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旅人よ、安易にヒッチハイクをしないでくれ。


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記事:Shota Hitomi(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
そろそろ一人旅がしたい。
 
 
電車の旅、船の旅、車で行く旅、飛行機で行く旅、自転車の旅など。旅には色んなスタイルがありどれも好きなのだが、「人との出会い」を旅の醍醐味だと考えている僕からすると、今は特にヒッチハイクで一人旅がしたい。
 
 
特に最近はコロナ禍にあってなかなか自由に旅ができないし、人と会うことすらためらってしまう窮屈な毎日が続いている。だからこそ、僕と同じように人との出会いや触れ合いを求めている人も少なくないのではなかろうか。いや、きっと多いはずだ。なんならこれを読んでいるあなたもそうかもしれない。そう考えると、コロナが落ち着きみんなが自由に接せられる世の中に戻った時、若者や学生を中心にそれまで以上に多くの人がヒッチハイクに挑戦するのではないか、と僕は考えている。
 
 
そんな旅人同志たちに向け、忠告しておきたい。
 
「安易にヒッチハイクをしないでくれ」と。
 
 
「いやいや、お前何者だよ!」という声に答えるためにも説明するが、学生時代、一人旅にハマっていた僕は飛行機旅、自転車旅に続いてヒッチハイクにも挑戦した。京都から東京までのヒッチハイクを皮切りに、5年間で大小様々なヒッチハイクに計5回挑戦し、約30台の車にお世話になった、ベテランヒッチハイカー(自称)である。
 
 
ヒッチハイクと聞くと、よく強心臓なイメージを持たれることが多いが、初めの頃は全くそんなこともなかった。なんなら今でも多少なりとも緊張する。
 
 
まずヒッチハイクにおいて最初の壁となるのが、恥ずかしさだ。行き先を記したスケッチブックを掲げる。この最も基本的な行為がとてつもなく恥ずかしい。どんな風に見られているのか、どう思われているのか。ヒッチハイク中、自意識過剰な僕の自意識は、かつてないほど過剰に高まる。一台一台過ぎ去るドライバーに時に笑われ、時に指を刺され、じわりじわりと胸を締め付けられる。「あぁ、何でこんなことしようと思ったんだろ」と後悔したことは数知れず、猿岩石の二人を本気でリスペクトした。
 
 
さらに、停まってくれたドライバーが怖い人だったらどうしよう!? 何か犯罪に巻き込まれるかもしれない!? と、ヒッチハイクそのものへのイメージも悪い方へと転がって行く。やがて凍えるような寒さ、あるいは灼熱の太陽に体まで追い込まれ、ヒッチハイクは心と体を鍛える修行のようなものだと初めの頃は思っていた。
 
 
しかし、その考えはヒッチハイクを成功させる度に覆されていく。
 
 
乗せて貰うと当然ドライバーさんと会話をする。色んな話題で盛り上がるが、その中でも特に「何で僕を乗せてくれたんですか?」と、乗せてくれた理由はテッパンだ。すると、あるドライバーさんがこんなことを言ってくれた。
 
 
「キミなら大丈夫かなと思って」
 
 
「僕なら大丈夫???」
 
 
初めはよくわからなかった。
 
だが、その後も「最初女の子に見えて、大丈夫かなって思ったの」と言ってくれた女性ドライバーさんや、「キミは悪いことしなさそうな顔してるから」と言ってくれたドライバーさんなど、何人ものドライバーさんから同じようなことを言われ続ける中で、ハッとなって気づいた。
 
 
「そうか。ドライバーさんも乗せるのが怖いんだ」
 
 
例えば、もし拾ったヒッチハイカーが何が罪を犯し逃走中の犯罪者だった場合、また所持してはいけない何かを運んでいる場合、そのドライバーも犯罪に加担したとして罪に問われる可能性がある、という話をあるドライバーさんから聞いた。
 
 
また、こんな話も聞いた。
 
もしも自分が事故を起こしヒッチハイカーにケガを負わせてしまったり、最悪死亡させてしまった場合、赤の他人では何の責任も取れない。親に対して、家族に対して何て言えばいいのか。子供をもつドライバーさんなら尚更そのことを強く考えるとのこと。
 
 
つまり、ドライバーさんたちは「犯罪に巻き込まれるかも知れない」という恐怖心と、「命を預かっているんだ」という責任感を持って僕たちヒッチハイカーを乗せてくれているのだ。
 
 
そう思うと、勝手に怖い想像を膨らませておきながら、うまくヒッチハイクが繋がれば「一期一会だ!」と楽しさに浮かれ、「交通費浮いたー!」とちゃっかり節約に喜んだ自分本位な旅に、とても反省した。そして、「楽しい」「嬉しい」「助かった」など、僕が受け取った全てのプラスな感情の裏にドライバーさんたちの葛藤があったんだと思うと、感謝してもしきれない思いが込み上げてくる。それほどヒッチハイクという旅は、安易に取り組めるものではないのだ。
 
 
これからヒッチハイクを志す旅人たちへ。
 
確かにヒッチハイクはお金を浮かせられるし、ワクワクドキドキする感覚がたまらない最高の旅の手段だ。僕自身、旅のスタイルとしてオススメするし、若い人にはもっともっと取り組んで欲しいとさえ思っている。
 
でも、僕たちヒッチハイカーが受け取る「お得感」や「ワクワク感」の裏に、危険や責任を負いながら命を預かってくれているドライバーさんがいることを忘れないで欲しい。
 
 
手書きのスケッチブックを手に、懸命に車を待つ僕らを見て「頑張ってるから乗せてあげたい!」「寒そうだから乗せてあげたい!」と、100%の好意で迎え入れてくれるドライバーさんたち。当然その好意に見返りなんて1mmも求めてはいない。
 
 
彼ら、彼女らの優しさに応えるためにも、もし挑戦する際には「感謝」もバックパックに詰め忘れないで欲しい。
 
 
良き旅を!
 
 
 
 
***
 
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2021-02-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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