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そう言えば、前回の引越しもオリンピックの年だった


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記事:鎌田 良子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
結婚して間もなく28年になる。今年の初めには考えていなかった事なので、急と言えば急ではあるが、住まいを変える事になった。正確には何年住んだのだろうと思い返すと、長野オリンピックの年だった。1998年だから23年間である。T V局のテーマ曲を聞きながら、引越し準備や作業をした事をついこの前のように思い出す。子どもはこの家で育ったので、思い出も沢山ある。「何で駅チカの良い環境を手放すのか」聞いてくれる人もいる。
 
家族の希望から始まった。そして、私も同意したのは、環境を変えた方が良い未来が待っているような気がしたからだ。思い出も沢山あるが、モノも増えてしまった。整理整頓のコンサルタントもしている先輩が、「住」は本来人が主役と言っている。なかなかモノが捨てられない。夫の部屋は半分が物置き部屋のようになってしまい、有効利用出来ていない。
 
朝日が昇る景色が見えるリビングの窓がお気に入りだった。しかし、子どもはあまり高いところが好きではない。地震で揺れるのが嫌だという。そんなふうに考えた事がなかった。以前の私は、自分が好きな事は家族も好きなのだと思い込んでいたから。最近やっとそんな思い込みも手放せるようになってきた。
 
同じような思い込みでは、夫は「何でモノが捨てられないのだろう」と長年思い続けていた。余計なお世話であるが、引越しでモノを捨てれば少し片付くかなとも思ったのがきっかけだったりする。「捨てない事に理由はあるのか」考えていたところ、不動産屋さんとの雑談で、「洋服を思うように買えない時期もあったから、捨てられないんですよ」と言っていて驚いた。結婚してこんなに一緒にいたのに、知らない事もあるものだ。第三者が入る事で受け入れやすくなる事もある。少しだけ優しい気持ちになった。
 
他にも、優しい気持ちになった事がいくつかある。住み替えるにあたって、今の住まいを内覧で見にくるお客様の中には、小さいお子さんがいる家族連れも多くて癒される。子どもが小さい頃、特にハイハイをしていた頃は、床を隅から隅まで拭いていた。久しぶりにモップだけでなくて、あの頃のように床を拭いてみると、いつも見ないその高さから汚れに気づく事も多かった。気付かないうちに汚れも積み重なってしまっている。何故か、歯医者さんの定期検診の有効性をここで感じたりした。
 
子育てに良い環境だった。小学校も近かったし、公園や病院も近い。散歩コースは緑が多くて、昨年の自粛期間にも同じ経路を歩いて癒された。その気持ちは子どもも同じらしい。小さいお子さんがいるお客様に、自らの言葉で説明していたのは微笑ましかった。
 
引越し作業はきっと大変だ。駅からも遠くなる。仕事の繁忙期にも重なっている。でも、ワクワクしている。子どもと一緒に住めるのも後何年かわからない。新婚の頃に住んでいたところも、駅からは遠かった。あの頃の気持ちを思い出したりする。自転車やバスで買い物範囲も広くなりそうだ。手放す事で入ってくる事も多いに違いない。
 
コロナ禍のリモートワーク等で住環境を考え直す人が多いらしく、不動産は動いているようだ。知らなかった。省エネ家電は進化しているし、壁に貼る素材の脱臭や除菌なども進化している。何でも勉強になる。
 
もし高いところから見ていた景色が見えなくなったとしても、散歩などで見に行けば良いだけである。まだ知らない景色もあるはずだ。住まいを整える事で、人生が整う事もあるかもしれない。動いてみなければわからない事もきっと多い。
 
引越しに限らない。人生は決める事、選択の連続だ。やってみないとわからない。夫と私は性格がだいぶ違う。私は直感で決めるし、夫は合理的に論理的に数字や実績を比較検討し決める。だからこそ信頼もしている。不動産屋さんと話す時も、お手製のエクセルの資料を持ち歩いていた。夫婦で足りない部分を自然に補い合ってここまで来た。価値観の共通点もある。やらないで後悔するくらいなら、やって後悔すること。両親から引き継いだ事より、夫と積み上げた事の方が多くなってきた。住まいを決めたと同時に、これからの生き方を決めたような気がする。
 
世の中の働き方もだいぶ変わった。副業も解禁されるようになり、仕事だけで人生が豊かになるのも違うという空気感。人生を折り返すと、毎日を丁寧に生きる事や何気ない毎日が尊いことを実感する。
 
どんな人が住む事になっても、リフォームする事になっても、綺麗に磨いてこの家を出ようと思う。不動産屋さんが抜け間と眺望を褒めてくれた。風水的にも良いはず。私達と同じように、この家を通してこれからの生活が豊かになるように願う。
 
なぜだかまたオリンピックの年に引越しだ。無事行われるのかはわからないけれど、今よりもっと人が気軽に集まれるような家にもしていきたい。私だけの思い込みではなくて、家族全員の希望として。
 
 
 
 
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2021-04-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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