目指すは調和を創り出す人
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:鈴木 道(ライティング・ゼミ日曜コース)
みなさんはロールモデルをお持ちですか。
私がロールモデルという言葉を知ったのは大人になって大分たってからだった。後から思えば親や先生、先輩など尊敬してあこがれていた人々をロールモデルとして成長してきたんだろうと思うけれど、それを言葉として知っているのと、なんとなく、では大きく違う。
ロールモデルは自分のなりたい方向を示してくれて、成長のためには大切だ。その言葉をもっと早く知っていたら、もう少し自覚的に成長できていたか、とも思う。
私には仕事上のロールモデルとして尊敬する先輩がいる。そして、それとは別の世界、私生活での姑業のロールモデルもいて、それは娘婿の母上だ。つまり娘の姑。
初対面は、二人の婚約の両家顔合わせのレストランの化粧室。下の娘と鏡の前で洋服のチェックをしたところで、「もしかして」と満面の笑みで声をかけてくれた。そしてお部屋に向かう間をエスコートしてもらったのが最初である。
その日の顔合わせは、私たち夫婦には目からうろこの体験、驚きだった。
楽しく和やかに話が弾む中、夫妻が話題を振ってくれる。
「学校はキリスト教の学校だったんでしょう? 結婚式はウェディングドレスかな?」
と、二人の結婚式についての希望や日程、会場など考えや予定を聞き、両家の希望も共有された。
「お友達のお子さんの結婚式で、両方の母親が留袖を着ていたからどの人が母親かすぐ分かって良かったんですって」
と友人の経験談から話が盛り上がり、私たち両母親も留袖を着ることが決まった。
結婚式について話し合うというでもなく、終わってみれば、相談すべき項目は共有されていた。教師の夫は、物事を決めるときは、「今日はこれについて話し合いましょう」と言って話し合うことが身に染みついている。こうやって和やかな会話の中で大切なことを確認できる夫妻のコミュニケーションスキルには驚かされた。
共働きの若夫婦は、子育てをするようになり、困った時にはどちらの母親にも、状況に合わせてSOSを出してくる。
彼女はたびたび駆り出され、ごはん作りに行ってくれては
「気にせず頼んでくれるから手伝える。遠慮されたら手伝えないもの」
とありがたいお言葉。
2番目の孫が生まれる時、出産に立ち会っているパパを待ちながら、ばあばが二人がかりで上の子を寝かしつけた。
「男の子しかいない私が、孫を寝かしつける経験ができるなんて思ってなかった」
と喜んでいた。
若い家族に人気の写真共有アプリに次々送られてくる孫の動画や写真の数々。じじばばにはうれしい限りだが、送られればコメントの一つも返さなくてはいけない。コメントすることで若いパパママへの応援メッセージにもなる。何と書こうか悩ましく思う。そんな時も彼女は上手に写真を選んで生き生きとしたコメントを載せる。ハートのスタンプや絵文字をふんだんに使って見ていて楽しいコメントだ。
自分たちが子育てしていた頃と状況も、やり方も大きく違う。彼女は、若者たちのやり方を彼らのやり方として受け入れている。そして、小さいことでも頑張ってるね、と嫁のことをほめている。自分の感じたことを愛情たっぷりに屈託のない言葉で表している。そんな一つ一つの対応に彼女の暖かさを感じ、私もほっとした気持ちになる。若い夫婦もどんなにか励まされていることだろう。
相手を受け入れ、大切に思っている気持ちを伝えること、よくやっているね、と言葉として伝えることは大切だ。大事に思っているだけで、伝えなくては伝わらないのだ。私はそこのところがとても苦手だ。だからこそ、こうやってライティング・ゼミで思いを言葉にすることを学んでいるのだが。これからだよ、と自分を励ましながら私も二人の息子とその妻たちを心から大切にしたい。私の思いを伝えていこうと心に刻んでいる。
大切なことを忘れていた。私にはもう一人、姑業のロールモデルがいたではないか。私の本物の姑、夫の母親だ。子どものことで悩んだ時、「あなたたちの子どもなんだから大丈夫よ」とゆるぎない信頼を表してくれた。いつも少しおしゃべりするだけで、「あなたと話すと元気になるわ」と喜んでくれた。私は、嫁として一度も嫌な思いをしたことがない。
二人に共通することは、相手を丸ごと受け入れていることだ。そして言葉をかけてくれる。だからこそ、そこには調和がうまれ、穏やかな空気が流れる。私も調和を創り出す人を目指したい。二人の顔を思い浮かべながら、そう思う。
***
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