サムライス・ピリッツを手に入れろ! 〜子供たちに学んで欲しい武士の心〜
*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:菊田桃子(リーディング・ライティング講座)
「男子」とは、ほんとうにおバカな生き物だ(男子の兄弟は特に!)。
自分の子供達の行動を観察しているとつくづくそう思い知らされる。
道に歩いていてもまっすぐに進んでくれず、高いところに登ろうとしたり、落ちているものに気をとられてすぐに立ち止まる。
学校から帰って来ても荷物はほったらかしで、脱いだ上着や靴下も部屋に落ちたままだ。プリントなどの配布物もこっちから言われるまで出してくれない。
おやつやご飯は兄弟で同じ物、同じ量を与えないと大騒ぎ。おもちゃやゲームは取り合いになり、お風呂に入る順番や布団を敷く場所で言い争う。
本当に単純なことでぎゃあぎゃあ騒いでいて、こちらからお願いしたことも忘れ、なんども同じ間違いをくり返す。いい加減にしてほしい。
そんな「バカ男子」でも、自分の好きなことをしている時はずっと熱中しているなど、いいなと思う面はある。
だから、いい面を伸ばしつつ、おバカなところを少しずつ直して大人になって欲しいなと思っている。
そんな時に出会ったのが、
『自分に負けないこころをみがく!こども武士道』(監修:齋藤孝)という本だ。
この本は、5千円札にも肖像が使用された新渡戸稲造(にとべいなぞう)の名著『武士道』を、子ども向けにわかりやすく紹介するというコンセプトで書かれたものである。
私は、この本を子育てサークルで偶然にいただいた。
もともと『武士道』は自己啓発本を読み漁っていた夫が持っていて、私もパラパラと目を通したことがあるのだが、海外の思想と比較しながら日本の侍の精神について語られているのが興味深いのだけれど、明治時代に英語で書かれたものを、当時の言葉遣いで翻訳して書いている本なので理解するのがちょっと難しい。
でも『こども武士道』は、その中から伝えたいエッセンスとなる部分を取り上げて、現代の言葉遣いで、子ども向けのやさしい語り口で書かれているのだ。
『こども武士道』は、本を監修している齋藤孝さんが、さまざまな古典の名著を子供達に読んでもらうきっかけづくりとして作っている「こども訳」シリーズのひとつである。
たとえば、『武士道』で
礼の吾人に要求するところは、泣く者と共に泣き、喜ぶ者と共に喜ぶことである。
と書かれているくだりは、『こども武士道』では
相手の立場になって悲しみも喜びも想像する。それこそが、本物の礼儀だよ。
と書かれてある。
あー、これこれ。いつも自分のやりたいことばかり優先して、相手がどう思っているか、感じているか、全くピンときていない様子の息子たちに身につけて欲しい考えだ。
『武士道』では「礼儀」を重んじている。
「礼儀」とは相手に成り代わることは出来ないけれど、相手の立場になって深くつながろうとすることで、気持ちに寄り添うことができるようになっていく。
まさにそうした大人に成長して欲しい。
また、
「義を見てなさざるは勇なきなり」「勇とは義(ただ)しき事をなすことなり」である。
という部分は、
見て見ぬフリをしない!正しいことをするとき、勇気ははじめて生まれるよ。
と書かれている。
そして、言葉のさらに詳しい説明として
勇気は、なにもないところからは生まれない。「正しいことをしっかり見きわめる」「正しいことを実行する」、この2つができて、はじめて勇気が生まれるってことなんだ。
とも書かれている。
子どものうちは正しいことを判断したり、それを実行したりすることは難しいかもしれない。でも、いつかどこかで気づいて、そういう行動ができるようになってくれたらいいと思う。
でもこれって、大人になっても実行できている人は少ないのではないだろうか。ついつい周囲の考えに合わせたり、雰囲気に呑まれたりして、正しい判断がなかなか出来なかったり、ましてや行動に移すとなるとさらに難しい。
正直、私自身も常にこうした行動が出来ているかというと、とても怪しい。
子供達に読んで欲しいと思って読み始めた『こども武士道』だったけれど、ページをめくるたびに何だか自分にも身につまされるような気分になってきた。
思い返してみれば、もともと『武士道』は大人向けに(そして海外向けに)日本の侍の精神性をと説いた本なのだ。
それを現代風に解釈し、説明を加えた『こども武士道』は現代を生きる私の心にもストンと落ちる言葉が満載なのだ。
始めは単に我が家の「バカ男子」が「立派な強い心を持つ男子」に育ってくれるよう読んでくれればいいと思っていた。
私自身も一緒に読み込んでいくうちに日本人が伝統的に大切にしてきた礼儀正しさや思いやりの心を改めて意識する様になった。
武士のような精錬潔白な精神を身につけるのは難しいかもしれないが、日常生活の中でちょっとした時、武士道の教えを意識して判断し行動してみる。
すると、どこか自信を持って前に進める感じがする。
武士道の道は長いかもしれない。
それでも家族で一緒に成長していこうと思う。
***
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