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メディアグランプリ

25年間大切に保管していた私の宝箱、開く鍵は色褪せた新聞記事だった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
 
記事:田岡一宏(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「仕事、めんどくさがってないか」
会議で議論をしているときに上司から言われた。その瞬間、私はめっちゃくちゃ、むっとした!
 
部内で来期の売上計画を立てていた。3度の長時間にわたる部内会議を経て、来期の売上計画がほぼ決まった。ところが、計画をつくっている間に今期の売上が落ちてきた。落ちたと言っても計画からの乖離は数%だ。大騒ぎすることではないと思ったが、上司は方針転換してほとんど決まっていた来期の売上計画を白紙に戻そうと言い出した。
 
もう一度、売上計画を作り直すのは、正直めんどくさかった。売上落ち込みは一時的と思われるし、計画の乖離も大きくないので、来期の計画はそのまま進めたいと上司に意見した。その際に言われたのが冒頭の言葉だ。
 
言われた瞬間は感情的になった。が、時間がたって冷静になったら、上司の指摘は当たっているかも、と思い始めていた。老化現象の1つに「変化するのが億劫になる」というのを思い出したからだ。しかも、最近、仕事に対する熱意も薄れかけていた。社会人になって約25年、もういい年だ。もしかしたら、自分が気づかないうちに老化していたのか? 自分が老化したとは思いたくなかったし、断固否定したかった。
 
そんな心の葛藤を抱えながら、4月からの新年度に備え、昨年1年間の荷物の整理をしていた。断捨離だ。コロナによる緊急事態宣言が出ていたので、外出を控えていた。時間はたっぷりあった。ついでと思って、数十年前の荷物まで引っ張り出して片づけをしていた。整理の途中、目を引くものが物置の奥から出てきた。色褪せた新聞の切り抜きだ。革張りのケースに大切に保管されていた。
 
タイトルは「倉本聰の新社会人劇場」 、毎年4月1日にサントリーが出していた新聞広告だった。新社会人にエールを送る内容だ。記事の隅には、1996年4月1日と自筆していた。25年前のものだ。振り返ってみると私が社会人2年目をスタートさせた日だった。
 
記事の一部を紹介する。
 
倉本聰の新社会人劇場
「鍵」一幕一場(会社帰りの酒場にて)
係長 「学生から初めて社会人になる。実に何というか心が躍って、―――恐らくあなたは今胸の中に、俺が新しく加わった以上、会社をこう変えたい、会社をこうしたい、溢れんばかりの新鮮な夢がいっぱいふくらんでると思うんです。ちがいますか」
新人 「はい。自分、たしかに今」
係長 「だったら函(はこ)をお買いなさい。できるだけ高価で美しく、しかもしっかりと鍵のかかる函を」
新人 「函を、ですか」
係長 「そうです。そうしてその函の中に、今あなたの持つ純粋な夢をしっかりおさめて鍵をかけちゃうんです。夢を今出してはいけません。しまっておくんです、偉くなるまで」
新人 「ははァ」
係長 「但しその函にことを忘れちゃいけない。時々出してそっとその中身を確認する。ところがですね」
新人 「はァ」
係長 「サラリーマンはたいがいの人間が段々その函のことを思い出さなくなる。気がつくと鍵も紛失している。課長がそれです。部長は―――珍しくあの齢でまだ鍵を持ってる」
新人 「係長は今もまだ鍵をお持ちなんで」
係長 「持っていますとも。見たいですか?」
新人 「是非」
係長 「うむ。―――じゃあもう一杯お代わりをしましょう」
会社は、テレビドラマより、むつかしい
がんばれ新社会人!
 
読み終わった後、胸が熱くなった。当時の私は、どんな思いでこの切り抜きをしたのだろうか? 今の私は、全く覚えていない。しかし、当時の私が初心を忘れないように函にしまって、未来に函から取り出そうとしたに違いない。そして、未来の私が函を開けようとしたとき、鍵を紛失していたら? そんな時のために、この記事を大切に保管していたのではないか。この記事を読めば、きっと函の鍵を開けられるはずだ。きっとそう思ったに違いない。
そこまでして自分の夢を大切にしたかったのだ。とても強い情熱を感じた。
 
幸い、私は初心を忘れてはいなかった。私の夢は「人々の健康に寄与できるような商品を開発し、世の中に貢献したい」だ。しかし、25年前の情熱は、会社員生活を送るうちに失いかけていた。
 
この記事のおかげで、函の鍵を開け、夢にかける熱意を再び取り戻すことができた。この記事を大切に保管したその当時の私にお礼を言いたい。本当にありがとう!
 
私は、今52歳。あと8年は働ける。もう一仕事できる時間は十分にある!
会社でほとんど偉くはなっていないが、これまでの培った能力や人脈はある。それに加え、社会人なりたての時の溢れんばかりの熱意をもって、取り組んでいきたい。
 
あなたが私と同じように、ベテラン社会人であれば、鍵を探し出して函を開けてみることを勧めたい。
あなたが、フレッシュな社会人であれば、自分の夢を函にいれて、一旦しまっておく。そして、ときどき函を開け、中身を確認することを勧めたい。鍵を紛失してしまったときのために、私のように鍵のありかがわかる仕掛けを用意しておくと尚よいと思う。
 
 
 
 
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2021-04-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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