心の病気にならない正しい悩み方
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記事:岩槻まなみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
「なんで人はうつ病になっちゃうんですか?」
先日、メンタルヘルスセミナーで臨床心理士のお話を聴く機会があった。
メンタルヘルスはとても身近で関心が高い分野である。しかし、その一方で専門書の中で語られる「うつ」の概念と一般的に使われている「うつ」の概念の乖離が大きいという内容だった。
一生懸命聞いたのだが専門的すぎて、正直よく分からなかった。
で、最後の質問タイムで、最も知りたかったことを聞いてみたのだ。
10年前、夫がうつ病になった。
38才という若さで管理職に昇進してしばらくたった頃だった。
確かに夫は休みなく働いていた。しんどい事も多かったようだ。
でも、会社員だもの、皆そうでしょ? 役職が上がれば誰だって責任やプレッシャーはあるよね。
うなだれる夫の横で医者の説明を受けたが、「なんで、こんなことになるの?」と、ただ理由を知りたくて情けなくて、心の中は涙で一杯になった。
夫はすぐ休職して治療にはいった。精神的にも経済的にもギリギリの状態の中、私たち夫婦の「うつ」と戦う日常が始まった。
くれぐれも勘違いしないでほしい。
夫は心が弱いからうつ病になったのではない。どちらかと言うと、鉄板のように逞しい精神の持ち主だ。24時間働いてもぶっ倒れないタフなビジネスマンだった・・・はずだ。
つまり、うつ病は誰であってもなりうる風邪のようなもの。時間はかかるけれど治療をすれば必ず治る病気なのだ。
私がしていたことは2つだけ。
たった2つ・・・だが、苦しかった。夫が寝た後でよく泣いた。
1つ目は、お喋りしながら河川敷をゆっくり散歩すること。
理由は日の光を浴びるためと生活リズムを整えるためだ。
2つ目は、「早く良くなってね」「がんばってね」を絶対に言わないこと。
ただでさえ責任感が強い夫だ。一度も口には出さなかったけれど、一日も早く会社に戻りたかっただろう。
3ヶ月ぐらいたった頃、やっと安定してきた。
昨日は調子が良かったのに、今日は部屋の隅でうずくまったまま、そんな状態の繰り返し。調子が上向いたり落ちたりしながら少しずつ少しずつ治っていった。
そして、復帰後は子会社へ異動動となり、再発することなく働いてくれている。
うつ病は誰にでも起こる風邪のようなものだと、十分理解している。
風邪になったからといって「なぜ風邪をひいたのか?」とは考えないだろう。
多分体力が落ちていて、その時にたまたまウイルスがはいったのかなと、適当に理由付けするだけだ。
それでも、やっぱり「なぜ、うつ病になってしまったのか」理由を知りたかったのだ。
「なんで人はうつ病になっちゃうんですか?」
講師はマイクをしっかり持って、私の顔をみながら笑顔で答え始めた。
「人って、悩んだり、嘆いたり、不安になったりしますよね。この3つで、どれが最も心に良くないと思いますか?」
はっ?何を問われているのか分からなかった。呆けた顔の私に講師は言葉を続けた。
「実はね、うつ病になるのは不安が強い人なんです。不安が一番心に良くないんだよね。
これを時系列に分解してみると、悩み・嘆き・不安は、現在・過去・未来なんですよ。」
時系列? 講師は何を言っているの?
私の頭が悪いのか、この講師がぶっ飛んでいるのか。
『人は誰しも悩みます。この悩むという状態に種類があるんです。
「不安」は未来の心配事のこと。まだ起きていない心配事。まだ起きていないから漠然としているし、解決も出来ないじゃないですか。だから心に良くない。
「将来どうしよう」「コロナでどうしよう」「クビだと言われたらどうしよう」と起きてもないことを考えて不安になる。これって考えてもしょうが無いことなんです。
「嘆き」は過去のこと。すでに終わったことを愚痴る行為です。「あいつが悪い!」「なんで私ばっかり!」「ああしてくれてたら良かったのに」こうやって責任を人のせいにすることなんです。
「不安」と「嘆き」、どちらも心に良くないけど、最も気をつけなければならないのが「不安」です。
皆さんには正しく悩んで欲しいと思っています。
解決に向かうために考えることを「悩む」といいます。うつ病になった人をたくさん見てきたからこそ、伝えたいんです。
考えても仕方ないことは考えない方がいい。悩むなら「正しく悩もう」と。』
分ったような分らないようなお話しだったけれど、講師の熱意は伝わってきた。
きっと、夫は考えても仕方ないことを考えすぎたのだ。家族のため(部下のため?)未来を心配しすぎて不安になったのだ。
今夜、夫にこのセミナーの話をしてあげよう。
きっと、「なんだそれ?」って鼻で笑っちゃうだろう。それでいい。
大事なことは、一人で悩みや不安や嘆きを抱え込むのではなく、何でも話し合い分かち合える関係になっていくことなのだ。
それは今日からでも決して遅くない。一緒に正しく悩もう。そして、喜んだり怒ったり泣いたり笑い合う。
そんな夫婦になることこそ、心の病気にならない最も大切なことなのだ。
***
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