メディアグランプリ

脱・『口コミ』ファンタジー


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:risa(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
(これは、まじでやばい……。これ以上読むとまじでやばいぞ……!)
 
昨日、約三年ぶりくらいに小説を読んだ私は、
思わずお気に入りのコーヒーショップから逃げるように飛び出しました。
 
さあ、なぜでしょうか。
 
答えは、小説の内容にあまりにも感動し、溢れる涙を堪えきなかったからです。
 
そこは、日曜日の静かなコーヒーショップ。
とても穏やかな空気が流れています。
 
カウンター席で一人、嗚咽を漏らすのは流石に忍びなかったので、お金を払ってあわてて店を後にしたというわけですね。
 
ちなみに、その本の続きが気になって仕方がなかったので、
続きは店の駐車場に止めていた車の中でよみました。
 
車の中は良いですね。
いくら泣いても気兼ねないですから。
 
それはさておき、冒頭で「約三年ぶり」とお話したことから、察していただけたかと思いますが、わたしは今まであまり小説を読まずに過ごしてきました。
 
実用書とかはビジネス本は好きで、結構読んでいたのですが……。
決して毛嫌いしていたわけとかではありません。単に興味が沸かなかったというのが本音です。
 
そんなある時、職場の先輩から「小説を読むことで、視野が広がったり、文章の勉強になったりといい事ずくめだよ~」といったニュアンスのアドバイスを受けました。
 
私は企画関連のお仕事をしているので、「たしかに、良いアイディアを生み出すために、小説は役に立ちそうだな~」とその先輩の言葉が心に残ったのです。
 
そして昨日。
 
とってもいい天気で、フラフラ散歩していたときに、
たまたま通りかかった本屋でふいにそんな先輩のアドバイスを思い出しました。
 
(たまには小説もいいな~)
 
そう思った私は、なんとなく目に留まった小説を購入。
知らない作家さんの新刊で、表紙の色がとっても目を引く美しい本でした。
 
その後、特に期待せずに読んだ小説は、心温まる優しい物語によって、私に冒頭のコーヒーショップ立ち去り事件を起こさせたのでした。
 
いや~、小説って人の心を動かすとても素敵なコンテンツですね。
その良さをやっと理解しました。
 
って、そんな話をしたかったわけではありません。
 
真の事件はこの後、起きたのです。
 
私は、車内で本を読み終えるや否や、その感動が冷めやらんと興奮気味に本屋に引き返しました。
 
そして、同じ著書の他の作品を、スマホで調べた口コミを頼りに数冊大人買い。
『感動することと間違いなし! おすすめ◯選』に従って。
その時点では、みんながおすすめするのだから、面白いに決まっている! といった確信を持っていました。
 
その夜、帰宅し、天狼院ゼミの受講後、そのうちの一冊をワクワクしながら読み始めました。
 
しかし、ページをめくるごとに、生じる違和感……。
なんとか1冊読み終えた後、私は感じてしまったのです。
 
(あれ??? 全然感動しない……。というか、正直びみょうだった……)
 
そこで待っていたのは涙を流すほどの感動でも、思わず顔がほころんでしまうような温かさでもありません。
ただただ、びみょうだったという、なんとも形容詞しがたいモヤモヤ感でした。
 
昼間、あんなにも私を感動させてくれた本を書いた著者の、違う作品にはなぜこんなにも魅力を感じなかったのだろうか。
 
しかもあんなに口コミの評判もよかったのに……。
 
ああ、あの口コミに騙された。
みんなどんな感性してんだよ、と。
 
若干のいらだちの中、私は感動しまくって震えたあの本の口コミも気になり、インターネットで探しました。
 
すると、そこに書かれてあったのは私が一ミリも想像していなかった口コミだったのです。
「イマイチ」やら「ちょっと消化不良」やらなんやら……。
 
(う、嘘でしょぉおおおおおおおおお……?)
 
そんなこともあって、釈然としない気持ちで眠りについたのでした。
 
しかし、一夜明けた今日。
ふと思ったのです。
 
私が当たり前のように信じていた「口コミ」って信用ならないな、と。
 
確かに、口コミをみて何かを買ったり、どこかに行くことは、自分の行動のきっかけになり、新しい扉を開いてくれることもあります。
 
しかし、口コミだけを信じて行動してしまうのは、逆に自分の世界を狭めてしまう恐れもあるのではないでしょうか?
 
もし、わたしが、1冊目に読んだ本を購入する前に、その本に対する口コミをみていたら?
おそらく購入することはでなかったでしょう。
そして、あの素晴らしい感動を味わうこともなかったでしょうね。
 
結局のところ、口コミっていうものは、どこまでいっても他人の意見なのであるということに、改めて気付かされたのです。
 
また、同時に、「おもしろくない」を知ることができる、というもの実はとっても大切な経験だと考えました。
 
なぜなら、おもしろくないという感覚を身につけることでこそ、
自分の中の『おもしろセンサー』が研ぎ澄まされ、本当に面白いものだけを面白いと判断することができるようになると思うのです。
 
いま、インターネットやSNSなどで口コミが溢れています。
そして、「失敗したくない」という想いから、口コミを頼りに行動する人は多いように感じられずにはいられません。
 
それが必ずしも悪いことだとは思いません。
でも、たまには自分の感性の赴くままに、ちょっと旅をしてみませんか?
 
表紙の綺麗さに引かれて購入した本だったり、なんとなく入った食堂。
 
その偶然の出会いにによって、コーヒーショップを飛び出してしまうほどの感動を手に入れることもできるかもしれませんよ。
 
さぁ、今から私が読むのは同じ著者の3冊めの本。
口コミの評判はとっても良さそうです。
 
果たして本当に面白いのでしょうか?
それとも私にとっては微妙?
 
読み終えた後の自分の感想がどんなものになるのか、今からワクワクが止まりません。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2021-03-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事