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「こじらせさん」の取扱説明書


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記事:空飛ぶぺんぎん (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
わたしは、「こじらせさん」だ。
 
気がつきすぎて疲れる人のことを「繊細さん」というらしい。
Highly Sensitive Personという性格特性であるが、感覚が敏感で、人の心の機微などにも気がつきすぎるがゆえに日常生活に生きづらさを感じてしまうことも多く、なんと人口の15~20%がそうだとも言われていて、すっかり市民権を得ている。
 
「こじらせさん」は、大切にしたい価値観がたくさんありすぎて、その優先順位がつけることができずに葛藤している人のことをいう。
繊細さんのような心理学的な知見はまだないが、わたしの見立てによると、一定数存在するのではないかと推察する。
 
わたしが現認している「こじらせさん」の特徴を紹介したい。
① たくさんの価値観を持っていて、時々でその優先順位がつけられない
大切にしたい価値観がありすぎて、場面、場面で適切に優先するべき価値観を見失ってしまう。
② 基本的にうまくやれない
すべての価値観を大切にしようとするので、基本的には不器用だ。
この場合は、この価値観を脇に置いて、やり過ごそうなんてことはしない。いや、できない。基本的にすべての価値観をまっすぐに大切にしようとする。
そして、価値観たちが大切にできないことに悲しんだり、怒ったり、葛藤しているので、その様子を見た周りから、もっとうまくやればいいのに……と言われている。
 
それが「こじらせさん」だ。
 
わたしの「こじらせ」体験を紹介したい。
組織で働いていたとき、割と大きな予算の仕事が急に降ってきたことがある。
わたしは上司に、その仕事の必要性を尋ねてみたが、
「上が決めたことなんだ」、「●●君に任せたらいいよ」
としか答えてもらえずにいた。
「上がどうして決めたのか知りたいんです!」「●●君に任せるための材料が欲しいんです! 」としつこく食い下がってみたものの、
「もう決まったことなんだ。サラリーマンなんだからあきらめてくれ」と言われ、上司と言い合いになったことがあった。
 
しかし、あきらめきれなかったわたしは、関係部署の課長に問い合わせた。
「納得できないんです」と。
その課長は資料を持って飛んできてくれて、上席が何をどう言い出したのか、そして誰も止められなかったこと、彼自身も納得している仕事ではないこと、でも、できるだけ意味のある仕事にするために努力をしたいと考えていることも説明してくれた。
 
そのことによって、わたしは気持ちをおさめることができた。
 
わたしには
「100%の力で仕事に臨みたい」
「意義ある仕事がしたい」
「尊重する・される」
「共感する」
「仲間を大切にする」
「あきらめない」
「信頼される人でありたい」といった価値観がある。
 
特に「100%の力で仕事に臨みたい」ということをその時は大切にしたかった。
だから「その仕事の必要性」を上司に問うたのだ。
 
しかし、上司からは何の情報も得られず、「部下にやってもらったらいいよ」「サラリーマンはあきらめることも大切だ」と言われ、図らずも「信頼される人でありたい」「あきらめない」という価値観までも阻害され、それらの価値観も守ろうとさらに感情的になってしまった。
説明に来てくれた別部署の課長が、わたしの納得できない気持ちを「尊重」し、「共感」してくれ、「意義ある仕事」にするための努力を示してくれたことで、感情をおさめることができた。
 
この時、自分のなかの「100%の力で仕事に臨みたい」という価値観を認識していれば、「仕事の必要性を教えてください」だけではなく、「100%の力で仕事に臨みたい」から聞いているのだとあわせて伝えられていれば、上司の態度は違っていたのではないだろうか。
 
自分自身の価値観に無自覚である「こじらせさん」のいかに面倒くさいことよ。
もっとうまくやれよ、と過去のわたしに言いたくなる。
 
そんな一見すると面倒な「こじらせさん」だが、
「繊細さん」の「繊細さ」が欠点ではないように、「こじらせさん」の「こじらせ」も欠点ではない。
 
大切にしたい「価値観」がたくさんあることは、他の人が大切にしたい「価値観」も大切にできるということだし、基本的に「うまくやろう」とせずに、まっすぐに自分の価値観を大切にするその姿勢は人を勇気づける。「うまくやらなくてもいいんだ……!」と。
そして、自分の価値観にまっすぐなエネルギーは、人を動かす力やものごとを突破する力にだってなる。
わたしの「納得いかない」という声に、別の部署の課長が動いてくれたように。
 
「こじらせさん」が単なる面倒な人にならないためには、次のようなことが大切だ。
 
自分のなかにあるたくさんの価値観を一つ一つちゃんと見つけてあげて、
そして、場面・場面で一番大切にしたい価値観を一つ握ることだ。
相手がいる場合には、その価値観を相手に伝え、それを満たすために必要なリクエストをするのだ。
 
もしかしたら、一番大切にしたい価値観が満たされないときもあるかもしれない。
その時は、その次に大切にしたい価値観を大切にする。
それが満たされないときは、その次に大切にしたい価値観を大切にする。
そうやって、時々で、大切にする価値観を意識して選択していくのだ。
 
大切にする価値観に自覚的であること。
自分で自分の価値観を大切にしてあげるために、まず必要なことだ。
 
それが、「こじらせさん」が面倒な人にならないための秘訣であるし、
「こじらせさん」でなくても、知っておいてほしい知恵でもある。
 
あなたが大切にしたい価値観は何だろう?
すぐに思いつかなかった人は、ぜひ自分の価値観について考えてみてほしい。
 
 
 
 
***

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2021-02-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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