んだが、全く仕事が楽しくない。だいたいそう言えば私は「細かいことはどうでもいい」と思ってしまう性格だった。注文の形式がすこーし違っても気にならない。気がつかない。それは事務職として致命的だった。書類を正しく正確に。そこには自分の個性は入れられないように思った。誰がやっても同じであることにやりがいを感じなかった。唯一楽しかったのは、たまにある、後輩や代理店を集めての勉強会の企画と講師だけだった。
これが働くと言うことか。なるほど、やっぱり社会人になるって辛いわ。合点、しながら絶望していた。しかし、そう思いながらも条件やネームバリューが惜しく、在社しながら10年以上の年月が経過していく。どれだけ長く働いても、正確な業務ができるようになり周囲から評価を受けても、私の仕事への満足度は高まらなかった。資格取得の学校を調べたり、転職情報を絶えずチェックしていた。自分が不確定で、ずっと不安だった。
その後思いがけず、プライベートの問題から退職する事になった。会社員と言う肩書きがなくなってしまった。「自分には何にもない」そう感じた。私は30代だった。いい歳して何をしたいか、働くってなんなのか、まだ分からなかった。取り敢えず、仕事を探し始めた。短期の仕事についてみたりした。やっぱり、自分に自信が持てず、自分がふわふわしていて、不安な気持ちになった。
そんな時、時給や条件で仕事を探していたら、ある人に言われた。
「それよりも、今まで働いてきて、楽しかったことを考えてみましょう」と。条件よりも、楽しかったことを考えるなんて。びっくりした。その人の事はもう名前も忘れてしまったが、今までそんなことを考えた事がなかったのだ。
最初は仕事で楽しかったことが何も思いつかなかった。楽しいって何だろう。同僚や先輩との楽しいおしゃべりとか?昔から、人と話すのは好きだから、いろんな取引先の担当者の人達と仲良くできたら楽しかった。研修とか後輩との勉強会も楽しかったな。仕事上で自分自身が分からなかったことをQ&A集にして、社内で賞をもらった時はやりがいを感じていたかもしれない。急にわくわくしてきた。どうせ自分なんて大したことをやっていない、という枠を少しだけ外してみた。私にも自分自身を生かして、出来ることが見つかるような気がした。
同時に、「自分はちゃんと働けているのか」と不安に思うことは「私だけじゃないのかもしれない」と思った。人は大人になると自動的に仕事をするシステムだが、働くことの目的は曖昧で漠然としすぎている。だからみんなが不安になる。私みたいな人のためになりたいと思った。
そして気がついた。自分自身と、それまでの思いや経験が財産なのだと。自分自身を生かす仕事をしようと。
その後、私は紆余曲折し、大学のキャリアセンターで学生たちのキャリア相談をしている。
わけがわからず、闇雲に不安な大学生は、過去の自分である。彼らは訴える。あるいは黙って伝える。自信がない。進むのが怖い。どこに進んだらいいか分からないし、「就活には正解がない」なんて無茶な事を言われてるんですよと。
分かるよ、分かるよと心から彼らの目を見て頷く。目を皿のようにして彼らの長所を探して必ずフィードバックする。挨拶ができる、椅子を戻す、それは既に長所だし、チラシをキチンとファイルに入れるのも長所だ。案外人は意外な部分が仕事につながるのだ。親しみやすさで私は最初の就職ができ、今も相談に来る学生とのコミュニケーションに役立つように。自分では何とも思っていなかったことが、仕事に少しでも役に立つと気が付くと、急にオセロをひっくり返すようにすべての色が変わっていく。その感覚を味わってほしくて。そしてかけがえのない自分に自信をもって進んでほしい。
自分の強みを認識して、もし仕事でそれを発揮できれば、人は必ず喜びを得られる。そんな喜びを糧にして、働きたい。働くことは自分の強みを発揮して、発達させていくことだと私は考えている。私がそうであるように。彼らにもいつか体験してほしい。
そして、もうひとつ考えていることがある。
上手く行くことだけが格好いいことではない。苦しんで傷があることの方が美しいこともある。それがキャリアだ。そんなことを思いながら、言葉にならない若者たちの思いを、ひとつも、ひと雫さえも逃さないようにと、彼らと今日も向き合えている。私はとても幸福だ。
***
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