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自動運転には解決できない問題がある


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記事:鈴木(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
今は、多くの企業で自動運転の研究がされている。
 
古くは1930年代からフォードでの実験の記録もあるくらいだ。その後、1970年代になり、アメリカや日本でも自動運転の研究は始まった。しかし基本的には研究は行き詰まってしまっている。
 
その理由は、技術的に解決しなければならない課題が多すぎるからだ。
 
近年、なぜ自動運転の研究が進み始めたのか。
 
それは、コンピューターの処理速度が上がったことと、レーダーなども含めて小型化が進んだこと、カメラの性能が高くなったことなどがあげられる。
 
タイトルと逆のことを言うようだが、自動運転自体は必ずできるようになる。
 
なぜそのように言えるか少し話をしたい。
 
2014年のニュージーランドのCMをご存じだろうか。
 
ニュージーランドではスピードの出しすぎによる死亡事故が多発していた。
 
そのため、こんなCMが作られた。
 
見通しの良い道路で、子供を乗せた父親が車で道を曲がろうとしたとき、時速100キロ以上で走行してきたサラリーマン風の男性が運転する車が衝突する瞬間に映像が止まる。
 
これは映像が止まったのではなく時間が止まっている。
 
時間の止まったこの空間で、お互いのドライバーが降りてきて、こんな会話をする。
 
父親「申し訳ない。曲がれると思ったんだ」
 
サラリーマン「急に出てきたら止まれないじゃないか」
 
父親「頼むよ、息子を乗せているんだ」
 
サラリーマン「スピードを出し過ぎていたんだ。どうにもできないよ」
 
二人は車に戻る。
 
時間は再び動き出す。お互いの車が衝突し大事故になる。
 
このCMでは事故を防ぐことができなかったが、もし、時間が止まり、お互い話し合うということが、もっと何秒か前にできていたらどうだろうか。
 
実は交通事故は事故の5秒前に対処すれば、ほぼすべての交通事故を防ぐことができるという交通事故の統計がある。事故までに対処する秒数が短くなるほど事故の確率は上がる。
 
もちろん、自動運転だろうと、レーサーが運転しようと、時間を止めることはできない。
 
ところが、コンピューターの処理速度があがっていくことで、このままいくと、事故になるという予測が数秒前にはシミュレーションできる。
 
つまり上の例でいえば、衝突する5秒前に時間を停めて、お互いに降りてきて、
 
父親「申し訳ない。曲がれると思ったんだ」
 
サラリーマン「スピードを出しすぎているな。止まれるスピードにするよ」
 
というようなことができる。
 
コンピューターの処理速度は人間の判断処理速度のはるか先を行く。
 
ぶつかる前に、予測をして、このままだとぶつかるから、曲がるのをやめるか、スピードを落とすかの会話を人同士がするのではなく、車同士がすることで、交通事故を防ぐことができるようになる。
 
ちなみに、この車同士の会話を車車間通信という。
 
処理速度が早ければ時間を停めた状態で事故を防ぐための最適な判断をしたかのような動きができるようになるのだ。
 
ようやく、本題に入る。
 
このようなシステムができても自動運転であれ、人間の運転であれ、解決できない問題がある。それが有名な「トロッコ問題」だ。
 
この問題について説明をする。
 
あるトロッコが坂道を下ってくる。スピードが出ていて停めることができない。
 
そのトロッコの走る線路の先には二股に分かれる線路があり、片方は5人が作業している。もう片方の線路には一人が作業している。
 
その二股にわかれる線路の脇には一人線路の切り替えを行うことができる人がいる。
 
この人はどちらに線路を切り替えたらいいのかという問題だ。
 
一言でいえば、「ある人を助けるために、他の人を犠牲にしてもかまわないのか」という課題だ。
 
高度に進んだ自動運転においてはこのような判断を求められるようになる。
 
人間ですら判断ができないものをコンピューターが判断できるのか。
 
コンピューターはプログラムされた通りに判断する。
 
被害を一番小さくなるようにということであれば、線路の切り替えは一人の方にして、5人を助けることになる。
 
でも、もしかすると、老人ホームのバスと園児のバスにある車が突っ込んでいくような時、老人は先行きが短いから突っ込んで良くて、園児のバスは将来があるから守らなければならないということになるのか。
 
車一台一台にやがて情報が付加される。
 
この最適解を出す必要がやがて自動運転には求められるようになる。
 
最初の自動運転はそこまで高度な判断は求められない。
 
ただ、ぶつからないように目的地までいくことだけが求められる。
 
だんだんと自動運転が高度になってきて、車車間通信が行われるようになったときにこのような判断が求められる。
 
最初の父親と、サラリーマンの事故であれば、息子を乗せている車が優先なのでサラリーマンの車を横転させなければならないなどの判断になるのか。
 
この課題を持ちながら、自動運転は進んでいくことになる。
 
これが自動運転には解決できない問題があるということだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-03-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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