メディアグランプリ

とりあえず、声に出す。すると……


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
 
記事:井上 文(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
何回観ても、涙が出る。
幼稚園での年長さんへの卒園祝いとして、作成した教職員ダンスムービー。
子ども達の成長に感動したわけではない……
 
コロナで始まった2020年度。園行事は例年通りに執り行うことはできない、となると、保護者同士が触れ合うきっかけもない。子ども達は登園していても、親御さん達にとっては空白の1年、実感が湧かないまま終わってしまったのだ。
 
そこで、何か特別な贈り物をしたいと思い、私は職場の仲間に呼びかけた。
『BTSを踊りませんか?』
 
まさかの無反応。
もう、がっかり。
予想外。
 
中には必死に反対する者も……
問題外。
 
スタートこそ躓いたというか、初めから順調ではなかっただけ。
完成動画を友人達にLINEで送りまくった。
 
「楽しそうだね〜」
「当日の子ども達の反応、聞かせて!」
「編集が凄すぎる!」
 
と、誰が観ても見事な出来栄えだった。
そう、つまり結果オーライ。
 
とは言え、4人しか賛同してくれなかったのに、なぜ諦めなかったのか。
それは、「今年は絶対にダンスに挑戦する」という個人の目標があったから。
ただそれだけ。
 
前々から企んでいたわけではない。
ボスから、卒園式に向けて何かアイディアがないか言われ、閃いた。
というより、踊っている自分が自然と想像できたのだ。
ダンス以外のアイディアは有り得ない、という強い直感があった。
 
イメージできることは実現する。
撮影を開始してから気が付いた……
 
興味深いのが、私はただミーティングで発案しただけ。
踊りたい曲名を決めていただけ。
ダンスは得意ではないし、30人近い職員のダンス構成なんてできない。
唯一、編集やります! という1人の同僚が頼みの綱だった。
 
ゴールへの具体策はないけれど、とりえず提案してみた。
言ってみるもんだ。強い助っ人がいた。
ダンスが得意なスタッフ一名確保!
 
他は皆、できることなら踊りたくない派……
 
「人生で一番苦手なのがダンス」
「お金をもらっても踊りたくない」
 
みんなの気持ちは百も承知。
それでも、私に諦める選択肢はなかった。
 
まずは踊りたい自分が自己練習に励んだ。
テンポとポーズだけはどうにかマスターしたかった。
今の時代、ダンスのハウツーYouTubeはたくさんある。
BTSで検索して、何度も何度も練習。ワンフレーズ踊ると、調子になり、全部踊りたい衝動にかられた。
 
職場で、練習成果を披露すると、同僚の目の色が変わった。
どうやら、火をつけてしまったらしい!
 
『ダンスはパッション』
 
ダンスが得意な同僚のこの言葉は、とても力強かった。
と同時に、1人1人の自信にもつながった。
ワクワクは伝染する。誰も気が付かない速さで。
 
完コピをするわけではない。
振り付けは至極簡単バージョンに。
編集で盛り上がりをつけるので、負担は最小限にするつもり。
年長さんと保護者の方へのサプライズプレゼント。
撮影前はお菓子の差し入れ。
 
日に日に、同僚達は、少しずつ前向きになってくれた。
 
1人、1人、家で練習してくれる人が出てきた。
緊張の塊だった表情も少しずつ緩んできたのだ。
「全部踊りたい!」という同僚までも。
 
これだけの盛り上がりに、編集力が加わるとどうなるか。
感涙。
 
自分でも驚いた。
嬉し涙でもなく、悲し涙でもない。
何の涙かはよくわからなかった。
 
慌てて、完成した動画再生を止めてしまった。
もっと上手く踊れたのに、などというような陳腐な後悔ではない。
また、涙を抑えようとした自分もいた。
素直に喜べない自分がいた。
 
ことの始まりは、
ダンスをしたいという私の願望。
友人からは「あやちゃんが踊るなんて、想像できない」と言われていた。
 
完成まで、練習時間はほとんどない、合わせる時間もない。
ナイナイ尽くしの中、とりあえず進んできた。編集に期待していたわけではない。
どうなるかわからないけど、なんとなく、皆の気持ちが繋がってきたことだけが嬉しかった。
 
卒園式が終わり、子どもたちと親御さんから喜びの声を頂いた。
狙い通り、笑い声もたくさん!
ここでやっと、私は自分の気持ちを受け入れられた。
溢れ出る涙を衝動的に抑えてしまった理由を……
 
「まさか、この同僚達とこんな最高な結果を出せるとは! ダンスをしたい、想いは声に出してみるもんだ。予期せぬ奇跡を起こすのだ」
 
決して、一致団結してゴールに向かっていたわけではないから、素直に喜べない自分がいたのだ。恥ずかしい。
普段から面倒なこと、時間がかかることは避ける傾向のあった同僚達。
でも、彼らの協力がなければこんな素敵なダンスムービーはできなかった。
 
何事も始めてみないと分からない。
まずは声に出す! 本当にそう思う。
 
これからの時代、もっともっと世界中の一人一人が声をあげるべきだと思う。
どんなことでも良い、誰かの為でもいい、私のように自分の為でもよい。
 
声をあげることで、反対が起きるかもしれない。
スムーズに進まないかもしれない。
それでも、結果を恐れず前に進んでみて欲しい。手を差し伸べてくれる人は意外といる。
 
 
 
 
****

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2021-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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