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スウェーデン流仕事の楽しみ方、案外いいかも

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:馬場 さかゑ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
子供たちのシュタイナースクール転校に伴って、住居も変えた。
 
スウェーデンの借家探しは、買うよりむずかしい。
 
でも、なんとか、85%希望通りの家を見つけた。
 
そして、引っ越し。
 
自慢じゃないが、今度の引っ越しは、私の人生の中で20回目を超える。
 
何を隠そう(隠す必要もないが)引っ越し人生のプロなのだ。
 
で、引っ越し評論家としては、以下の幾つかの点で、目が点になった。
 
まず、8時半に登場した3人連れの引っ越し屋さん。
 
がたいがっちり、腕には刺青。
 
私と挨拶をかわし、ざっと家の中を見回った。
 
そして、サンルームに広げてあった卓球台を見つけた。
 
冬の長いスウェーデンでは、屋内でできる卓球は人気で、かなりの確率で自宅に卓球台を持っている。
 
「おー、卓球台!」
 
そして、その後、30分以上卓球をしていたのだ。
 
依頼人の私が、せっせと片付けているというのにだよ!!
 
いつ、止めるのだろうか。と気を揉みながらも、
 
「そろそろ働いてもらえますか」
 
の一言が言えずに、これ見よがしに卓球台の横を忙しそうに横切るわたし。
 
でも、全く気にしていない。
 
ようやっと9時過ぎにリーダーが
 
「そろそろ始めるか」
 
と声をかけてその場を離れた。
 
にもかかわらず、その後10分ぐらい卓球を続ける部下の作業員。
 
全員が、作業に取り掛かったと思ったら、ほどなく、9時半。
 
「おーい」と呼び合って、休憩15分。
 
そして、10時15分には、
 
「ちょっと外に行ってコーヒーブレークしてくるから」
 
私が、
 
「家でコーヒーを淹れましょうか」
 
と申し出たのにも関わらず、
 
「いや、サンドイッチなんかも食べたいし」
 
日本では、こちらが
 
「そろそろ休んでください。お茶入れましたから」
 
と声をかけても
 
「ありがとうございます。もう少しでキリになるので、その後で」
 
などとなかなか休まない。
 
場合によっては
 
「次もあるので、早く終わらせたいので」
 
と、いうこともある。
 
日本の引越し業者は、みんな本当によく働く。
 
たっぷり1時間経って、11時30分ごろ戻ってきたときには、私は、ほとんど怒りで燃える女!!
 
ところが、その間に外出から戻ってきた夫が、
 
「これがスウェーデン式かもしれないから。ま、あんまり怒るな。
 
1日かけられる仕事を半日でやってしまう意味がないんだろう」
 
そうかもしれないけど、主婦としては、早く運んでもらって、向こうでの片付けに時間をかけたい。
 
だいたい家具付きの家なので、大きなものの移動はほとんどない。
 
運ぶ量はたいしたことないはずなのだ。
 
引っ越しのプロとしては断言するね。
 
日本の業者だったら、2時間で終わって出発しているはず。
 
そして、何回かの休憩の後、ようやっと3時過ぎに出発することになった。
 
「食事をとっていくから5時半に向こうで会いましょう」
 
という。
 
片道40分のところ。
 
もちろんたっぷり1時間以上の余裕は見ている。
 
新居に着いた時は、既に真っ暗。
 
私の当初の心づもりでは、この時間には、あらかた片付いているはずだったのに。
 
悲しい。
 
さて、それからがまた大変。
 
引っ越しに使った段ボール箱は、組み立て式で、業者が朝持ってきてくれたもの。
 
ゴミが出ないように再利用するタイプ。
 
さすが、エコの国。
 
と、感心している場合じゃない。
 
そのまま、置いていってくれて、荷物をかたづけたら、後日集荷に来てくれると思っていたのが間違い。
 
使った段ボール箱はすべて持って帰るというので、中身をとりあえず、床にぶちまけ始めた。
 
空かないと帰れないからだ。
 
ぶちまけられては困る食器類は、キッチンで私がせっせと箱を開ける。
 
この頃になると、さすがに作業員たちも、早く帰りたくなってきたと見えて、せっせとさっさと働いてくれる。
 
あらゆる部屋の床に広がる、荷物、荷物、荷物の山・・・・。
 
分類して梱包した意味がない。
 
その頃には、私は、絶望で固まる女になっていた。
 
だって、そのあと処理、どう考えたって、私の仕事でしょう。
 
「ビールもらっていいですかあ」
 
荷物の中からビールを見つける。
 
「いいですけど」
 
許可すると、さっさと冷凍庫へ。
 
「冷えたら休憩にします」
 
でも、この仕事ぶり、案外悪くないかも。
 
何しろ悲壮感や、無理というものと程遠い仕事の仕方なのだ。
 
そして、最後のダンボール箱が空いた。
 
既に、8時をまわっている。
 
すぐ、帰るかと思いきや、リーダーがこう言った。
 
「さあ、終わった。
 
じゃあ、これからお嬢さんのピアノコンサートを聴くか」
 
新しい家には、大家がピアノを残して行ってくれたのだ。
 
引っ越しの最中に、娘が習っているのだと夫が説明したらしい。
 
そして、全員が、リビングに座ってビールを飲みながら、娘の「ねこふんじゃった」の演奏を聞いたのだった。
 
その後、届いた請求書には、到着した朝8時半から家を出ていった夜9時までの時間給がきっちり請求されていた。
 
卓球の時間も、ピアノコンサートの時間も、もちろん、異常に多い休憩時間もふくまれている。
 
こんなに思い出深い引っ越しは、かつて一度もなかった。
今後も超えることはないだろう。
 
 
 
 
***

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2021-02-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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