メディアグランプリ

みなさん、アレの事をなんと呼びますか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
 
記事:いがらしりえ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
粘着テープの真ん中に、四角くて小さいガーゼが貼り付けてあるアレの事ですよ。
小さい切り傷や擦り傷をした時、肌に貼り付けるアレの事。
おそらく使った事がない人は一人もいないですよね。
特に子供の頃はよくお世話になったでしょう。
 
私は北海道札幌生まれ、札幌育ちの生粋の道産子。
そんな私が、過去に5年間だけ東京都新宿区民だった時の話です。
 
娘を幼稚園に迎えに行って、帰り道クラスの人達と近くの公園で遊ばせてから帰るのが日課になっていました。
 
子供達は公園に着くと一目散に遊具の方へ駆けて行った。
そこからママ達はおしゃべりの時間になる。
 
しばらくして「ママ、転んじゃった」という声に振り向くと娘だった。
転んで膝を擦りむいていた。大した怪我ではない。少しだけ血が滲んでいる程度のもの。
とりあえず、公園の水飲み場で膝を洗い、私は鞄の中を探った。
「あー、ないか」
この前使って補充しておくのを忘れてたなぁ。
 
「ねぇ、誰かサビオ持ってない?」
 
すると、周りの反応がおかしい。
皆が目配せをし合って、首をかしげたり「え? 何?」というような聞き取れない小声でヒソヒソ言っている。
 
なんだろう、この変な雰囲気は。
どうしよう……何かマズい事を言ったのかもしれない。
 
実は、札幌から東京に引っ越す事が決まった時、札幌以外で暮らした事がないので、他の都府県民と違うところがあって馴染めないという事態にはならないだろうか、と不安に思っていたのです。
 
今の何がいけなかったのだろう?
あぁ、もしかしたら、サビオを“貰おう”とした発言が“図々しい”と思われたのだろうか。
じゃあ「誰かサビオ売ってくれない?」と言うべきだったのか。
うーん、他県民は難しい。習慣や価値観が違うのかな、などと考えていると、
 
「もしかして、これの事か?」
と大阪出身のママがサビオを差し出してくれるじゃありませんか。
「え……そうだよ、ありがとう」
すると一人が
「それ、サビオっていう名前なの?」
 
「サビオ」じゃなかったらなんだというのか?
 
たとえば、リンゴはリンゴであって、それ以外の呼び名があるかも、なんて考えもしない。
そのくらい当たり前にサビオだったのだ。
 
そこにいた他のママ達の出身地は、東京、群馬、熊本、長野、山口、京都でした。
 
そこからママ達の話題はサビオについて。
聞いたところによると他の人達は
カットバン
ばんそうこう
バンドエイド
キズバン
リバテープ
などと色々出てきた。
これにサビオを加えると6種類の名前を持つことになる。いや、7つ目8つ目の名前があるかもしれない。ここまで多いと上記以外の呼び方をする人がいても不思議ではない。
こんなにたくさんの言い表し方がある物は他にあるだろうか。
 
ここで、少し「サビオ」について製造会社のホームページを調べてみると、
・製造会社は阿蘇製薬株式会社
(なんと、本社が熊本の会社なのに、九州の人達がサビオと言わないとは)
・元々はスウェーデンのセデロース社の絆創膏ブランド
・1963年、ニチバン株式会社を通して日本市場に進出。その後、ライオン株式会社に譲渡された
・2002年に販売が終了となったが、2020年に復活した
・北海道以外では和歌山、広島でもサビオと呼ぶ人がいる
 
わかったことは、サビオは方言ではなく商標だということ。
ちゃんとパッケージに「サビオ」と印字されている商品が存在する。
他のカットバン、バンドエイド、リバテープも商標。
方言ではなくても出身地によって呼び方が違い、さらに通じないなんて事があるのだ。
 
サビオから少し話がずれてしまいますが、私はずっと北海道にいたので北海道弁があることはわかります。
北海道弁を話す人が言うことは全て理解出来る。
でも、私は北海道弁を使わない。
別に方言を使う事が嫌だとか、恥ずかしいなどの理由ではなく、札幌では男性は使っている人が多いが、女性ではほとんど使っていないからだ。
だから、私は標準語を話す人だ。
と、東京に行くまで思っていた。
 
しかし、東京では私が話すと、周りの人の目が「?」になる“サビオ事件”のような事がたまに起き、自分が『標準語スピーカー』ではない事を知らされました。
 
標準語だと思っていた言葉が標準語ではなかった。
30年以上信じていた事が実は違った。
東京で暮らした5年間がなければずっと知らないまま過ごしていた事かもしれません。
 
これをお読みの他県民のみなさま、「サビオ」を欲しがっている道民に出くわした時、もしお持ちでしたら、そっと差し出していただけませんでしょうか。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 


 
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ

 


 

■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
 


 

■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2021-03-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事