fbpx
メディアグランプリ

「素直」こそものの上手なれ!?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大附 祐貴(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ありがとうございました、これから楽しみです」
別れ際に店員さんにそう言った。何か物語が始まりそうな予感がした。
 
「何か新しいこと始めたいなぁ」
2021年も春を迎えた。なんだか暖かくなると、何か新しいことを始めたくなる。
 
「私も30歳になったし、これまでほとんど挑戦したことがないことをやってみよう」
そんな時、頭をよぎったのは昨年の秋の忘れられない一日のことだった。
 
インターネットをまじまじと見つめていたとき、たまたま目に入った文字。
「秋深まった六甲山をトレッキングしてみませんか?」
それは、ふもとの阪神間に住んでおきながら、全く行ったことが無かった山への興味を呼び起こさせるものだった。
 
「六甲山って、毎朝通勤しているときに見ているけど、どんなものなんだろう……?」
 
晴れわたったトレッキング当日、ガイドさんの案内に沿って六甲山に登ってみたところ、いつもとは違った地元の景色を見ることができた。
「あぁ、来てよかったなぁ」と鳥肌が立ったのをいまだに覚えている。
 
だから、その感動をもう一度味わおうと、今年は山登りを始めてみようと思った。
さっそく、インターネットで検索……。
 
「山に登るには、必要なものがたくさんあります。登山靴、レインウェア、リュック……」
 
その数、ずらずらと10個以上はあったと思う。
 
「えっ、これだけ集めるの!?」
登山靴とリュックは何かのきっかけで手元にたまたまあった。けれど、そのほかは何も持っていなかった。
それらは山に登るには最低限必要なものばかりである。
 
「まずはレインウェアを買いに行こう!」
 
というわけで、3月のある休日、少し遠くにあるアウトレットモールの登山用品店に向かった。
 
「いらっしゃいませ!」
店員さんは、私を山登りの世界に迎え入れようと元気よくあいさつしてくれる。
 
とはいうものの、私はなるべく店員さんとの距離を置きつつ買い物をしたいと思っていた。
 
というのも、店員さんに声をかけて、おすすめの商品を紹介させておきながら、断るということをしたくないというのが理由だったのと、レインウェアぐらいならなんとなく一人で買えそうだったから、とくに聞く必要もないと考えていたからだ。
 
ひとまずレインウェア売り場へ向かう。
 
「レインウェア、レインウェア……あっ、あったあった! でも種類がたくさんあるなぁ」
 
低山ハイク用、雪山用……環境や用途によって、数多く種類が用意されていた。
しかし、六甲山に一度登ったことがある私が、どのレインウェアが適しているか分かるはずがない。
 
「どれにしよう……、でも、声かけづらいなぁ……」
店内で、何分迷っただろうか。
次々にお客さんは来店し、各々気に入ったと思われる商品を手に取りレジに向かう。
 
「あれもいいなぁ、これもいいなぁ……、うーん……」
 
結局、迷いに迷った私は、近くで陳列棚の商品を整理していた店員さんを呼んだ。
 
「すっ、すみません……」
「はい、いらっしゃいませ!」
 
明るい返事で応えてくれた。いつもなら「寄ってこないで……」と思っているのだが、このときばかりは少しほっとしたような気がする。
 
「あの……これから山に登ろうかなと考えているんですが、なにしろこれだけの種類のなかからどのレインウェアを選ぼうか分からなくて……教えてほしいんですが……」
 
「そうですよね、これだけ種類があると迷いますよね」
店員さんは、私の迷いに向き合ってくれた。
 
「えっと、こちらの商品はですね、当店の商品の中ではお手ごろな値段なんですけど、生地がしっかりしていて……」
 
それは、流れるような説明だった。
店員さんにとってはごく当たり前のことだとは思うが、こちらはその商品を初めて手に取る素人だ。次から次へと流れてくる言葉を、一つ一つ相槌を打ちながら真剣に聞いた。
 
そういえば、私が文章術を学ぼうと通っている天狼院書店の「ライティング・ゼミ」で、講師の三浦さんはこんなことを話していた気がする。
 
「意外と『文章に自信があります!』という人ほど上達するのに時間がかかるんですが、『文章に自信がありません……』という人ほど、この講座を素直に聞いて上達するんですよ~」
 
「なるほど」と講義会場でもない登山用品店で実感してしまった。
 
片意地を張って、他人の話を聞かず「これでいいだろう」と自分一人で早合点するよりも、その道のプロの話を素直に聞けば、将来は違ってくる。
ライティング・ゼミでは毎週課題として2000字の記事を提出することになっているが、添削してくださる方々に何回かお褒めの言葉を頂いていることは、素直に講義を聞いていたのが理由かもしれない。
 
「分からなければ、素直にプロの話に耳を傾ける」というごく当たり前のことを、この場所ではすっかり忘れてしまっていたのであった。
 
「これから春にかけて、山に登りやすい季節になってきますから、このウェアをきて山登りを楽しんでくださいね」
 
お会計を済ませ、帰り際に店員さんから商品を受け取ったとき、山登りという新しい趣味はきっと楽しめるだろうと実感した。
 
 
 
 
****
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。


人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2021-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事