ONE PIECEを10年間もつまらないと思っていた僕を殴りたい
*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:村人F(リーディング・ライティング講座)
面白い。面白いぞ。
こんなことを思いながら、僕はひたすらスマホアプリのジャンプ+でONE PIECEを読みまくっていた。
読んでいたのはワノ国編の第1部、第2部。
最初からちゃんと見たのは初めてだったけどこんなに面白いとは思っていなかった。
とんでもなく多い登場人物がいながら、それぞれがドラマチックにストーリーを展開する。
そしてそのキャラ同士の関係性も丁寧に描かれている。
必要最小限のコマサイズで最大限の効果を上げているのも見事だった。
こんなに面白いとは思っていなかった。
本当、少年ジャンプを20年くらい購読しているのに、なんで10年間もONE PIECEをつまらないなんて抜かしていたんだろう。
当時の自分を殴りかかりたい。
そう、僕はこのワノ国編をイッキ見するまで、ずっとONE PIECEがつまらなくなったと思っていた。
きっかけは、魚人島編。
ここで出てくる敵が弱かったからである。
というのも、直前までやっていた話がマリンフォード頂上戦争編という、これまでのオールスターが全部揃って、白ひげVS海軍の大戦争としていたからだ。
そこで桁違いのスケールのバトルをされて、それでエースを死なせてしまったルフィが修行を積んでいざ魚人島へ! という形で魚人島編が始まったことに起因する。
この魚人島編で出てくる敵がギャングのボスなのである。
しかもドーピングしているチンピラなのである。
海軍大将と白ひげのバトルを見た直後で、しかもパワーアップしたルフィが対戦するには格が低いにも程がある相手である。
そんなことを思ってしまい、ONE PIECEをちゃんと読むのをやめてしまったのである。
そして、ワノ国編のイッキ見をするまで、約10年間の間、ジャンプを毎週購読していてもONE PIECEはつまらないからテキトーに読もうなんてことをしていたのである。
しかし、今回ワノ国編のイッキ見をすることでそれが全て一変するわけである。
そのときジャンプ+という漫画アプリでワノ国編の第1部、第2部が無料公開されていたのである。
無料だからせっかくだし読んでみるかと思ったらもう大変である。
気がついたら3日くらいで配信されていた50話を全て読みきっていた。
そしてその勢いのままジャンプ+アプリ内にあるジャンプ本誌のバックナンバーを引っ張り出し、あっという間に最新話まで追いついてしまった。
それどころか10年間シカトしていた魚人島編、パンクハザード編、ドレスローザ編など、過去の話も気になりだし、気がついたらコミックスも全て買っていた。
こうしてワノ国編のイッキ見から、わずか2週間足らずで失われた10年と取り戻したわけである。
しかしこの事情を考えると週刊連載というのは恐ろしいものだなと思う。
毎週新しい話が読めるといえば聞こえはいいが、逆に言うと毎週読まなければいけないからである。
最近のONE PIECEはその傾向が特に顕著で、1話で進むスピードが他の漫画の比でないから、本当に1週読み飛ばしただけで付いていくことができなくなる。
そりゃネットでも挫折する人が多いだろうなって思う。
こう考えると現代は週刊連載にとっては良い時代だなと思う。
電子書籍のおかげである。
この存在によって既存の話を無料公開するハードルが一気に低くなった。
そうすることによって僕みたいに途中で挫折した人間をもう一度引きずり込むことがしやすくなったわけである。
なんせイッキ見では1週間も前の話を覚える必要がないのである。
我々挫折組にとっては1週間も覚えることが苦痛だったからこれは大変なメリットとなる。
これによってONE PIECEの緻密な世界観に容易に圧倒されることができるようになるわけである。
こうやってONE PIECEのつまらないと思っていた10年を反省したりしていたわけだが、同時になんて贅沢なんだろうという思いも産まれた。
後世に必ず残るであろうONE PIECE、その傑作に10年間もつまらないなどと言えるのは、同じ時代を生きている我々だけだからである。
きっとONE PIECEが完結した後だと、この評価はできまい。
なぜならその頃にはONE PIECE全体を通した感想しか持ちようがないからである。
だから、つまらないなどという失礼な感想を10年間も持ち続けることができるのは、ONE PIECEをリアルタイムで読んでいる、この時代の我々だけなのである。
それは逆に言うと毎週次の話がどうなるか気になって仕方ないという、週刊連載の一番の楽しみ方ができるのも我々だけということも示す。
今の僕は週刊連載ジャンプの次号の発売が楽しみで楽しみでしょうがないのである。
それは呪術廻戦のおかげではない。Dr. STONEによるものでもない。
ONE PIECEがあるからなのである。
こんな贅沢な楽しみ方ができる僕たちはなんて幸せなんだろう。
だが、残念ながらその楽しみ方ができる期間は、もうそこまで残っていない。
ONE PIECEがあと5年くらいで終わるらしいからである。
この稀代の傑作を、リアルタイムで読むことができるのがあと5年しかないのである。
そう思うと、こうやって再びONE PIECEの世界に没頭できた僕は本当に幸せだと思う。
同じようにONE PIECEに挫折した方、読み直すなら今が一番ベストなタイミングですよ。
今の本誌はワノ国編の最高潮、四皇カイドウVS麦わらのルフィの真っ只中。
息もつけない大激闘が毎週のように繰り広げられているのであります。
それはきっと、昔あなたが熱中したONE PIECEを超える熱狂を提供してくれるでしょう。
もう一度ONE PIECE、始めてみませんか?
本記事で紹介した作品
タイトル:ONE PIECE
作者: 尾田栄一郎
出版社:集英社
***
この記事は、天狼院書店の「リーディング&ライティング講座」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミ、もしくはリーディング&ライティング講座にご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168
■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」
〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325
■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984