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早く仕事が終わったら


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:篁五郎(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
部屋の中でノートパソコンにうんうん言いながら向かっていた俺の表情が晴れやかになった。そう、書いていた記事の納品が無事終わり、本日の仕事が無事終わったのだ。
 
天井に両腕を伸ばして軽くストレッチをすると、急に胃袋が俺に呼びかけてくる。
 
腹が…… 減った。
 
時間は午前11時を過ぎたばかり。昼飯には少し早いけど外へ食べに行こうじゃないか。
 
スマホで調べれば一発なのだが気ままに行こうじゃないと鼻歌でも歌いつつ町田駅の方向へ足を向ける。ポテポテと歩いていると一軒家がずらりと並んでいる東京郊外の住宅地ではお馴染みの風景が見えてきた。
 
日本の家って外国人からは「ネコの額の土地にウサギ小屋を建てている」なんて言われるけど、ちょっと違うよな。今ならリカちゃんハウスのほうが近い。なんて毒を吐きつつリカちゃんハウスの群れをかき分けるように進んでいくと先に赤い布がヒラヒラしているのが見えた。
 
おっ、どうやら飯屋がありそうだ。
 
少し早足で歩みを進めるとどどーんと目に飛び込んできたのは「美味しい中華」と書いてある看板だった。
 
ここだ。ここにしよう。胃袋ちゃんも中華料理に賛成のようだ。
 
良い店構えだ。お洒落さとは無縁なのがいい。ヒラヒラしている赤い暖簾も昔ながらの中華料理屋そのものだ。
 
よし。絶対に外れはない。ゴーだ。
 
「いらっしゃい」
 
若い女性の声でお出迎えをされる。一人だと告げると空いているカウンター席へ案内される。通常なら4人は座れそうなカウンター席には俺と先客の二人だけ。このご時世だから当たり前っちゃあ当たり前だな。
 
メニューを広げて胃袋と何を食べるか相談を始めてみる。
 
なんだ? このメニューの数は! もの凄い持ち駒じゃないか。サンマーメンだけじゃない。ラーメンも醤油、塩、味噌とある。それにタンメン、もやし麺、焼きそば、かた焼きそばまであるじゃないか。一品料理も多いな。
 
おっ、俺の大好物麻婆豆腐があるじゃないか。
 
白い飯に麻婆豆腐をぶっかけて食べるのって最高だよなあ。でも、麻婆豆腐と白い飯だとご飯が少ないのがイヤなんだよなあ。もっと白い飯と食いたい。
 
おや? 麻婆豆腐飯なんてあるじゃないか。
 
よし。これに決まり。後は何をおかずに組み合わせるかだ。
 
餃子もいいんだけど当たり前すぎるし、シュウマイだと麻婆豆腐の味に負けてしまう。野菜炒めだと多すぎる。
 
ん? 唐揚げだと? いいじゃないか。5個か。十分だな。よし。
 
「すいません。麻婆豆腐飯と唐揚げ5個を単品で」
 
「はい、かしこまりました」
 
よし。ここまで完璧だ。後は来るのを待つだけだな。
 
注文を伝えると余裕が出てきたのか店の中を見渡すゆとりが出てきた。カウンターの中には気のよさそうなおじさんと息子さんと思われる若い料理人が大ぶりな中華鍋を振って忙しく料理を作っていた。もちろん全員マスクをしている。
 
俺の目の前は厨房が丸見え。これは特等席かもしれない。中ではあちこちから声が飛びながら次々と料理が出来上がっていく。
 
気になったのは厨房の柱にスマホを止めてあること。まさか調理中や洗い物をしているときにユーチューブでも見ている訳じゃああるまい。しかし、店員さんが時折スマホを弄って何かをチェックしているようだ。
 
あっそういえば外にUber eatsのシールが貼ってあったっけ。
 
このご時世Uber eatsでもやらないと生き残ることはできないか。そうなるとあのデカいカバンを持った配達員が俺の横に来るのか。
 
いつだろ? まあ、いいか。美味いもの食べていれば気にならない。呑気にを見ていると俺の元に麻婆豆腐飯と唐揚げが運ばれる。
 
「お待たせしました。こちら麻婆豆腐飯と唐揚げです」
 
「おっほほほほ」
 
思わず喜びの声が出る。いかん、今の俺は赤い布に興奮している牛のようだ。胃袋が麻婆豆腐と白い飯を呼んでいる。
 
焦るんじゃない。俺は腹が減っているだけなんだ。
 
まずは麻婆豆腐を一口。少し山椒の辛さがピリッときたがコクの深みが出ていて美味い。
 
これだよ。ピリリとした辛さと炒めた挽肉の旨味がよく出ていて、豆腐もゴロっと原型を留めて上手に調理されている。
 
よし。次は唐揚げだ。
 
どうたい、どうだい。このも唐揚げも美味そうだ。
 
ガブリと食いつく。デカくて一口では食べきれない。噛むと鶏肉から肉汁が口の中に広がる。肉も塩こしょうが効いているし、衣が軽いから脂っこさがない。付け合わせのキャベツもシャキッとしていていい。
 
もう言葉はいらない。豆板醤と甜麺醤の辛さとコクの深み。そして山椒のピリリとしたしびれを楽しみながらご飯と一緒に口へとかき込む。
 
どこかのバラエティーアイドルのブログタイトルに「麻婆豆腐は飲み物です」なんて名付けていたけど、それは間違いだ。
 
麻婆豆腐は白い飯と一緒だと飲み物になる。もう箸が止まらない。休憩に食べる唐揚げを食べると再び麻婆豆腐の辛さが恋しくなる。
 
完璧だ。完璧すぎるこの組み合わせ。一気に食べ進めてあっという間にごちそうさま。
 
いかん。ちょっと食い過ぎたかも。でも、まあ、いいか。美味かったから。
 
さて、部屋へ帰ったら昼寝でもするか。早く仕事を終えた日はゆったりと時間が流れるな。
 
 
 
 
***
 

プロフィール:篁五郎
現在、天狼院書店・WEB READING LIFEで「文豪の心は鎌倉にあり」を連載中。

https://tenro-in.com/bungo_in_kamakura

初代タイガーマスクをテレビで見て以来プロレスにはまって35年。新日本プロレスを中心に現地観戦も多数。アントニオ猪木や長州力、前田日明の引退試合も現地で目撃。普段もプロレス会場で買ったTシャツを身にまとって打ち合わせに行くほどのファンで愛読書は鈴木みのるの「ギラギラ幸福論」。現在は、天狼院書店のライダーズ俱楽部でライティング学びつつフリーのWEBライターとして日々を過ごす。

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 


 
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2021-04-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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