少年野球は鉱脈
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記事:後藤 修 (ライティング・ゼミ 日曜コース)
仕事の昼休憩。いつも行くスターバックスで、窓際の席に座り外を眺めると、
小学生高学年ぐらいの男の子が野球のバットを振るように、素振りをしていた。
その眼はスター選手に憧れているようにキラキラしていた。
そんな光景が僕に小学生の頃を思い出させた。
僕は小学生の時に、少年野球チームに所属していた。
残念ながら小学3年から小学6年まで活動したが、レギュラーになれなかった。
しかし、僕は少年野球から‘光り輝くもの’をもらった。
少年野球は僕にとって鉱脈だった。
僕が少年野球を始めたのは、近所の友達が地区の少年野球チームの練習を見学に行ったことが
きっかけだった。そこで、彼はその練習風景を見て、「入る!」と言った。僕は野球というスポーツを全く知らない子供だったが、彼が言ったその言葉に釣られて、入部を決めた。
そして、練習に初めて参加した週末の日曜日。
ボールを初めて触り、友達とキャッチボール。そして、ボールを軽く打ち、グラウンドをランニングした。僕は驚くほど、ワクワクもせず気持ちが高揚することなく練習を終えってしまった。
それからの週末に野球の練習をする時は、チームの‘補欠’が集合するグラウンドの隅が僕の練習場になった。
小学3年から小学5年の2年間はほとんど、そこで基礎練習を続けた。
キャッチボールや、コーチが打ったボールを捕ること、狭いグラウンドで軽いボールを打つバッティング練習と毎週続いた。
僕の友達を含めたチームメイトは力をつけて、認められてレギュラーが練習するグラウンドに次々と呼ばれるようになった。しかし僕は相変わらずあまり熱心に練習をしない日々を過ごしていた。
そして、小学5年の秋のある日、監督に呼ばれた。そこで、監督が「お前は実力からするとまだまだだけど、5年生だから、レギュラーがいるグラウンドで練習していいぞ」と言われた。
野球が上手でないのに、学年が上になってきたからという‘免除’でレギュラーに格上げになった。このような状況でも、誰もが喜びそうなものだが、僕は一向に野球に対して関心が高まらなかった。
しかし、この半年後に僕は変わった。
それは、いつもように練習をしていた時だった。
バットを振っていると、チームのある一人のコーチに声を掛けられた。そして、コーチは言った。
「お前、手を見せてみろ」 僕は「はい」と答えて、コーチに手を見せた。
コーチは笑いながら言った。
「お前、良くバットを振っているな。偉いぞ!」
僕は少年野球チームに入って、初めて褒められた。何とも言えない嬉しさが込み上げてきた!
この時、ちょうど小学校で地区のソフトボール大会が開催されていて、たまたまその練習のために、家で毎日バットを振っていたのだ。だから、偶然にも指と手のひらに出来ていたまめを偶然、コーチが見たのだ。しかし、偶然でも僕はこの時を境に野球の熱が上がった。
翌週から、以前と比べものにならないくらい練習が楽しく思えるようになった。
キャッチボール、コーチからノックを受ける練習はもちろん、特に‘ボールを打つ’バッティング練習はワクワクしながら、取り組み始めていた。そして、その効果でボールを打つと、打球が遠くまで徐々に飛ぶようになっていった。
僕が熱心に練習をするようになった1か月後に、対外試合があった。
その勝敗はすでに僕らのチームだったこともあり、僕は出場していたレギュラーに代わり、バッターボックスに立った。僕は心臓が飛び出そうになるほど緊張していた。自分を落ち着かせるように時々、深呼吸をした。そして、ピッチャーが投げた4球目を打った!外野へボールが転がった!初出場した対外試合でヒット!!
僕は1塁のベースの上で、体の震えをこらえ、嬉しさを噛みしめ立っていた…… 。
この時、僕は‘ボールを打つ楽しさ’を味わった。そして、これが‘鉱脈’となった
それから、僕はたまに対外試合に代打として出場して何度かヒットを打った。
そして、野球をだんだん好きになっていった。
小学校を卒業する日が近づいてきたある日。僕は突然、両親にこんな声を掛けられた。
「テニスやったらどう?ボールをたくさん打てるよ!」
その時、僕は野球の才能はまりないなと思い始めていた時だった。
これから、野球をやってもうまくはならないこともなんとなく分かっていた。だから、両親に言った。
「やるよ!教えて!」
僕はバットからラケットに持ち替えて、‘ボールを打ち続ける’ことを決めたのだ。
それは‘ボールを打つ楽しさを味わい続ける’ことを選んだ瞬間だった。
僕は中学、高校でソフトテニス部に所属した。
そして、高校の時には生涯にわたって付き合える‘大切な仲間’に出会えた。
年をとった今でも、みんなと会えば、当時がんばって県大会に出たこと、僕らペアが予選大会で地区の優勝ペアに奇跡的に勝ったこと、休日の雨が降るコートで他校選手のボール打つ時の物まねを1日中やり、お腹を抱えながら過ごしたこと、当時のことを語り合える素敵な奴らばかりだ。まさに‘ゴールド’なメンバーになのだ。
このような仲間に巡り合えたのは、僕が最初全く興味がなかったのに続けた野球のおかげだ。
小学生の子供たちはたくさんの習い事やスポーツをやっているだろう。中には、‘面白くないな’とか‘やっていてもしょうがないな’と思いながらやっている子もいるだろう。けれども、‘どうしてもこれは嫌だ’と思わないものならば続けてやってみたらいい。僕のように、関心がなくてもぜひやり続けてみたらいい。その結果、君たちにとって、生涯にわたって、泣き笑いを共にできる豪快で、愉快で誰もがうらやましがられる素敵な仲間たちに巡り合えるかもしれない。
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