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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:曽屋由香里(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
ほんの数分前まで、浮かない顔をしていたあなたが、花が咲く様にパッと明るくなる。
ほんの数分前まで、怒りで荒波の様な心になっていたあなたが、凪のごとく穏やかになる。
 
ただただ私は頷いていただけだけど。
 
私はなぜか、人からよくグチを聞かされたり、相談までとはいかないが、そういう類の話を持ちかけられる。
それも同年代の友人以外にも、後輩や年上の上司からも。
 
「〇〇についてどう思う?」
「最近〇〇なんだよねぇ……」
「ちょっと聞いてよ! この前さぁ!」
 
だいたいこのパターンで始まるのだけど。
 
私はただ
「そうですね。 いいと思います」
「うーん、大変ですね、 大丈夫ですか?」
「……(黙って頷く)」
 
こんな感じで話を聞いているのだが、決して適当に受け流しているわけではない。
ちゃんと人を見て、この人が今欲しがっている反応は何かを考えながら、受け答えはしている。
 
この様な立場になる事が増えたのはいつからだろう?
思い起こせば、最初は働き始めて3年くらいたった頃だったと思う。
怖くてあまり関わりを持たない様にしていた先輩が、突然私に向かってグチを喋り始めたのだ。
最初はまさか自分に話しているとは思わなかったが、その部屋には先輩と私しかいない。緊張の中、早くこの空間から立ち去りたい思いで、ただ黙って先輩の話を聞いていた。
すると、ひとしきり話し終えた先輩が、普段見せない笑顔で
 
「聞いてくれてありがとう」
 
と言って去っていた。
その時は若かった事もあり ”何だったんだろう?” と疑問しかわかなかったのだけれど。
それ以来その先輩との仲が良くなり、そういう話をされる事が増えていき、気がつくとオーナー夫婦のグチを聞く様にまでなっていた。
 
それは転職した先でも続いた。
特に気の利いた返答をしているわけでもないし、なぜ自分がそういう話をされるのか、疑問に感じていたので一度先輩に聞いてみた。
すると
 
「ただ聞いて欲しい時ってあるでしょ? そういう時に、なんか話しやすいんだよね」
 
その時初めて、あぁなるほどと腑に落ちたのだ。
確かに、自分でも本気で相談したいなら、突然世間話の様に話し始めないし、腰を据えて話ができる様に、ちゃんと時間を作って場をセッティングするなと。
 
ちょっとイライラしてる時やちょっと迷っている時、ちょっとぼやきたい時って誰かに言いたくなる時ってないだろうか?
そういう時って特にアドバイスを欲していないし、良かれと思ってくれたアドバイスが見当違いなら”そういう事じゃないんだけどなぁ”と微妙な気持ちになってしまう。
 
そんな時に、ちょうどいい感じに聞いてくれる存在だったみたいだ。
 
初めはこういう話を聞くのもしんどかったけど、その一言で気持ちが変わったのだ。ただ聞くだけで、相手がいい気分になるのならそんなに悪くないのかもと。
 
それから私は話を聞く時に、自分なりのルールを2つ定めるようにした。
それは
”自分の気分が下がっている時には絶対に聞かない”
”共感はするけど共鳴しない”
という事。
なぜなら大抵の場合、この手の話を聞くのは結構パワーを持っていかれるからだ。
言い方は悪いが、自分事ではなく他人事として聞く様にしないと自分までひきずられてしまうから。
 
ただ1つ、話を聞いてもらいたいと思っている相手が、心が本当に辛くて「助けて」って言えない時は注意をしている。
 
この時ばかりは、こちらからは言葉を発しない。
ただ黙って、相手が話し始めるまで急かす事もせず、ただお互いにゆっくりと同じ空間を共有する。
そして、話し始めたら否定はせずただ黙って相槌を打つ。
 
なぜこの様な話の聞き方をする様になったのか。
それは以前、私自身がしんどくて辛かった時、私が話し出すまで何も言わす、ただ横にいてくれた人がいた。
 
心につっかえている事を吐き出したくて、スッキリしたくて。
でも何から話したらいいのか、わからなくて。
何か言わなきゃと焦り始める私に
「このコーヒー美味しいね」
とたわいもない話で落ち着かせてくれた。
 
なかなかの本題に入れない私に彼女は
「最近どう? しんどくなってない?」
と私の心を見透かしてるか様にパスを出してくれる。
たどたどしく言葉を紡ぎ、支離滅裂になっていても、突っ込まず話を聞いてくれた。
ただそばにいて、たまに共感して、ただ黙って頷いてくれる。
彼女は私がスッキリするまで、私の中にある答えにたどり着くまで、何時間でも付き合ってくれた。
私は彼女のおかげで救われたのだ。
 
昨年から、特にコロナのせいで辛い思いをしている人がとても多くなっていると思う。
皆さんの周りにも、しんどくて、助けを必要として頼ってきてくれる人がいるかもしれない。
そんな時はきっと話を聞いて、自分の体験談を話したり、こういう時はこうだ! と正論を伝えたり、その人を思って何かアドバイスをする事が多い思う。相手が答えを相談者に求めるなら、それも間違いではない。
 
しかし、もし相手の中に答えがあるならば?
そんな時は、ただその話を黙って受け止める。
 
何かを吐き出す方法は人それぞれで、ダムの放流の様に話す人もいれば、雨が降り始める時の様にポツリポツリと話す人もいる。
 
相手が何を求めているか、見極めるのはとても難しいのだけど。
何も言わないというアドバイス。
一見矛盾はしているけど、そんな寄り添い方もあってもいいんじゃないだろうかと思うのだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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