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メディアグランプリ

「試練にぶつかったと感じたら、心に言葉を補給する」


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:珠弥(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
嗚呼、またか。思わずそう呟かずにはいられなくなる。
 
厄日でも厄年でもない。試練は、私が何かを決意した時に起こりやすかった。特に季節の変わり目となる2月と6月。この時期の私は密かに緊張しながら日々過ごしている気がする。
 
最初に起きたのは高校3年生の時だ。受験が本格化する前の、6月。剣道部の引退試合に向けて決意を固めた時。
 
「3人いれば団体戦に出場できるから、お願い!」
 
部員でもない私であったが、中学時代に剣道部であったことをどこからか聞きつけてきたらしい。他クラスの女の子二人から、負けてもいいから出てほしいと頭を下げられた。戸惑いながらも私は、少しでも力になれるならいいかと、練習に参加することにした。
 
大会まで1週間を切ったタイミングで試練は起きた。秋田に住む祖母から、祖父が危篤であることを伝えられた。最期に会いに来てくれと父には伝えたらしいが、父からは大会に専念するように勧められた。
 
当時それなりの事情があったことは、今だから理解できる。それだけでなく、父親から“祖父が一番喜ぶのはどちらか”を考えて行動するように言われた時、大会にきちんと出て、自分なりの小さな役割を果たすことだろうと受け止めることもできた。けれど、それが本当に正しい選択であったのか、自信はない。
 
社会人になっても、6月と2月は毎年何かが起きた。いや、もしかしたらあまりに意識しすぎてしまって、そう感じてしまうのかもしれない。
 
大学の展示会準備で、部員と大喧嘩をした6月。
 
職場の仲が良い先輩と同じ配属になった矢先に、先輩が傷病休暇に入ってしまった6月。
 
次の異動まで頑張るつもりでいたら、頭痛の頻度が上がって、欠勤や遅刻が増え始めた2月。
 
愛犬の写真集を作る目標を立てた翌月に、愛犬が倒れてしまった2月。
 
「もう少し頑張ろう」
 
「モチベーションが上がってきた」
 
どれもそんなタイミングの直後に起きやすかった気がする。
 
魔の月に密かに苦しみだした頃、私はしいたけ占いというコンテンツに出会った。
 
上半期と下半期に分けてどんな年になるか、星座ごとに詳細に書かれていて、更に毎週・毎月版も連載されているその文量に、わくわくした。
 
“心のビタミン”という宣伝文句が決定打になり、私はしいたけ占いの読者になった。
 
朝のニュースの占いは苦手だった。毎日星座や血液型で格付けされたり、一日の始まりに、“今日は何もうまくいかない日”だなんて解説されたりすると、気分がつられてどんよりしてしまうから。けれど、しいたけ先生の占いは、星座の性格や性質を織り交ぜながら、今週の過ごし方や受け止め方等が書かれていて、気持ちを温めてくれる文章だった。
 
「大丈夫、あなたはよくここまで頑張ってきました」
 
「たまには息抜きに温かいものを求めましょう」
 
朗らかな文体であることもあり、私は占いの結果よりも、しいたけ先生から投げかけてもらえる言葉一つ一つに、共感したり、癒されたり、時に興味深く感じていた。少し先の未来が明るくなるために日々が重なっていくことを実感できるようになれたのだから、“心のビタミン”という謳い文句は間違っていない。
 
どうやら人生には棚卸しのような期間があり、先に進むためにぶつかる問題もあるらしい。
 
「“今だから起きる問題”に向き合うことで次のステージに行けたりするから、大丈夫」
 
そう投げかけてくれたしいたけ先生の一文を、私は噛み締めるように何度も読み返した。
 
まるで見えない何かに試されているようだなと感じた時、途方もない悲しみや諦観も押し寄せてきて、早々に感情を支配されてしまいそうになる。けれど、そんな時こそ深呼吸をして一度だけでもいいからニヤッと笑ってみたり、を心の中で大丈夫だと唱え続けたりしてみる。負の感情が、洗濯機に放り込まれたように、ぐるぐると渦を巻いている様子を外側から観察して、他のことを思い浮かべるようにする。
 
これは、何度も試練にぶち当たってしまったと感じていたからこそ、得られた対策だ。
 
そうしてゆっくりと気持ちを落ち着かせてみると、今までの人生で得てきた温かい出来事や、かつて自分自身が感じてきた憤りや悲しみ、好きな作品やどこかで読んだ誰かの文章等が、沢山の言葉となって私の心の中に蓄積されていることに気が付くことができた。そして、その出会った言葉達によって、心に前進する勇気が補給されていくのも実感できた。
 
2月。会社にいる同僚がアレルギーで発熱をしてしまい、長期に渡り休むこととなった。
 
会社の体制は何も変わることはなく、案の定、後手になり始めて全体的に滞っていく様子が目に見えてきた。私の脳裏で、一気に前職での記憶がフラッシュバックする。
 
嗚呼、またか。なんて、思わず呟かずにはいられなくなる。このまま、また同僚が長期休み確定してしまったら? また、上司に現状や改善を進言して何も通らなかったら?
 
負の連鎖を断ち切るように、ギュッと目を瞑る。気持ちを落ち着かせた頃に再び頭に浮かんだのは、しいたけ先生の言葉だった。もしかしたらこの問題は、前職ではできなかったこと、変えられなかったこと、後悔していることと決別するために、再びぶつかった試練なのかもしれない。そう思えば、私がするべきことが見えてきたような気がする。
 
最後の一押しを求めて、私は電車の中でこっそり、しいたけ先生の占いを読み漁ることにする。手元のスマホを取り出す。今日は3月1日の月曜日。月間占いと週間占いの両方が読める日だ。
 
 
 
 
***
 
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2021-03-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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