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「頼らせてあげる」を義務教育に。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:西部十翔(チーム天狼院)
 
 
「ちょっと兄ちゃん、手伝ってくれるか~」
 
「お~い」
 
ん、どこからか、女性の声が聞こえてくる。
僕は片耳に付けていたイヤホンを外し、周囲を確認した。
 
視線を向けた先には押し車を引いた女性が一人、こちらを見て手で合図をしている。
 
ここは、地下鉄の最寄り駅のホーム。
 
聞くと、電車に乗り降りする際、ホームとの間に隙間があるから、そのときだけ押し車を持ち上げて動かしてほしいとのこと。
 
「あっ、もちろんです!」
 
と言ったと同時に、まただよ……。
これまでにも、地下鉄の駅構内でこのように声を掛けていただいたことは何度かあるのだけど、毎度だいたい次の予定で急いでいるか、遅刻しそうで焦っているときばかり。
いつもタイミングが絶妙に良くない。その女性の方や、今まで声を掛けてくださった方々を攻めているとか、全くもってそういう話ではない。ただ、タイミングの話をしているだけなのだ。
そして、今日も。
その日はなぜか、家の出発時間をうっかり間違えてしまい、いつもより一本遅い電車でバイトに向かう予定だった。それでもスマホで、一分でも早く到着する電車の経路を探し出し、降りた駅からダッシュをかけて現地に向かえばなんとか間に合うだろうと考えていた。
 
そんな日に限っての出来事だった。
帰り道や、時間に余裕のあるときだったら、喜んで、何時間掛けてもお手伝いさせていただくのに。
まあ、これも運命。
有難く引き受け、最後まで全力でサポートさせていただこう。
 
なんてことを心に決め、ホームで女性の方と一緒に電車が来るのを待った。
 
そもそも、僕の目的地の最寄り駅までは乗り換えが必要だ。もし女性の方と行き先が違ったら、どう対応したら良いだろうか。とりあえず聞いてみることにした。
「どちらまで行かれるのですか?」
 
「兄ちゃんはどこまで行くの? 私は○○まで買い物をするために」
 
「あっ、そこは僕の行き先のお隣の駅ですね」
 
「私が降りる駅の、一つ先やね。 じゃあ、これから電車乗って一緒に乗り換えて、途中でこの押し車降ろすまでやってくれるかな」
 
「そうですね! そうしましょうか」
 
そんな会話をしている内に、電車がやってきた。
女性の方は車内の持ち手を使って乗り込み、一目散に座席に腰をかける。
僕も遅れて、押し車を抱えたまま、無事乗り込みに成功。
女性が座った座席の対面に僕も座る。
 
「助かるよ。 君みたいな人がいるおかげで、こうやって私は毎週、外出してお買い物ができているんだよ。 だから感謝しているよ」
 
それを聞いて、なんか良いなと思った。
始めは正直、会って間もない相手に、少し強引な口調で物を言う方だなという印象を受けていた。
 
だけど、話を聞いていくに連れ、その印象はどんどん変化する。
こうやって堂々と、誰かに頼りながら、自分の行動範囲を狭めることなく、自分のやりたいことを追求する、その生き方と、ある種の潔さに強く感銘を受けた。
頼ってもらった側にとっても嬉しいことだし、感謝の意を伝えられるともっと幸せな気持ちになる。結果、win-winまたは、それ以上にこちらが得をする場合もあるかもしれない。
 
「頼らせてあげる、という位の心持ちでも私は良いと思う」
 
その女性の方がポロッと口にした、言葉。
見方によっては、いや多くの人にとっては、なんてロックな考え方なんだと思われるかもしれない。人によっては、傲慢と捉える人もいるだろう。
 
でも僕は、この「頼らせてあげる」という考え方・価値観を持つべき人が持てるようになったら、日常に生きづらさを感じる人も少しは減るのではないかと感じる。
 
これに少し関連する話で、僕は約半年前から、リュックサックにサポートハートマークというキーホルダーを付けている。このマークは、日常で何か困りごとのある方が、お手伝いをお願いしやすくなるサインのこと。障害や妊婦初期、義足など援助や配慮を必要なことを知らせるヘルプマークの逆バージョンと言ったらわかりやすいかもしれない。
 
友人が普及活動をしていたことがキッカケで付け始めたこのマークだけど、行く行くはこれが無くなったら良いのにと願っている。
電車の例で例えると、一番は、何か援助や配慮が必要な方が乗り降りする際、近くの人たちがサッと率先してサポートに入れたら、それがベストだと思う。
ただ、助けを必要とする側も、可能な場合は自ら働きかけるアクションを起こすことだって同じ様に必要だと感じる。これは何か障害を抱えている方や、妊婦さんに限った話ではなく、我々誰しもが対象になり得るシーンの一つ。
 
そのときに申し訳なさや、恥ずかしさのような感情を抱くのではなく、「頼らせてあげる」と心の中で唱えて、声を上げてみてはいかがだろうか。
 
話は戻り、そんな気付きを与えてくれた女性の方に、改めて感謝を伝えたい。
 
始めに乗った電車を降り、乗り換え時にお互いの話をしていたとき、女性は御年92歳の方だったことを知る。
 
非常にユニークでエネルギッシュな方だった。
 
またどこかでお会いできると良いな。
 
 
 
 
****

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2021-04-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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