わたしたちの遊び場
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:旅河 侑生(ライティング・ゼミ 日曜コース)
私には週に一度だけ楽しむ事ができる遊び場があります。
週末の4時間だけ遊ぶことができる場所。そこで過ごす4時間は、たわいのない話や笑い話、音楽を聴き、その土地の情報を得たり、遠い地に思いを馳せ、様々な出会いがあります。夕方になりもうすぐ帰る時間になると、週末が終わったなと非常に寂しくなります。
その遊び場とは「ラジオ」です。
ラジオのローカル番組、住む地域で受信する事ができるラジオ以外は、その土地でしか聞けない良さもありました。しかし、今ではインターネットラジオを通じて、世界中インターネットが繋がる環境であればいつでも、どこでも好きな時に視聴することができます。地域のニュースや情報、季節の移ろいなど様々な情報を得ることができます。
「ラジオの良さはなんですか」と問われれば、目から得る情報がない分、自分の想像力を働かせながら楽しめる事です。話をしているパーソナリティー、試食している食事の美味しさ、投稿しているリスナーの顔など音でしか伝わらないため、想像がつきないところ面白い。世界中の番組を聞けることができるようになりその幅も広がっています。
では、私の遊び場はどんな場所なのでしょうか。
北海道の放送局が制作し放送している4時間の生番組ですが、ツイッターで番組のハッシュタグがトレンドに上がり地方の番組では中々あり得ません。
その遊び場の主、ラジオパーソナリティーは明石英一郎さん。
1980年代からアナウンサー、パーソナリティーとして活躍。様々なラジオ番組を担当し、番組が終わった現在でも北海道の若者の伝説の番組と言われ続ける番組、文化を作りあげた人物。
明石さんが12年ぶりにパーソナリティーとして戻ってきた番組をふとしたきっかけで聞くようになり、虜になりました。何よりも情報量が多い人であることに憧れを持ち、決して人を否定しないおおらかさ。そしてご本人も良く言っている「マジメにバカをやる」ところに惹かれています。
言葉のプロでありながら、音楽、映画、書籍、文具、料理、軍事、猥談……とにかく話の展開が早く、自分の想像も超特急で広げながら話を楽しんでいます。
リスナーのたわいもない話に「お前はバカだね」と言いながらも「でも、こうも考えられるよね」と必ず肯定をし、人を否定せず受け入れてくれる所にリスナーはほっとできて、姿は見えないけれど人間味を感じるのかもしれません。
放送中、近年の小学生は4Bなどの濃い鉛筆を使っているという二ユースがあれば、「やってみるかぁ」と「鉛筆と私」をテーマにメール、情報を寄せてくださいと投げかけます。そんな馬鹿馬鹿しい話題あるのか、メールなんて来るのかと思いますが、リスナーはメール、FAX、ツイッターでどんどん話題を上げ情報を共有し笑い合うのです。
今までに「ケチャップと私」「FAXと私」「レントゲンと私」など。急にこの話題でと言われても困惑するようなテーマです。くだらない、馬鹿馬鹿しいと思うような内容でもとにかく「マジメにバカをやる」ことで人を笑わせ想像力を膨らませてくれるます。
そして明石さんのラジオ番組の最大の特徴は「番組に参加してほしい」と聞くだけではない体感型のラジオであると事。
今の生番組には、メールやSNSを使って即コメントする事ができるライブ感を生かし「参加」する事ができます。だから「遊び場」であると感じ「ずっとここで遊んでいたい」を思うのです。
先ほど出したメールを明石さんが読んでくれる、リスナーが「それあるある」とツイッターで呟いてくれる……ラジオが話題を共有し合う遊び場です。
番組のハッシュタグを使って、全国のリスナーさんと繋がり、お互いに「今、ツイッター読まれましたね」など会話をしたり「いいね」が飛んできます。「北海道は雪ですね」と呟けば「こんなですよ」と画像が送られてきます。知っているラジオネームが出ると「〇〇さんだ」と、お会いした事もないのに勝手に親近感が湧き遠い北海道や、リスナーさんのいる土地に思いを馳せ、来たるべき時に行きたい場所に「想像旅行」に出かける事ができます。
コロナ禍で、人に会う事や、体感する事ができない今だからこそ、つながりや情報の共有が尊いと感じます。人との繋がりが薄い分、ラジオが橋渡しをし、旅ができない事や、友達に会えずにストレスを感じる私を元気づけてくるのです。
ラジオは遊び場。決まった時間に決まった場所に行くと「やあ!元気だった、遊ぼう」と自然にみんなが集まる場で、子どもの頃に行っていた駄菓子屋のようで毎度ワクワクします。
そこに「明石のおっちゃん」がいて「おっちゃん面白いよね」とおっちゃんが大好きな皆が友達になり繋がっていく不思議で魅力的な空間。ここに人が集まるのも、こんな場所を作ってくれた明石さんの人柄の魅力。
駄菓子屋のおっちゃんのような明石さんに感謝しながら、遊び場を愛し、大事にしたいと思います。
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