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タイムマシンに乗った感覚にさせられる家系図作成


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記事:廣田夏(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
僕は小学生の頃から歴史が好きだった。なんで歴史好きになったかハッキリとしたキッカケは覚えていないのだが、多分一緒に住んでいた亡き祖母がよく歴史の話をしてくれていたからだと思う。戦国武将の話から、戦時中の自分の実体験まで、まあいろんな話をしてくれた。高校生になる頃には守備範囲が世界史まで広がり、どんどんのめり込んでいった。 
そして去年の夏休み、フト思ってしまった。 
「そういえば自分のルーツってどうなっているんだろうか?」 
こう思うまで僕にとっての歴史はどこか他人事で映画や小説などのフィクションと変わらなかった。しかし自分のルーツを調べることでより歴史をリアルに感じられるようになるのではないか? なんとなくそんな気がしたのだ。 
「よし! 自分で家系図を作ってみよう!」ということで、僕の家系図作りはスタートした。 
家系図作りの第一ステップとしてまずは戸籍を取り寄せなければならない。 
日本の戸籍制度というのは凄いもので、災害などで消失していない限り、だいたい明治の初頭まで遡れる。当たり前だが江戸幕府の倒幕から明治政府の誕生までを自分のご先祖様達は体験しているということだ。 
だがこの戸籍の取り寄せというのが結構面倒だ。ご先祖様たちがずっと同じ地域に住んでいたら一つの役所に要求すれば手に入るのだが、もし世代が変わるごとに住んでいる地域を変えている場合は複数の役所に要求しなければならない。スナフキンのような放浪グセのあるご先祖様がいた場合は大変だということだ。 
またこの請求のために「郵便小為替」というもので支払わなければならない。これは郵便局でのみ販売されているので、郵便局の営業時間中に買いに行かなければならない。在宅勤務中の昼休み、近所の郵便局に走ることで、平日に働いている人だと中々入手するのが困難な郵便小為替を手に入れることができた 
さて次のステップは取り寄せた戸籍を読み取っていかなければならない。この読み取り作業は、明治初期に近づいていくほど達筆な旧仮名遣いで書かれていた。読み取るのに苦戦させられた。「これは日本語ではなくて、象形文字かなんかじゃないのか?」と思うくらいだった。 
だがこの大変な読み取り作業はまるで昔の写真のアルバムをめくるときと同じくらい感動させられる作業であった。一つ一つ情報を確認するたびに色々と想像させられるからだ。 
「昔は家族が多かった」と本には書かれているが、じゃあどれくらい多いのか? というとそのイメージはみんなバラバラだと思う。現代の大家族のイメージはサザエさん一家ではないだろうか。 
ところが父方も母方も取り寄せた戸籍を見るとまず兄弟の数に驚く。だいたい5~6人の名前が連なっているのが普通なのだ。 
僕の祖母は7人兄弟の長女であった。しかしそのうち2人は病気で亡くなっている。母に聞いてみると、どうも結核で亡くなったらしい。 
「最近はドラマでも取り上げられることのない結核という病気で自分の祖先が亡くなっていたのか」とちょっとしんみりした気持ちになった。 
また先代の戸主の欄に「隠居の為、〇〇に家督を譲る」という言葉もあった。隠居というのは戦国時代の武士かなんかがやるもんだとばかり思っていたので、自分のご先祖様が行っているとは思ってもみなかった。 
そして戸籍に残る一番年代が遠いご先祖様はなんと「天保十年」生まれであった。この年は長州藩士で奇兵隊を作った高杉晋作が生まれた年と同じ年だということがわかった。自分のご先祖様と今まで学んできた歴史が最も繋がった瞬間だった。 
戸籍自体は言ってしまえば名前と住所、生誕日、結婚日、死亡日などが情報として文字と数字が並んでいるだけである。いかにもお役所の文章という感じだ。しかしその文字情報からいろいろな想像を掻き立てられ、まるで歴史小説を読んでいるような錯覚をさせられる。 
家系図を作成すると、まるでタイムマシンに乗って過去をタイムトラベルしているような感覚になる。歴史小説を読んでいるときや歴史映画を見ているときも感じるが、それよりももっと身近に感じる。 
皆さんも是非家系図を作ってみてほしい。自分一人で作るとなると中々大変だろうが、そこから読み取れる各家系独自の物語が味わえるはずだからだ。そしてその物語は一流の歴史小説と同じくらい、あなたを感動させてくれると思う。 
 
 
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2021-02-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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