メディアグランプリ

普段パソコン画面ばかり見ているゲームオタクでも最高に楽しめた、瀬戸内しまなみ海道サイクリング


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ebikawa(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私はまったく運動をしない。
年々体力の低下に危機感を感じつつも、何かと言い訳をしてまったく運動をしないのである。
もともと運動が苦手だ。学生時代のマラソンはいつもビリだった。ボウリングですら、投げ方が滑稽すぎて周囲に笑われたのでもう二度としたくない。
趣味といえば、暇な日は大体パソコンに向かってゲームをするか、動画を見ている。仕事もオフィスワークで一日中パソコンに向かっているので、パソコン漬けである。
 
そんな私だが、昨年ひとりで広島に行く機会があり、その際に「瀬戸内しまなみ海道サイクリング」に挑戦した。
 
「瀬戸内しまなみ海道」は、広島県の尾道から、瀬戸内海にある6つの島と7つの橋をわたり、愛媛県の今治までつながっている全長70キロのサイクリングコースである。
サイクリングロードや必要な施設がきちんと整備されており、瀬戸内海の美しい風景も存分に楽しめることで、「サイクリストの聖地」とされている。
 
自転車に乗るのも10年ぶりというレベルの私がいきなりサイクリストの聖地に挑むというのは自分でもどうかと思ったが、観光情報を調べていた時に、橋から見渡せる海と島々の景色があまりにきれいだったので、軽率に挑戦してしまったのである。
 
しかもこの聖地、初心者の不安点をことごとくつぶしてくれる、至れり尽くせりの聖地なのだ。
自転車とヘルメットは気軽にレンタルできるし、途中にあるターミナルで乗り捨てができるから、出発地点まで戻らなくていい。サイクリングロードにはずっと目印の青い線が引いてあるので、道に迷うこともない。高低表が載った詳細な案内マップも、途中のターミナルにある売店で使えるクーポン券も渡される。
ここまで聖地のほうから親切にされたら、初心者の私が「おっ、これならいけるかもな」などと気安く思ってしまったのも、仕方のないことである。
 
最初は「体力的にそんなに長くは走れないだろうから、15キロくらい先の1つ目の島を目標にしてみよう」などと軽く考えていた私だが、結果から言うと、なんと半日かけて48キロ、5つ目の島まで走ってしまった。
ゴールの今治まではたどり着けなかったものの、日頃運動しない自分でもここまで頑張れたことが驚きであった。もちろん「意外と余裕だった」なんてことは全くなく、足はガクガク、全身ボロボロ、途中休み休みでどうにか走った48キロだ。
聖地・しまなみ海道には、そうまでしても、人を先へ先へと進ませる魅力があるのだ。
 
もちろん景観が素晴らしく、サイクリストに対するサポートが充実しているというのが最大の魅力ではある。しかし、それ以外に「攻略が楽しい」という、観光情報には書かれていなかった魅力が私にペダルをこがせたと思う。
 
しまなみ海道は、ただ長距離を走るのではなく、6つの島、7つの橋という要素から成り立っているので「どこまで行こう?」と考えた時に目標が立てやすい。
そのため、走っているうちに「次の島まで頑張れそうかも」「あと一つだけ橋をわたりたい!」という、短い目標に対する欲がどんどん出てくる。私はよくゲームをするが、これは深夜にゲームがやめられない状態と同じだ。
 
しかも、次の島にたどり着くためには、橋をわたるための坂道という「ボス戦」が待ち構えている。橋は地上から40~50メートルのところにかけられているため、必ず蛇行した険しい坂をのぼることになるのだ。
しかしそれを乗り越えれば、必ず橋からの最高の景色と、くだりの坂道を勢いよく走る爽快感というご褒美が待ち構えている。この「苦しみ、達成、ご褒美」の繰り返しも、まさにゲームで得られる快感と似ていた。絶対に脳内に何らかの物質が出ている。
 
そんな魅力にとりつかれて次へ次へと進んでしまった私であったが、今回のしまなみ海道攻略ゲームは惜しくも最後の6番目の「大島」を前にして、5つ目の伯方島のターミナルでギブアップとなった。
せっかくなら完全攻略したかったが、大島が一番「最終ボス」的存在で、マップの高低表を見ると山道がひときわ険しいのだ。それまで50メートルの高さでもヒイヒイ言って休みながら登っていたのに、大島を越すには、70メートルの高さに2回も登らなければいけない。「大島」という名前からして、堂々たる最終ボスの風格を感じる。
 
それでも時間をかければ行けたのかもしれないが、あまり時間をかけてしまうと、帰りのバスを逃して、さらに荷物を預けたコインロッカーのある建物も施錠されてしまうリスクがあったので、今回はやむを得ずそこまでで断念した。ゲームなら夜中まで時間を忘れてできるが、現実なので外的要因があるのは仕方ないことだ。
 
攻略を断念した私は、伯方島のレンタサイクルターミナルで自転車を返却すると、バスの時間まで伯方の塩ソフトクリームと愛媛のみかんゼリーを堪能した。そして、ぼんやりと海を眺めながら、今度はもっときちんと攻略方法を練ってから来よう、と思った。
 
攻略方法を考えるのは楽しい。パソコンのゲームでも攻略方法を考えたり、調べたりして、何度でもチャレンジする。
たとえば尾道に戻らず、ゴールの今治に泊まれば、戻りのバスの時間は加味しなくていい。途中の島で一泊するのもいい。荷物をロッカーに預けずに、到着先への即日配送サービスを利用することもできる。
自転車も、今回は軽い気持ちで始めたためママチャリを借りて48キロも走ってしまったが、ロードバイクなら坂も少しは楽になるかもしれない。
 
改善点はいろいろと思い浮かぶ。いつかまたリベンジして、今度は完全攻略したい。最終ボスを倒した時の達成感は、きっとすごいに違いない。
 
私のように運動は気が乗らないけどゲームは好き、という人には、ぜひ瀬戸内しまなみ海道サイクリングをお勧めしたい。攻略の喜びと達成感が味わえて、ついでに運動までできてしまう、間違いなく「神ゲー」だ。
 
 
 
 
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2021-05-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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