メディアグランプリ

もう「一緒に働こう」とは言えないんだ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ほーりー(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
年始になって転職してから、時間が経った。
 
入社後すぐにリモートワークになり、
難しいながらも少しずつ同僚とコミュニケーションが取れてきている。
 
社内でのオンラインMTGでは、
「顔を出さない、音声のみ」という慣習。
 
はじめは驚いた。
そうは言っても、
量をこなしていくと慣れるものだ。
 
転職だけでなく、新しい環境に
なじもうとしている方には伝えたい。
どんなに大きな変化であったとしても、
とにかく回数をこなし、飛び込んでみる。
怖がらずに少しの勇気を持って。なんとかなる。
サラリーマンを約15年やってきて会得した教訓である。
 
つまり、少し不慣れなことでも飛び込んでいく。
数をこなしていく。
大量に行動する。
 
気がついたら、順応しているようになる。
良くも悪くも人は慣れていく生き物だ。
新しい組織になじんでいくこと。
それは、以前所属していた組織のやり方や雰囲気、
ルールなどの過去は忘れていくことだと思っていた。
 
そして当然ながら、元の職場の方たちと物理的に「一緒に働く」
こともなくなる。
 
ただそんな考え方と逆行するような不思議な出来事があった。
顔出ししないオンラインMTGで、気がついたこと
新しい職場では、1日で複数回あるのが日常だ。
 
最近入社したばかりの新参者の私。
 
声だけで一度も会っていない相手のキャラクター、仕事の
スタンスを伺う。頭をフル回転して推し量る。
パソコンの画面は、黒い色で塗りつぶされ、
参加メンバーの名前だけが白文字で映る。
 
こんなオンラインでの初対面のコミュニケーションは覚悟していた。
予想よりもはるかに難しい。
せめて自分だけ顔出ししてしまったほうがスムーズに意思疎通が
図れるのではないだろうかとさえ思う。
 
少なくとも、こちら側のうなずきや手振りの非言語データを表現できる。
相手にリアクションを伝えることができる。
 
お互いの顔が見えないから、誰かが議論していると、
自分が意見を表明するタイミングがつかみづらい。
 
声だけで相手の意図や考えていることを推し量っていく。
 
声だけで自分に浮かんできたもの。
 
一緒に働いていた過去の同僚、上司、お客様のみなさんだ。
 
15年以上仕事をしてきて、2,000人以上の方と働いてきた。
クライアントやその関係者も含めたらもっといるだろう。
膨大な数の人のキャラクター、価値観、仕事に対する
姿勢が脳に刻まれている。
 
似たような声、その大きさ、抑揚、間のとり方。
おそらくそんなデータベースのようなものがみなさんにもあるのではないか。
 
そのデータの中で、かつて働いた同僚や顧客の方々が脳裏に
よみがえってくることがある。
 
「彼だったら、こう言うだろうな」
「彼女だったら、この選択肢は取らない」
「あの課長なら、こんな質問をするかもしれない」
 
多くの人の価値観を照らし合わせながら、
脳の中で多数の意見交換のイメージを行う。
こうして自分の意見を作っていく。
 
そんな過程を経験していくと、面白いぐらいに過去の人たちと
似ているタイプの方に出会う。
 
過去の人たちとのコミュニケーションがベースとなり、
その相手とやり取りをする。
今日もとっさにある商品の意見を求められた。
 
同様の好事例を社内プレゼンした前職の同僚コンサルタントを思いだし、
それをもとにアウトプットした。
ありありと当時の社内プレゼンの様子を思い出しながら。
そのときの自分は多くの仲間のブレインと仕事をしている感覚を覚えた。
 
音声という限られた条件・状況があることで、自分の脳裏にある
過去の関わった人達のデータにつながる。
営業職という、様々なバックグラウンドを持つ人と
接する機会に恵まれたことがプラスに働いたのかもしれない。
 
長年働いていると、異動や転職で職場が変わる。
これは、誰にでも起こりうること。
その度に同僚や上司との働く上での関係性はリセットになる。
 
だがふとした瞬間に、その人達がよみがえることがある。
ちょっとした言葉のやりとりや話し方、
業務知識を学んだ過去の場面。
 
そんなたくさんの人たちと働いてきた繋がりを
これからも大事にしたい。
 
それは、職場を離れてからも実際に連絡を取り合うとか
いうことではない。
さまざまな巡りあいで関わってきた人たち
と共に学んだ場面を記憶にとどめておくこと。
 
昔の同僚の何気ない一言を思い出してそれをヒントに
仕事のピンチを脱出する。
そんな場面があるかもしれない。
もう「一緒に働こう」とは元の同僚には言うことはできない。
ただ人は長いキャリアの中で、いつかどこかで「一緒に働いている」
感覚がよみがえることがあるかもしれない。
 
私は、キャリアを重ねていくこと、
長年働いていく喜びをそこに見出していきたい。
社会人になると、職場の出会いと別れは
つきものだ。
 
働き続けることは、今までの関わった人と
つながっていること。
時間や場所を超えて、つながることもある。
たくさんの人たちとこれからも一緒に
働いていくだろう。
 
人生100年時代。
まだ自分はその半分も来ていない。
まだまだたくさんの人と出会い、つながっていく。
 
一緒に働く人を増やしていこう。
 
 
 
 
***
 
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2021-04-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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