メディアグランプリ

中国で生活したら節電意識が高くなった話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:深谷百合子 (ライティング・ゼミ 超通信コース)
 
 
部屋でテレビを見ていたら、プツっと真っ暗になった。停電だ。
 
「あ、しまった。やっちゃった」
まだ大丈夫だろうと電気メーターの確認をしなかったのがいけなかった。スマホのライトを付けて、部屋の引き出しから懐中電灯を取り出す。時刻は21時を過ぎたところだ。ひとまず電気代をチャージしに行くため、財布を持って真っ暗な部屋を出た。
 
中国四川省にある成都市に住み始めてから、半年余り過ぎたところだった。それまではずっとホテル暮らしをしていたのだが、成都市内にある中国企業に転職してから、現地の賃貸マンションに住むことになった。入居の際、鍵と一緒に2枚のカードを渡された。1枚は電気、もう1枚は都市ガスのカードだ。
 
「電気は、コンビニでこのカードと現金を出せばチャージしてくれます。その後、マンションの電気メーターにカードを挿して読み込ませてね。ガスはアプリで毎月使った分を支払うことができますが、電気は今からチャージしておいた方がいいです」
 
「なんと! 電気はプリペイド方式なのか。電気メーターにカードを挿す? どんなメーターなんだろう? なんだか日本とはずいぶん違うんだな」
 
そんな疑問を持ちながら、言われた通りにコンビニに行き、とりあえず300元(日本円で4500~4800円程度)チャージしようと現金を出すと、「こんなに?」と店員に言われた。
 
しかし、普通1ヶ月でどれ位の電気代なのか見当もつかない。そう言えば日本で生活していた頃も、自分がどれほど電気を使っているかなんて、あまり意識してこなかったなと思いながらマンションに戻り、電気メーターを見に行く。カードを差し込み、メーターのボタンを押して読み込みが完了するまで待つ。チャージが完了し、表示の切替ボタンを押すと、現時点での電力量、チャージ残額等がデジタル表示される。これを写真にとっておけば、どれくらいの日数で残額がいくらになるのかが分かる。
 
それ以来、週に1度は電気メーターを見に行き、いつ頃にはチャージしないといけないなと予測を立てて暮らしてきた。
 
けれども、慣れるにつれて、月に1、2回チャージをするのが面倒になり、一度に多額の現金をチャージして気を緩めたのがいけなかった。まだ大丈夫と思って、メーターの確認もしていなかったある夏の晩、突然停電したのだ。
 
「しまったなぁ。なんでこの間の日曜日に確認しなかったんだろう?」
そう後悔しながら、近くのコンビニでチャージをしてマンションに戻り、電気メーターのある場所へ行く。すると、いつも開きっぱなしだった扉が今日は閉まっている。扉を引いてみると、鍵がかかっていて開かない。これはマズイことになった。鍵を開けてもらうには、マンションの管理人に連絡をしなければならない。
 
「チャージをしたいから、電気メーターの部屋の鍵を開けてほしい」と伝え、管理人が来てくれるまで部屋で待つことにした。
 
効いているのかどうか分からないようなクーラーだったけれど、切れてしまうと部屋の中はあっという間に蒸し暑くなる。懐中電灯だけの暗いしんとした部屋で、ひとりぼんやりと待つ。
 
「最近クーラー使いすぎたのかな。今晩は、まだあれやこれやとやることがあったのに、とんだ番狂わせになっちゃったな。それにしても、連絡してから20分経つけど、まだかな。すぐ来てくれるって言ってたのにな」
 
そんなことをグルグル考えていると、扉をノックする音が聞こえた。管理人に電気メーターのある部屋の鍵を開けてもらい、チャージをする。その後、いつものようにメーターの数値を写真にとった。
 
管理人にお礼を言って部屋に戻り、玄関脇のスイッチを入れると、いつものように電気がついた。電気がつくって、こんなにも安心するものなのかと、私は心の底から実感した。
 
それ以来、私は自分の電気の使い方をきちんと把握するようになった。一度に多額の金額をチャージするのもやめた。やり始めてみると、色々な発見があって面白い。平日と休日でどれくらい差が出るのか? 先週と今週との違いは何なのか? そんなことを分析しながら、「よし、来週は今週よりも減らそう」、「今回チャージした100元で何日もつか?」等と目標を立てる。それが結果として節電に繋がっていった。そして、その後は自分で計算しなくても、専用のアプリで自分の電気の使い方や次にチャージが必要になるまでの日数の予測が確認できるようになった。
 
このように電気の使用量をデジタルで計測できるメーターを「スマートメーター」と言う。日本でも導入が進められているが、まだ普及までには時間がかかっている。今のアナログのメーターでも、決まった時間に検針すれば、自分が何日でどれ位の電気を使うのかを知ることはできるが、正直面倒くさい。結局、前月の伝票を見て初めて「うわー、こんなに使っていたのか」と知り、節約しようと思うものの、なかなか具体的な行動までは起こせない。
 
でもアプリを開けば、毎日自分がどれ位電気を使っているのかが一目で分かるようになれば、ゲーム感覚で節電できそうだ。中国で一足お先に体験したスマートメーターが、今の日本の自宅にも早く設置されればよいなと思う。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 


人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984

 


2021-04-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事