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自分を変えたい、と思ったら「鬼ごっこ」をしよう


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記事:あかほりひとみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
ついこの間、私は約15年ぶりに鬼ごっこをした。
 
地元の学童保育所にボランティアとして顔を出したのが事の始まりだった。ボランティアと言っても何か仕事がある訳ではなく、遊びに来た近所のお姉ちゃんという扱いだったが。それでも初めて出会うその来客を物珍しがって、小学生何人かが私を取り囲んだ。
「鬼ごっこやろう」
小学生軍団の団長と思わしき男児が言うと、みな、それに賛同した。私だけはあまり気乗りしなかったが、断れるような雰囲気はもうそこにはない。
正直に言うと私は、鬼ごっこを始めとするそれらの外遊びがあまり好きではない。運動音痴だからだ。すぐ、鬼になる。そのくせ鬼になっても、誰も捕まえられない。現役の小学生の頃に味わったその虚しさは、今でも足を引いているらしい。
 
相手は小学生、そしてこちらは大人。なんとか乗り切れるはず。
低いとはいえヒールのあるショートブーツだから、早くは走れないか。
 
上手くいく可能性と上手くいかなかった時の言い訳の両方を用意する。とはいえ学童保育の先生から、前日は三時間の鬼ごっこが繰り広げられた話をされたばかりだった。子供は後先考えないので、今日もみっちり三時間も繰り広げられたらたまったもんじゃない。言い訳の方に重きを置きつつも、じゃんけんで鬼には免れたのでホッとする。
だが、鬼になるのに時間はかからなかった。
開始一分もせず、目が合った瞬間には追われ、捕まる。だから嫌だったんだ。ホント、鬼ごっこなんて。10を数えながら小学生の時に抱いた虚しさを再体験していた。
 
なにクソ、とは確かに思った。
相手は子供、足の長さが違う。そして私の趣味はジョギングと筋トレ。そんじょそこらの大人と一緒にされたくないプライドが働いた。ショートブーツのヒールがなんだ。言い訳で用意していたものを投げ捨て、小さな背中を追いかけて本気で走ってみる。
本気になってみて気が付いたことがあった。
私は、失敗するかもしれない事柄に対して本気で挑んだことがなかったらしい。らしいと言うのは、成功率が高いことが私にとっての選ぶ要因の一つでもあったからだ。失敗しそうなものには惹かれず、選ぶ前から無意識で諦めてきたのかもしれない。もちろん、本気で挑んで失敗したことはある。大学受験や就職活動など。しかしそれらが鬼ごっこと違うのは、本気で取り組む私の姿そのものが周囲の評価にもつながる点だ。そうやって私は、いつでも後先ばかりを考えて生きてきてしまったのである。
 
初めて鬼ごっこに本気で取り組み、結果、私は見事にズッコケた。
 
追いつけない上に、転ぶ。私が恐れていた失敗の中の、最上級の失敗だった。状況把握が済んだ一瞬後、だが、私の口から信じられない言葉が漏れた。
「えー。転んだやんけ」
そして、更に信じられない事に笑いまで込み上がってきた。恥ずかしいとか情けないとかよりもまず、あまりの想定外ぶりがおかしかったのである。鬼ごっこは約15年ぶり、走って転ぶのはそれ以上ぶり、ましてや遊びで本気になった初めての結果がこれだなんて。
しかし、私が笑っていたのが良かったらしい。
鬼ごっこ参加者たちにもドッと笑いが巻き起こった。それは私を馬鹿にする笑いではなく、私を面白がって楽しむような好感触の笑い。膝と手のひらをすりむいて怪我をしたが、みんなの笑いは、転んで良かったとさえ思ってしまうくらいの心地よさだった。その後、鬼ごっこは途中退場となってしまったが。
 
この出来事を思い返すと、やはり、転んでしまったのが最終的には良かったのだと思う。何故なら、これまで通りの選択だったなら絶対にできない経験をさせてもらったのだから。最も起こりえない場面に放り込まれ、それでも自分の身を以て大丈夫なことを知れたのは経験として大きい。斜に構えつつも、心のどこかで本気になって失敗することを恐れていた私である。失敗したら死ぬ、みたいな極度のプレッシャーからは抜け出せた訳だ。
今度、私は運動靴を履いて学童保育のボランティアに行こうと思っている。一度は本気で遊びに取り組めたのだから、次回も本気で遊ぶことができるはずなのだ。転んでも、鬼になって誰も捕まえられなくても、きっと私も周囲も笑って楽しめると思うので怖くはない。つまり、鬼ごっこが私を変えてくれたと言っても過言ではなかった。
 
そして、これは後先考えられずについ本気になってしまう人にも言えるのではないか。
私とは逆で、頭が働くよりも先に手足が動いてしまうような人。例えば、鬼ごっこでは常に全力で走り回り、終わった後には疲労困憊してしまう人。その人たちに、私から、私のようにちょっとくらい斜に構えていても問題ないことを伝えたい。遊びだからと馬鹿にするつもりはないが、実際、遊びだから誰にも咎められることはないのである。これまでだったら絶対に選択することのなかった事柄を、このように、鬼ごっこから経験してみて欲しい。
 
 
 
 
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2021-03-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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