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「行ってきます」を言う相棒は


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記事:小北采佳(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「じゃ、行ってくるね~」
 
私は外出するときに決まってそう声をかける。
でも部屋の中からは誰も答えない。
それもそのはず。私は一人暮らしで、私が話しかけている相手は、玄関に飾られたお花だからだ。
 
大学生の頃だっただろうか。誕生日に友達が小さいブーケをくれたことがあった。
それまで生のお花をプレゼントされた経験がほとんどなかった私は、「お花をもらった」ということだけでものすごく嬉しかった。
 
しかしそれまで家にお花を飾ったことがなかったので、花瓶なんてもちろん持っていない。試しにコップやマグカップに飾ってみようと試みたが、どうも長さが合わない。
そこで私は生まれて初めて花瓶を購入したのだった。
 
初めて花瓶にお花を飾ったときには、家の中が一気に華やかになった感じがした。それに、ふとした瞬間に色鮮やかな花が目に入る毎日というのは、すごく私の気分を上げてくれるものだった。
 
見る人に高揚感を与えてくれるお花のパワーにすっかり魅了された私は、お金に余裕がある時には花屋さんで花を購入するようになった。ただ、自分で好きな花を組み合わせて買うのはちょっとハードルが高かったので、いくつかの種類の花がまとまってミニブーケとして売られているものをいつも買っていた。
 
そんな私が社会人になってから出会ったのが、「Bloomee LIFE(ブルーミーライフ)」であった。
これは何種類かのお花が定期的に届く宅配サービスだ。料金によっていくつかのプランが選べて、一番安いものだと500円でお花を届けてもらうことができる。
 
このサービスは非常に、いい。
 
まず、お店の人が選んだお花が届くから、私のように自分でどんなお花を選んでよいのか分からなくても大丈夫。しかも、定期的にお花が届くので、忙しくてお花屋さんに足を運ぶ時間がないとか、お花屋さんで花を買うのが気恥ずかしいという人でも手軽にお花が手に入る。また、お花が傷まないよう専用の箱に入れてポストに投函してくれるので、外出しているときでも受け取り損ねることはないのだ。
 
私は2週間に1度、1回につき800円のお花が届くコースを利用している。
ポストにお花が届いていると「おお!」とテンションが上がり、仕事の疲れを忘れてしまう。自分で注文しているものだが、まるで誰かから花束をプレゼントされたかのような気分になれるのだ。
お花をポストから取り出すと、私はいつも待ちきれずにその場で中身を見てしまう。どんな花でも嬉しいが、これまであまり見たことがない花や、自分では買ったことのない花が届いていると、早く飾ってみたくて仕方ない。
次にお花の匂いを吸い込む。毎日スマホやパソコンなど、人工的なものに囲まれて生活しているので、自然物である花の匂いを嗅ぐだけで、一瞬日常から解放された気分だ。
そしていざお花を飾る瞬間は、毎回とてもウキウキしている。
 
お花は高揚感だけでなく、瞑想のように心の静寂をもたらしてくれる一面もある。
私は一日の終わりごろ、飾ったお花をよくぼんやり眺める。お花の花びらのひだや、絶妙な色合いを見ていると、不思議と他のことを考えるのをやめて見入ってしまう。
私にとってその時間は、忙しい毎日の中で心が静かになるひと時だ。たとえ嫌なことがあって落ち込んでいる日でも、お花を見て余計なことを考えるのをやめると気がまぎれる。そんな風にして、お花から明日も頑張るパワーをもらったことが今まで何度あっただろう。
 
私にとってお花は私の毎日の生活を彩り、心を整えてくれる相棒なのだ。
だから、気づくとお花に愛着が湧いて「きれいだね~」とか「行ってきます」とか話しかけてしまうのである。
 
ただ、お花を飾っていると前向きな気持ちになれる瞬間ばかり、というわけではない。
当然だが生花は日に日に弱っていく。朝は割と元気だったのに、夜帰ってきてみたらどういうわけか茎が途中でガクーンと折れ曲がって花びらが下を向いていたりすることもある。そんなふうに萎れてしまった相棒を見る時は、とても残念な気持ちになる。
 
花が元気でいられるのは長くても2週間くらいだ。だから新しいお花が届いたときには、ウキウキと同時に、このお花の美しさも期間限定なのだ、という考えが頭をよぎる。
どんな美しさも、命も永遠ではない。でも、お花を飾る生活でそんな儚さを感じてきたことで、元気に咲いている間はお花が一段と綺麗に見えるようにもなった。
 
私はもうかれこれ3年ほどこのお花の定期便を愛用しているが、コロナ禍によって以前よりもこのサービスが注目されていると感じる。雑誌などのメディアでも、サービスが紹介されているのをよく目にするようになった。やはり、在宅勤務や外出自粛によっておうちにいる時間が長くなったため、お花を飾って少しでも生活に潤いを感じたい人が増えているのではないだろうか。
 
今日も私はお花に「いってきます」の挨拶をして職場に行く。
家に帰ってきて、お花が玄関で出迎えてくれる生活はなかなか素敵なものだ。
皆さんも、新しい生活様式のお供にお花を飾ってみませんか?
 
 
 
 
***

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≪終わり≫


2021-02-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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