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大学生って可哀想なの?


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記事:れな(ライティング・ゼミ特講)
 
 
大学2年生が終わった。これから春休みだし、まだ成績だって出ていないから、まだ2年生っちゃ2年生だけれど。
 
春休みって不思議なもので、高校はしっかり卒業したけどまだ大学には入学していないとか、4月1日から新しい学年として換算するとか、なんだかふわふわした時期だ。どこにも所属していないようなそんな錯覚にも陥る。
 
大学生の春休みは今回で2回目だ。(当たり前だ。だって私2年生だもん)
 
去年の春休みには1ヶ月、オーストラリアに語学研修に行った。(1ヶ月と短いのでおこがましくて留学とはいえない)それまでも海外に行ったことはあったが、一人で海外に飛ぶのは初めてだったから緊張したのを覚えている。そして9時間の飛行機で一睡もできず、フラフラしながら空港に降り立った。でも思っていた以上に、異国の地で暮らすことは楽しかった。何もかもが新しくて、コミュニケーションを取るだけで達成感があったのだ。だから、お金を貯めて、絶対に海外に行こうと思った。フランスに一人で旅行に行った先輩の話を聞いて、一人海外旅行なんてのもやってみたいと思っていた。
 
あの時から一年。びっくりするくらいに世界は変わってしまった。
 
「1年前と全然違うよね」
 
「想像できなかったよね」
 
これが今の世界を生きる私たちの口癖だ。
 
もうどう頑張っても戻ることのできない世界。こんな未来が待っているなんて一ミリも想像したことがない世界。
 
ご存知の通り、大学の授業はオンラインが主流になった。大学や学部によっては週に1回は大学に通って対面で授業を受ける、なんてこともあったらしい。私は見事に全部オンラインだったけれど。
 
それでも資格の申請のために必要なお金を払いにいったり、無理を言って大学の先生に勉強を教えてもらいにいったりした。
 
だから片手で数えられるくらいには大学に通った。1ヶ月ではない、1年で。
 
逆を言えば、片手で数えられるくらい「しか」大学に行けなかった、とも言える。
 
アルバイト先で働いていると、社員の方に「最近大学はどうなの?」と聞かれる事がある。中には、普通に大学に通っていると思っていた方もいた。
 
「ずっとオンラインですよー」なんて話をしたら「緊急事態宣言が出ているからまたオンラインになったのかと思ってた」とびっくりしていた。世間の認識ってそんな感じなのかなと思って私もびっくりした。
 
彼らとオンライン授業の話をしていて、私が「今年はまだ片手で数えられるくらいしか大学に通えていないですけどね」と話すと、彼らはやや慄いて「可哀想だね」と言う。
 
遊びに行けないし、大学にも行けないなんて可哀想。
 
アルバイト先では明るい大学生を演じているから、
 
「そうですよね! ほんと悲しいですよ」
 
なんて言って明るく笑い飛ばしているが、本当はなんとも言えないモヤモヤした気持ちでいる。「可哀想」と言う言葉はシコリのように私の心に残る。
 
私たちってそんなに可哀想なのだろうか。
 
確かに昔のように、何も気にせず遊ぶことはできなくなったけれど、多分それは大人だって同じだ。それに全く遊べないわけでもない。もちろん、それなりの対策は必要だけれど、昔以上に友達と会う、という行為を大切にしながらめいいっぱい楽しんでいる。対面で会えない代わりにウェブ会議ツールを使ったり、電話したり。どんな環境でも繋がりを絶やさずに生活している。
 
オンライン授業で大学に行けないのに学費ばっかり取られて大変ね、とも言われる。学費が適切かどうかの議論は横においておくとして、オンライン授業も思っているほど悪くない。
 
先生の裁量によってよかったりひどく悪かったりまちまちだが、おそらくこれは対面の授業でも変わらない。きっとオンライン授業でいまいちな先生は、対面の授業でもいまいちだったはず。
 
授業が動画になって効率が良くなった、自分の好きな時間に勉強できるようになったと言う人もいるけれど、私はオンライン授業になって勉強量が増えた。これは課題が多いから云々ではなくて、1年生の頃は授業中にスマホいじったり、サボって授業を休んだりしてしまっていたが(最低…… 反省しております)、ちゃんと授業を受けるようになったからだ。興味とかないし、なんて強がっていた教養科目も家で腰を据えて勉強するようになったら面白かったのだ。私はオンライン授業を通して、授業中におすすめされた本を読んでみるなんて真面目な大学生に進化した。
 
オンライン授業だからこそ、得られた学びだったり気づきだったりもあるから、一概に対面がいいとは言えないのかもしれない。
 
だからどうか、私たちのことを可哀想だと言わないでほしい。
 
あまりにもたくさん言われてしまうと、心の中のモヤモヤがどんどん溜まっていって、
 
「あれ、もしかして今の大学生って可哀想なのかな」
 
って思ってしまいそうになる。
 
自分のことを可哀想なんだ、って思うようになる方がよっぽど可哀想な状況だ。
 
「置かれた場所で咲きなさい」
 
というありがたい言葉通りに、私たちは今の環境で、一生懸命花を咲かせようとしている。
 
いつか私たちが大人になって、おじいさんおばあさんになったら、遊び呆けている大学生を見て、嫉妬してしまうかもしれない。わしらの時は、あんたらみたいに遊べなかったのよ、なんてありがたくないお言葉を若者に投げかけてしまうかも知れない。
 
おじいさんおばあさんになってもぐちぐちぐちぐち文句を言うような人は本当に「可哀想な人」になってしまうかもしれないけれど、今の私たちは、まだ、「可哀想」ではない。
 
だから、私たちを置かれた場所で咲こうとしている努力家なんだって思って、暖かく見守ってくれたら本当に嬉しい。
 
これから春休みを迎える大学生たちは、去年のように遊んだり学んだりすることはできないかもしれない。だけど、急激に発達しつつあるオンラインツールと大学生の柔軟なアイデアで楽しく過ごす事ができるはず。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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