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大手企業に就職することは人生の最終ゴールなのか


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記事:みかんの行方(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「部下が仕事に対してやる気がない」
 
以前、ある大手企業の管理職の人と食事をした時、若手社員に関して発された言葉である。
 
大手に就職したい!安定した大企業に入りたい!
 
多くの学生が望んでいる。
それが人生の勝ち組、負け組を最初から決めるような風潮も世の中にはある。
 
終身雇用の下、一生安泰――。
 
私は驚いた。
 
大手は優秀な人材を採用し、皆、チームワークでお互いに鼓舞しながらスキルアップをしている環境だと思っていた。
 
そうではなかったのか?
 
「新卒で大企業に就職したことがゴールになっちゃっているんだよね。
入社できたことで目標がなくなり、仕事に対してやる気がない。
ぬるま湯につかってしまっている」
 
毎年、大手には採用枠以上の多数の学生が応募する。その「目標」が残念ながら達成できないほうが大方であろう。インターネットでリサーチをしても、それによる「挫折感」を味わった人が多いようである。
 
彼らにとり、大手の若手社員たちはとても羨ましく映るであろう。
 
しかし、仕事に対してやる気がないまま、「ぬるま湯」につかった日々を過ごすということは幸せなのだろうか。
 
私は日本で新卒として就職活動をしたことがなく、その心境は分からなかった。
 
しかし、様々な人たちと出会い、見えてきたことがある。
 
大手に入ることは社会的ステータスがある。大手企業の社員という肩書だけで、急に仲間よりも偉くなったような優越感があるかもしれない。例えば会社名を言うだけで、合コン相手や周りの人の反応が一気に変わる。自尊心が満たされるのである。
 
大手だからこそ、より大きく有名なプロジェクトに携わることができる可能性がある。一つの部署にたくさんの人員が必要で、細かく分業されていることも多いだろう。そして定年まで長年かけて業務を学んでいく。
 
そして、会社に守られているという安心感がある。安定した待遇。歴史的にも、家族を養うためのシステムが整っている。戦後の素晴らしい終身雇用制度。それはまるで公務員のよう。
 
その仕事に対してモチベーションがなくても、自尊心が満たされ、一生安泰。
 
「大手に就職する」ことが人生の最終ゴールなのだろうか。
 
逆に、大手に新卒で就職できなかったら「失敗」なのだろうか。
 
私はそうは一切思わない。
 
リーマンショックや長きにわたる円高、震災などで時代が変わり、大企業でもリストラ、倒産などが相次いだ。今度はコロナである。大手だからといった理由で、この先の保証は100%ではない。今後は日本的雇用システムが徐々に海外のようにシフトしていくことが云われている。
 
大手企業就職者の中にはその実力から、既存のレールから外れ、より自分の実力を試せ、自由にチャレンジできる新天地に移る人もいる。一念発起して起業をする人もいる。また、近年ではリストラや早期退職の対象となり、大手を離れる人もいる。
 
いずれにしても、とても大きな人生の決断であろう。
 
水戸黄門の紋所のような「大手」という大きな看板は、新天地にはないかもしれない。交渉事なども今までより不利になり、裸一貫で戦うことになるかもしれない。終身雇用が当たり前だと思っている人たちから、ネガティブな印象を持たれるかもしれない。子供が大手に入ることが夢だった両親から残念がられるかもしれない。もっと頑張らないと今までと同等の収入や待遇が得られないかもしれない。
 
もう、過去の大きな看板は当てにできないかもしれないのである。
 
転職市場には実践を積んだ人がゴロゴロいるだろう。
その人たちと一席を争うこととなるのである。
 
そんな時、他の人に負けないウリは何だろうか。
何が企業に貢献できるだろうか。
 
「大手の○○で正社員をしていた」という肩書だけでは勝てない戦場なのである。
 
就職・転職活動は企業との「お見合い」だと思う。
 
希望の企業に就職できなかったということは、もっと能力を発揮できる場を見つけるチャンスがあるということだ。
そして、それを活かせるかどうかは自分次第である。
 
どんなに優秀な人でも、その企業の風土・文化に合わなかったら、能力を発揮できずに埋もれてしまうかもしれない。遅かれ早かれ「離婚」となってしまうであろう。
 
例えば、公務員的な働き方が望まれる保守的な気質の企業であれば、自ら道を切り開いていく気質の人には合わないかもしれない。物足りないかもしれない。つまらないかもしれない。
 
逆に、改革やチャレンジが望まれる企業であれば、大活躍できる可能性がある。その規模も、もしかしたら大企業よりも中小企業のほうが小回りが利き、業務全体を覚える機会に最初から恵まれ、即戦力として任せられるまで時間がかからない可能性がある。また、プロジェクトの一部だけでなく全体の管理にも早いうちからチャレンジできるかもしれない。
 
適材適所である。
 
社会に出たら学校と違い、手取り足取りしてくれる環境だけではない。
決断する重みも違うだろう。
人によって仕事や人生における価値観は違う。
活躍できるステージも異なる。
 
ある時点で一線を退き、会社や肩書などの後ろ盾やキャリアがなくなり、自分の人生を振り返った時、あなたはどのような評価をするだろうか。
 
先のマネージャの一言は、仕事の価値に関して再考するきっかけを与えてくれた。
 
 
 
 
***

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2021-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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