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無くなってから気づくこと


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記事:川口 公伸(ライティングゼミ・平日コース)
 
 
少し前に新聞の記事で、街に書店が1軒もない自治体があることが書かれていた。
幸いに僕の住んでいる街や、職場の最寄りの駅付近には書店がある。
それでも、中学生の頃に比べるとその数は減っている。
以前は、欲しい本があると数軒回って見つけることもあったが、今では何軒も回るほど書店がない。
欲しい本はインターネットで注文すれば買えるようになり、自分で書店に行って探さなくても手に入る。
雑誌であれば、コンビニで手に入る。
書店でなければならないと言う理由がどんどん減っているのかも知れない。
それでもやっぱり書店がないと困る。
完全に個人的な意見なのかも知れない。
昨年、コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令された。
すると、駅前などのショッピングモールや百貨店は食品売り場を残し、臨時休業となってしまった。
そこには当然書店も含まれている。
そうなった時に、普段よく行っている書店はほとんどが休業中となった。
その間、自分の周りで営業していたのは、近所の商店街の中にある書店が1軒だけだった。
そこはいつもよりも混雑しているようだった。
普段当たり前のようにある時にはあまり気にしていなかったのだが、いざ行けなくなってしまった時に始めて大切さに気づくことができた。
緊急事態宣言解除後は、同様の状況にはなっていないが、いつか自分の住んでいる街からも書店が消えてしまうことがないとは言えないだろう。
そうなった時になって慌てるのだろうか?
思えば、自分の子供の頃はおもちゃと言えば超合金のロボットだった。
それは、おもちゃ屋さんに売っていて、誕生日やクリスマス、お年玉をもらった後などにおもちゃ屋さんへ行き買ってもらったりしていた。
しかし、いつの頃からかおもちゃはテレビゲームに変わって行き、おもちゃ屋さんも次第に姿を消した。
今では家電量販店などで、ゲームを買うようになった。
レンタルや、ネット配信に押されてレコード店も姿を消した。
さらには、レンタルビデオなども減ってきているように思う。
昭和が終わる時には行列が出来ていたレンタルビデオ店も、近所からは無くなってしまった。
 
書店も一緒で、中学生の頃まではブックオフとかではない古書店が近所にあった。
そこで、文庫の古本を買ったりした覚えがある。
文庫本の最後のページに鉛筆で値段が書いてあった。
当時はまだ文庫本の新書でも三百円くらいで買えていた頃。
古本は数十円単位で買えた。
他にも、近所の商店街の中には書店が3軒あり、他に学校の通学路の途中に1軒、少し離れた駅の前にも1軒の書店があった。
それが、今は1軒だけになってしまった。
街の中心部の駅のそばにも3〜4軒ほどあった書店が、今はショッピングモールの中の1軒だけとなってしまった。
そうやって考えると、いずれ書店がない街になってしまうということはあり得ないことではないだろう。
 
今、本は実物を見ることなくネットで注文すれば数日のうちに手にすることができる。
しかし、自分の知らない本と出会うことはない。
実際に書店へ行き、並んでいる本の中から新しい本と出会うと言うことは、宝探しと言っても良いのではないだろうか。
そうして出会った本が人生を変えることもあるだろう。
中学生の頃、古書店で買った司馬遼太郎さんの「竜馬がいく」に影響を受けたり、仕事に迷っている頃に知った喜多川泰さんの「君と会えたから」によって希望を見出したりした。
どうしても読んでみたかった、オグ・マンディーノさんの「12番目の天使」を探して何軒もの書店を探して歩くのはとても楽しかった。
今も書店へ行くと新しい出会いが待っている。
そんな出会いを求めて書店へ行き、つい本を買ってしまう。
家には読まれることを待っている本が後をたたない。
それでも、書店へ行ってしまう。
そこは僕にとっての憩いの場所である。
たとえ目当ての本がなくても、欲しいと思っている本がない時でも、書店で棚を眺めているだけで満足することがある
 
そんな書店に対して自分ができるとことは少ないだろう。
それでもきっと、村山早紀さんの「桜風堂ものがたり」の登場人物のように書店を守ろうとしている人がいて今も書店がなくならずに済んでいると信じている。
しかし、実際に無くなってから、その重要性に気づくものも多いのだろう。
書店が減り続けている現在。
僕の憩いの場所でもある書店が、無くなることなく存続し続けて行く事を心から願う。
 
 
 
 
***
 
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2021-04-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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