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会社選びのコツはエスカレーターに乗ること


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記事:長島啓太(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「その言葉はどこかで聞いた言葉なのかな?」完全に見透かされていたのは事実だが、最終面接で笑いながら発せられた社長のこの言葉が内定を勝ち取った瞬間のように思えた。
 
就職活動をしていた大学4年時のある日。私はいつものように会社説明会に参加していた。その会社の志望度はそれほど高くない。厳密に言うと、その会社のことをよく知らない。就職情報サイトに掲載されている会社の情報を見て、なんとなく会社説明会にエントリーしただけだ。しかし、このなんとなくが、私の就職活動の流れを変えた。
 
会社説明会は他の会社と大差がない形で進んでいく。一通り事業の説明をした後に、社長自ら話を始める。これも珍しいことではないのだが、そこでの社長の言葉だ。「私はエスカレーターのような業界で事業をしたいと思いました。それはどういうことか。上りのエスカレーターであれば、その場で止まっていても上の階に行ける。歩けばもっと早く上の階に行ける。しかし、下りのエスカレーターは、その場で止まっていたら下に下がるだけですし、どれだけ歩いても現状維持が良いところですよね? つまり、自分が伸びている業界に身を置けば、普通に仕事をしていても上に上がれるし、頑張れば頑張った分だけ上に上がれるんですよ。でも、下り坂の業界の場合、どれだけ自分が頑張っても中々上に行くことはできない。それなら伸びている業界の方でやるべきだと思いませんか?」
 
正論すぎる。会社説明会に参加した社長が話し終えたあと、心の中の私はスタンディングオベーションだ。これほど納得感のある例えがあるだろうか。会社選びにおいて、やや方向性に迷いがあり、良くも悪くも幅広く会社説明会に参加していた私だが、このタイミングで受ける業界の方向性が固まった。同時に、この会社説明会に参加したことで、私は面接対策という点で大きな武器を手に入れた。
 
そこからの就職活動に取り組む私は強い。考えや方向性が定まれば、行動にも一貫性が出てくる。そして、迎えたとある日の最終面接。私が内定を頂き、新卒で入社することになる会社の社長との面接だ。「あなたはどうしてこの業界で働きたいと考えたのですか?」その質問に対して、私は自信満々に回答する。「はい。伸びている業界に自分の身を置き、スキルアップを図りたいと考えたからです。この業界は上りのエスカレーターと同じだと考えています。自分が伸びている業界に身を置けば、何もしなくても上に上がれますし、頑張れば頑張った分だけ上に行くことができます。でも、下り坂の業界の場合、どれだけ自分が頑張っても中々上に行くことはできません。ですので、私はこの業界にチャレンジしたいと考えました」
 
決まった。私のどや顔が炸裂する。社長は笑ってこう返す。「その言葉はどこかで聞いた言葉なのかな?」完全に見透かされている。当然だ。相手は社長だ。そして、嘘やごまかしは通用しない。私も見栄をはらずに、笑いながら「はい」と答える。社長は言葉を続ける。「確かにその通りだよね」
 
面接終了後、人事の方から説明を受けた。そのタイミングでは、内定をもらえるか少し不安はあったが、手応えもあった。人事の方の話を聞いている中で、急遽話の方向性が変わり、この後社長に話に行くから少し待っていてほしい。ぜひ、内定を出したいという旨を頂いた。私は上りのエスカレーターに乗ることになった。
 
この考え方は転職活動にも生かすことができた。会社選びをする際に業界は変わっても、職種は大きく変えなかった。訪れるデパートは変わっても、上りのエスカレーターに乗り続けるためだ。職種を変えなければ自分の経験を生かすこともできるので、業界を変えた挑戦でも内定先はすぐに見つかる。軸がぶれていないからだ。
 
会社から支給される給料は、その人のスキルに応じて払われる部分もあるが、金額を決めるのは会社だ。同じスキルを持っていても、会社や業界が変われば給料は変わってくる。エスカレーターの下りのような業界にいる場合、スキルがあっても業界、更には会社が伸び悩むのだから、自分の給料を増やすのは難しい。しかし、上りのエスカレーターのような業界であれば、自分自身はもちろん、会社としても成長が見込めるだけに、給料も増やせる可能性が高いと考える。
 
エスカレーターに乗るにあたって、注意点もある。それは、ついていく事が大変であることだ。上りのエスカレーターはそこで止まっていても上に上がる。ただ、乗っている間は止まることができない。また、自動的に上の階に連れていかれるため、より上のレベルのスキルや経験も求められていく。そこは厳しい部分だ。しかし、そこを乗り越えられれば、間違いなく人として成長できる。
 
そして、そこで身に付けたスキルは横展開がしやすい。成長産業というデパートで自分が10階にいられるスキルがあるとする。確かにすごい人は15階、20階とどんどん駆け上がる。その人たちについていくのは大変だ。しかし、業界が変われば、まだまだ3階にある会社も多く、10階に上がったことがある経験を求めている会社もある。その会社においては、10階にいる人間というのは大変貴重な存在だ。環境が変われば、立場が変わることは良くある話だ。
 
私は20代で2回転職をしている。自分が凄い人間であるとは全く思っていないが、自分のやりたいことはできているし、自分の経験や経歴を踏まえた時に、仕事に困らない自信はある。その理由は新卒の時に上りのエスカレーターに乗り、転職をする際も上りのエスカレーターに乗り続けたからだ。会社選びの基準は人それぞれなので、厳密な正解は存在しない。それでも私は、会社を選ぶ考えの一つとして、上りのエスカレーターのような業界に身を置くことをオススメしたい。
 
 
 
 
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2021-03-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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