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「カスハラ」はなぜなくならないのか


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記事:山田真美(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「カスハラ」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
 
「カスタマーハラスメント」の略である。「パワハラ」や「セクハラ」等、「〇〇ハラ」のひとつである。
 
「カスタマーハラスメント」とは、顧客や取引先が悪質なクレームや不当な要求を言うことである。
 
一度は被害を受けた経験や、見かけた経験があるのではないか。
 
他のハラスメントにも言えることだが、おそらく「ハラスメントされたい」と思っている人なんていない。それなのに、なぜこうも世に「カスハラ」があふれているのか。
 
先日、GO TOトラベルを利用して、老舗のホテルに泊まる機会があった。
 
かなり観光業界は厳しい状況だとは理解していたので、人手が足りていない様子だったのは仕方ないと感じた。
 
とくに夕食は大変そうだった。料理が出されるスピードからして、ギリギリの人員で運営しているようだった。
 
そんな中、後ろの席の男性が何やら若いスタッフに怒っていた。思わず聞き耳を立ててしまった。
 
どうやら、ある料理の食べ方を疑問に思ったその男性は、テーブルに運ばれた料理をほぼ食べ終えた状況でスタッフを呼んで、食べ方を聞いたらしい。そこで、ある食材が運ばれていなかったことが判明した。忘れられていた食材だけでは、あまり食べないようなものだったらしく、「今更用意されても遅いし、他はすべて食べてしまったし、どうしてくれるのだ!」という言い分だった。
 
たしかに、同じ料金で食べられるはずのものが食べられなかったとなれば、単純に男性は損をしていることになる。ホテル側もミスをしているのは認めているのだから、この時点で男性がしていることは「カスハラ」ではなく、「正当なクレーム」なのかもしれない。
 
ただ、そこから1時間弱、スタッフを呼びつけては何かを要求しているような様子だった。その日の責任者を呼び出して、何かを言っている場面もあった。
 
もはや聞き耳を立てなくても部屋中に不穏な空気が流れていた。
 
「たとえ何か気になってもクレームを言わずに二度と利用しない派」の私としては、他の客にまで嫌な思いをさせた男性は「カスハラ」をしているに等しかった。
 
はじめに指摘された時からスタッフの方々は十分反省している様子であったし、信頼を取り戻そうと動いているのも感じられた。
 
それなのに“お客様“である自分が腹立たしく感じた気持ちを晴らすためだけのクレームをぶつけ続けるのは「正当」とは言えないのではないか。
 
運ばれてきた料理は平らげているのだから、そもそも「足りなかったもの」があったことによって、そんな大きな損失はなかったのではないか? 食べている最中に少しも疑問に思わなかったのか? ただその違和感に気づかず「よく分からないけどおいしい」と思って食べていた自分が恥ずかしいと思って八つ当たりしただけなのではないか?
 
「正当なクレーム」というのは「次、被害者が自分であろうと、違う客であろうと、同じ過ちが起こらないよう、苦言を呈す」ということではないだろうか。
 
本来、人から嫌われるような行為をすることを好む人はいないはずだ。苦言を呈す行為は勇気がいると思う。それでも、改善されることを願ってするのが「正当なクレーム」なのではないか。
 
正当なクレームなのであれば、言ったときは心苦しいかもしれないが、相手にもしっかり思いが届き、感謝すらされるかもしれない。
 
「カスハラ」をしている多くの人に当てはまる特徴が、散々怒鳴り散らした後に「ごめんね、さっきは言いすぎたわ」と急に謝ることだ。
 
冷静になった時に、「人に嫌われることをしてしまった」と焦り、自分の身を守るためだけに一先ず謝るのだ。
 
良くするためと思って言っているのであれば、落ち込ませてしまったことに対しての心苦しさはあるかもしれないが、「ごめん」「言い過ぎた」などと謝る必要はないはずだ。
 
「カスハラ」というのは、究極の自分勝手なのだ。
 
どの過程でも、相手のことは一切考えてない。「これは文句を言わないと気が済まない」「なんとなく気に入らない」そんな気持ちだけで言っているから「不当なクレーム」になってしまうのだ。
 
最近は、新型コロナウイルスの影響で、接客業の方が苦しむ場面が例年よりも多かったように感じる。
 
マスクが不足していた時は、薬局の店員さんが怒鳴られているのを目にした。マスクが不足しているのはどうしようもないのに「なんでないんだ!」ととにかく怒鳴られるという、大変自分勝手なクレームを受けていた。
 
「自分はお金を払う“お客”という立場だから」というような気持ちなのかもしれないが、それなら次利用した時にもっといいサービスが受けられるよう改善策を冷静に伝えたほうがいいとは思わないのか。
 
もちろん、正当なことを言えばすべてが受け入れられるわけではないが、少なくとも謝らなくてはいけないような行為ではない。
 
「お客様」という立場を威張るためにつかうのではなく、次にもっといいサービスを受けられるようにという気持ちでクレームを言う人が増えれば、「カスハラ」という言葉もなくなるのだろう。
 
 
 
 
***
 
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2021-01-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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