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メディアグランプリ

子育てでみつけた拡大鏡


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:藤井明子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
その日は雲一つない秋晴れの日で、私の30回目の誕生日でした。私は長女を出産し、お母さんになった日でもありました。初めて我が子を迎える私も、旦那さんも、その日を待ち望み、お腹にいる赤ちゃんに毎日のように話かけていました。
 
小児科医として仕事をし、一時は新生児病棟にも勤めていたことがあった私は、赤ちゃんのお世話のだいたいの事はわかった気持ちでいました。
しかし、授乳とおむつ替えをすれば、ご機嫌でいると思っていた赤ちゃんとの生活は、想像と違いました。何回おむつ替えしても、痛い思いをしながら授乳しても、赤ちゃんからの感謝の言葉があるわけでもなく、日々が過ぎていきました。
 
育児のだいたいはわかったつもりでいて、頑張らなくちゃいけない、他の人に頼れないと思っていました。長女が生後4か月の時に、私は仕事に復帰しました。まだまだ、仕事で学びたいこともたくさんあり、必死でした。長女を抱っこ紐で抱っこし、病院まで満員電車で通っていました。長女は病院内にある院内保育所に預けていました。若かったのもあり、自分のことを振り返る余裕もないくらいに、必死に育児と仕事をしていました。
 
長女が2歳を過ぎたとき、旦那さんの転勤が決まりました。これで、少しだけ仕事と育児の両立に追われる日々から解放されると思いました。2歳をすぎかわいい盛りの娘は、かわいい一方で、いやいや期にもさしかかり大変だったのです。そして、知り合いが全くいない地方での生活が始まりました。その地方の人たちは、とても温かく接してくれていたのですが、当時の私はその温かさを受け取ることができませんでした。育児が大変だなんて言ったら恥ずかしい、とずっと思って我慢していました。
楽しいふりをして、大丈夫なふりをして、余裕があるふりをしていました。
 
ついに我慢の限界を迎えました。
第2子を妊娠していた私は、心身ともに余裕がなくなりました。
かわいいはずの長女が、少し自己主張をするだけで、イライラし怒ることもありました。
なんで子供が好きな私がこんなにイライラしているのだろう。
イライラしている私はお母さん失格なのではないか、と自分を自分で責めました。
 
自分を責める日々の中、気づきたくなかった気持ち、出してはいけないと重たい蓋をしていた気持ちに気づくようになりました。
「私ばっかり、なんで頑張らないといけないの」
「頑張っているのだから、もう少し認めてほしい」
「お母さんみたいに、私はうまくできない」
「ひとりにしないでほしい、だれか助けて」
 
それは、育児に向き合う自分の気持ちというより、これまで30数年間一人でかかえてきた我慢して、頑張ってきた悲鳴にも似た心の叫びでした。
 
子育てをしなければ、何とか自分のペースで乗り越えて気づくことのなかったのかもしれません。
 
子育てを通じて、自分の奥底に眠っていた気持ちの拡大鏡をみつけました。
 
次第に、子どもを通して見えてくる自分の気持ちに気づき、セルフカウンセリングを学ぶようになりました。そこで、子育ての問題はダミーであって、実は過去の自分が握りしてめいた自己否定の心の癖であることを知りました。子育ての拡大鏡を通して湧いてくるさまざまな自己否定の気持ちに向き合って、心の癖を一つ一つほどいていきました。
 
一人で頑張らねばならないと思って、重たい鎧をかぶりかたくなだったのに、人に頼る私がいてもいいのだと、自分自身を許せるようになってきました。すると、少しずつですが、人に頼ることもするようになりました。頑張らないと認められないと自分を責めていた日々から、少しずつ解放されていきました。
 
そして、今では、3人の子供の母親になっています。子どもたちの日々を通して、自分の拡大鏡を通じて、たくさんのことに気づかせてもらっています。
 
子どものわがままをみて、以前は嫌な気持ちになっていました。
しかし、今では、私は子どもたちにとって、わがままを言ってもいいと思える甘えられる母なのだな、と思うようになりました。
 
昨日までできなかったことが出来るようになった時の誇らしげな顔、
保育園にお迎えに行ったときに私を見つけて見せる満面の笑顔、
思い通りに折り紙が折れなくて悔しがる顔、
友達と気持ちが通じ合えなくて悲しんでいる顔、
そんな一つ一つの子どもたちの表情もいとおしく思う日々を過ごしています。
 
そして、以前の私のようにかわいいはずの我が子と接すると、自分を責めてしまうお母さんたちの少しでも助けになりたいと、日々仕事をしています。
 
子育てで得た心の拡大鏡では気づきたくなかったこと、見たくなかったこと、向き合いたくなかったも見ざる負えない状況になることもあります。しかし、すこしでもその気づきがあるのなら、それに気づいてしまったのなら、自分の気持ちに向き合うことから始めてみたらよいと思います。きっと、私のように変われるのだと思っています。
 
 
 
 
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2021-03-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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