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映画『花束みたいな恋をした』はアラサーこそ観るべき作品だ

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記事:前橋祐希(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
先日、映画『花束みたいな恋をした』を観た。
 
菅田将暉と有村架純が主演を務め、『東京ラブストーリー』や『最高の離婚』などの数々のドラマや映画を手掛ける人気脚本家の坂元裕二がオリジナル脚本を手掛けた、今話題の映画である。
 
 
ここからは、少しネタバレになるので、これから映画を観るという人は観てから出直してきて欲しい。
 
『花束みたいな恋をした』はラブストーリーであり、どこにでもいそうな大学生の菅田将暉と有村架純がひょんなことから偶然出会い、互いに惹かれあい恋に落ちるところから話は始まる。偶然出会った二人はサブカル好きという共通点を持ち、好きな音楽も小説もゲームも一致しているという運命的な出会いを果たすのだ。
 
互いに惹かれ合って付き合うことになった二人は、毎日のように一緒にいて、次第に二人は同棲を始める。映画の前半部分では、幸せなシーンが描かれている。しかし、後半に向かうにつれて、二人の歯車はずれはじめる。誰もが羨むくらい幸せだった二人だが、それぞれの就職などのターニングポイントを経て、次第に心が離れていってしまうのだ。運命的な出会いをした二人の恋は、綺麗に咲いていた“花束”が枯れるように終わりを迎えてしまうのである。
 
映画のレビューを観ていると、「前半のラブラブシーンが最高!」「幸せなシーンがキュンとして、恋したくなります」というような声が多いのだが、後半の恋が終わっていくシーンこそ、アラサーだからこそ理解ができて、心に染みる内容だと思う。確かに前半のシーンを観ていると幸せな気分にはなれる。かく言う私も29歳のアラサーOLだが、後半にこそこの映画の醍醐味があると思うし、思わず涙してしまうシーンも多かった。同年代もしくは世代が上の人にこの映画を観たと伝えると、「青春映画でしょ?私には若すぎて無理!」と言われることが多い。そんな先入観を持たず、とにかく一度この映画を観て欲しいのだ。
 
映画後半の二人がすれ違っていく数々のシーンは、アラサーからすると「分かる分かる!」と思うものばかりだ。学生の頃、性格や価値観がピッタリ合う相手と付き合っていて毎日のように一緒に過ごしていたのに、どちらかの就職をきっかけに話が合わなくなった経験はないだろうか。互いに学生だった頃は、昼間は授業をサボって一緒に寝て、夕方はバイトに行き、夜中まで安い居酒屋でお酒を飲んでいたのに、片方が社会人になるとその気持ちが理解できなくなってくる。毎日9時には出社しなければならない社会人からすると、深夜まで飲んでいるのはありえないし、趣味よりも仕事を優先しなければならないことも多い。「なんでいつまでも学生気分なんだ」とイライラしてしまうだろう。こんな風に、付き合った当初は仲良かったはずなのに、価値観がずれていき、最終的には別れを選択した経験を、数多くのアラサーはしているのではないだろうか。高校生や大学生のときにこの映画を観ても何と思わなかっただろうし、「後半よりも前半のラブラブシーンが最高だ」とTwitterに書き込んでいるに違いない。
 
それと同時に、アラサーになって純粋な恋愛ができなくなったと気づかされる作品でもあった。フィーリング、タイミング、ハプニングの3つが揃ったときに恋愛が始まると言われるが、学生の頃はまさにその3つが揃って恋人を作っていたように感じる。アラサーを迎えて、その3つだけでは恋愛できなくなっていたと感じる人は多いのではないだろうか。アラサーになると、どうしても“結婚”という二文字が常に頭の中にある。周りの友人が結婚していき、両親からもプレッシャーをかけられる。価値観や性格が合って“好き”なだけでは、生涯のパートナーを選べないので、“結婚”というゴールに向かって、最適な相手を選んでしまっている。相手の学歴や年収、親の職業などだ。“好き”という気持ちだけで恋愛をしていたあの頃が懐かしく思えたし、あの頃に戻れないと思うと、なんだか悲しい気持ちにもなる作品だった。
 
また、映画を観たことで、現在のパートナーを大切にしようとも思う気持ちも芽生えた。映画の中で、菅田将暉と有村架純は運命的な出会いを果たすのに、就職をきっかけにあっけなく価値観はずれていってしまう。出会った当初に価値観がピッタリの二人でもちょっとしたことで歯車が狂い始めるのだから、どんなカップルでも価値観の違いという壁にぶつかるのではないか、自分たちだけが悩んでいるわけではないなとちょっとポジティブに思えた。今一緒にいる相手と生涯一緒にいる保障はないけれども、せめて一緒にいる時くらいは相手に対して優しくしよう、価値観の違いも受け入れてみようという気持ちになった。
 
「話題になっているから」という軽い気持ちで観たけれども、“花束みたいな恋をした”は、アラサーの私に色々な気付きを与えてくれた。まだ観ていないという人は、ぜひ映画館に足を運んでいただきたい。
 
 
 
 
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2021-03-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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