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小説が与えてくれるもの


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記事:岡本桃佳(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
小説を読む。自分とは異なる人生を追体験する。ときには、世界を救うスーパーヒーローになり、ときには、悲劇のヒロインになる。失恋も挫折も、小説の中だったら、何度経験したっていい。
 
小説は、オアシスである。
砂漠の真ん中で「助けて」と叫んでも、届かない。だけど、オアシスにたどり着けば救われる。
「助けて」の声があげられない、声が届かない人をも救ってしまう力を、小説は持っている。
 
これまでに、たくさんの小説を読んだ。1冊約600円を、お小遣いの中から出せないときは、図書館へ何度も通った。今では、読みたい本の半分ほどを手元にそろえられるようになった。
 
その中で、たくさんの登場人物たちと出会った。屈強で優しくてあこがれてしまうような人物もいれば、読んでいるこちらがイライラしてしまうくらいのへなちょこもいたし、ちょっと恥ずかしいけれどどこか親近感のわく自分のような人物もいた。
 
出会ったすべての登場人物が、私の糧になっているわけではない。あまりにも難解で、読むのをやめてしまったものもあるし、読み切ったものの中でも、こんな人、友人にも遠い親戚にもいてほしくないと思ったこともある。
 
だけど、出会ったすべての登場人物が、読者である私に、こと細かに気持ちをさらしてくれたし、人に見せない部分だって、すべて見せてくれた。
そして、それは、しばしば、私を救った。
 
もし、私だったら立ち直れないかもしれないと思うような挫折をしても、くじけない姿勢を読んで、力をもらった。また、似たような状況におかれて、私よりも落ち込む様子を読んで、私は自分の傷をいやした。どんなことが起きようと、決して曲げない様子を読んで、揺らぎそうな大事なものを確認しなおした。
 
過去に、私を救ってくれた小説を、本棚の隅に大切にとってある。頼りたくなったとき、ぱらぱらとめくって、そこに書かれた登場人物を思い出す。そこには、全く同じことが書いてあるはずなのに、時間をおくと、または、おかれた状況が変わると、初めて読んだときとは、少し違うところから救われたり、気づきをくれたりする。
 
見栄っ張りで人に頼ることが苦手な私をも救ってくれた小説は、まさに、オアシスで、憩いの場だった。
 
小説がオアシスであり、人を救うというのは、その中に出てくる登場人物のみによるものではない。
人は小説に対して、自由でいられる。読者はいつでも読めるし、いつでもやめられる。来るもの拒まず去るもの追わず、なのだ。決しておせっかいはしない上に、自由でいられるから、私はやっぱり小説に頼ってしまう。
 
たとえば、人になにか相談しているときに、なんの足しにもならないアドバイスをされたからといって、急に話を聞くのをやめてしまうことは難しい。そんなことをしたら、人間関係もこじれてしまう。小説だったら、すぐに読むのをやめてしまえる。
 
たとえば、助けが必要なとき、「助けて」と声を上げる力さえ残っていないこともあるだろう。そんなとき、小説は心強い味方になってくれる。
 
私は、小説の持つ、人を救う力を信じている。
どんなに、制度を充実させても、救いの手が届かないでいる人を。SOSの発信ができない人を。人を頼るのが苦手な人を。そんな人を、小説が救ってくれるのではないかと、ちょっと大きすぎるかもしれない期待を寄せている。
 
小説は、多くがすぐに答えをくれるものではない。でも、誰も教えてくれない心情を教えてくれるし、自分の人生では起こりえないと思われることだって、体験させてくれる。
 
悩んだとき、落ち込んだとき、助けがほしいとき。よりどころにする選択肢の一つに、ぜひ、小説を加えてみてほしい。
 
 
 
 
***

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2021-05-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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