いつも同じ朝食メニューが、私にもたらしたもの
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：まちだ ねこいち（ライティング・ゼミ 日曜コース）
４月は多くの人にとって新しい環境に飛び込んだり、年度が改まったりして、「今年はこれをやるぞ」と決意を新たにする時期でもあります。それぞれダイエット、早起き、読書などいろいろとやりたいことがある中で、「バランスのよい朝食を毎日食べる」ということを決意した人もいるでしょう。
私は以前はまったく朝食を食べない生活をしていましたが、「朝食をきちんと作って食べる」と決めてから、その継続のために試行錯誤し、ついにあるコツにたどり着きました。
それは「朝食はいつも同じ固定メニューでいい」ということだったのです。
１年前、朝食を毎日作って食べよう！ と決意した私は、同じ目標を持つ「朝食継続仲間」を見つけて、毎日お互いの朝食を写真で共有することにしました。
最初はやる気が旺盛にありますから、頑張って卵を焼いたり、野菜を切ってサラダにしたりして、豪華な朝食を作ります。特に、仲間が毎日自分の朝食を見ているということが頭にあると、手抜きしていると思われたくないという多少見栄っ張りな気持ちも手伝って、いろいろなものを作ろうとします。
しかし、そんないつも以上のパワーを必要とする「頑張り」は、そうそう続くものではありません。しばらくするとやる気のボーナスタイムが終了し、写真はカロリーメイトの箱になったり、菓子パンの袋になったりします。
こうなると、自分が思い描いていた「きちんとした朝食」ではないという気持ちになり、決めたことができていない自分に対する自己嫌悪を感じてしまいました。
ではどうすればいいのか？考えたのは手間の軽減です。
調理の過程で主に時間がかかるのは「切る」こと、「加熱する」こと、そして「洗い物」です。これらをできるだけ少なくすませられる、それでいてタンパク質・脂質・炭水化物・食物繊維が摂れるメニューを模索しました。
タンパク質のおかずとして卵料理を作っていましたが、加熱する時間に加え、フライパンという洗い物も発生していました。そこで、タンパク源はサラダチキンに変えることにしました。買ってきたものでもいいですが、私は週１回鶏むね肉をまるごと茹でて、出来上がったチキンをあらかじめ全部スライスしてしまいます。こうすることで、朝にはタッパーからスライス済みのチキンを取り出して皿に並べるだけで済みます。卵料理と違って冷たいままでもおいしいので加熱の手間もいりませんし、大きなフライパンを毎朝洗わなくて済みます。
食物繊維を摂る野菜サラダは果物に変更しました。それも、切らなくていいイチゴやみかん、ぶどうを選びます。キウイの季節には、皮はむかずに真っ二つにカットしてスプーンですくって食べています。これならカットの手間は１秒です。りんごも皮はむかずにカットのみで食べています。
トーストはオーブントースターに放り込むだけでいいので、もともと後片付けもいらず簡単です。バターはいちいち塗らずに、とろけるチーズを一枚そのまま乗せています。炭水化物と脂質をいっぺんに摂れます。
これで、朝食の支度は２分で終わるようになりました。
そうしていると、自然に朝食メニューは固定されていきました。果物はそのときの季節によって安いものに変えますが、その旬が続く間は同じものです。
しかしこれが結構快適だと気づいたのです。当日の朝に「今日はどうしよう、目玉焼き？ スクランブルエッグ？ ゆで卵？」と悩まなくてもいい。起きたばかりでぼーっとしているときでも、何も考えず、ただいつものように手を動かすだけでいいのです。朝食にかけるパワーは、朝食後に始める一日のためにまわすことができます。
朝食継続仲間の朝食メニューを見ていると、サービス精神旺盛な人ほどバリエーションをもたせようとしているのがわかります。そんな人は、たまに同じメニューが続いたときには「毎日同じですみません」とコメントしたりしています。
一方で、私が毎日同じメニューの写真を共有するのを見て「いつも同じメニューでもいいんだと思えて、安心する」と言ってくれた仲間もいました。この反応は私にとって意外でした。最初はバリエーションに富んだ朝食をきちんと作る完璧な私になろうとしていましたが、実際には手間を省いていった結果、毎朝同じメニューになっても全く問題がなかったばかりか、それを良いと思ってくれる人さえいたのです。
こんなふうにして、気がつけば最初の決意から１年が経っていました。実は私はこの記事を書くにあたって自分の朝食の記録をさかのぼるまで、もう１年も継続できていることに全く気づいていませんでした。知らないうちに目標を達成できていたのです！
これは本当にちょっとしたことですが、心理学でいうところの「自己効力感」、すなわち「自分は目標達成のために必要な行動をうまくできる」という感覚につながりました。手間を省こうと思って始めた朝食メニューの固定化でしたが、本当の効果は毎日の小さな成功体験の積み重ねと、自分はできるという自信の獲得にあったのです。
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